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【特集】飯野海運 Research Memo(4):高度な環境性能を追求した飯野ビルディング

飯野海 <日足> 「株探」多機能チャートより

■飯野海運<9119>の事業概要と特徴・強み

4. 飯野ビルディング
2011年開業(2014年グランドオープン)した収益柱の飯野ビルディングは、「100年先にも愛されるビル」をコンセプトとして、ホール&カンファレンス機能も備えている。通常の外壁・窓ガラスを二重構造にし、断熱空気層を作ることで熱負荷を軽減する「ダブルスキン外装」を採用するなど、高度な環境性能を追求したビルである。

そしてLEED-CI(米国グリーンビルディング協会による環境性能評価システム)の最高位であるプラチナ認証を日本で初めて取得した。また2015年には、生物多様性保全に取り組むオフィスビルや商業施設を評価する「いきもの共生事業所認証」(ABINC認証)を取得し、2016年にはABINC認証事業所のうち特にABINCの普及啓発や生物多様性の主流化への貢献度の高い施設として「第1回ABINC特別賞」を受賞した。

2016年には、東京都環境確保条例における2015年度「優良特定地球温暖化対策事業所(トップレベル事業所)」に認定された。2018年2月には、東京消防庁による優良防火対象物認定表示制度に基づく「優良防火対象物認定証」(優マーク)を取得した。2018年3月には東京都環境局の在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」の優良緑地として登録された。2018年10月には、飯野ビルディングの事務所基準階部分(7階~27階)がBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で最高ランク5つ星を取得した。

さらに2019年3月には、(株)日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証で、飯野ビルディングが最高ランク5つ星、汐留芝離宮ビルディングが4つ星を取得した。

5. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性・リスク要因として、いずれの事業も市況変動の影響を受けやすいが、いずれの事業においても安定収益源を積み上げることによって、盤石な事業基盤の構築を目指している。

海運業では特に外航海運業が海運市況、燃料油価格、為替等の影響を受け、主力のケミカルタンカーにおけるスポット貨物も市況変動の影響が避けられない。

こうしたリスク要因への対策として、ケミカルタンカーでは、輸送数量の約7割を占める1年程度の複数のCOA(数量輸送契約)と約3割を占めるスポット貨物を組み合わせることで、利益の最大化を図っている。なおCOAでは一般的に、燃料油価格変動に伴う価格調整条項(BAF)を付けているが、契約によっては燃料油価格が小幅に上昇した場合には、燃料油価格上昇分が価格転嫁されず、採算に影響を与えることがある。

オイルタンカーやガスキャリアは中長期の定期用船契約が中心であり、長期安定収益源の積み上げを推進している。2018年12月には三井物産<8031>から、スノービットLNGプロジェクトでLNG船保有のための特別目的会社Northern LNG Transport Co,I Ltd及びII Ltd(以下、NLTC I及びNLTC II)の株式を追加取得して持分を増やした。また内航・近海海運業も含めて、コスト増加に対応した契約有利更改を推進して採算向上を目指している。

なお2020年1月から、国際海事機関(IMO)の船舶燃料硫黄分規制(SOx規制)強化が適用開始となった。船舶燃料に含まれる硫黄分濃度を、従来の「3.5%以下」から「0.5%以下」とする国際規制の強化である。対応選択肢としては、スクラバー(脱硫装置)の設置、または低硫黄燃料油(規制適合燃料油)の使用がある。

この規制強化のマイナス影響としては、適合油対応仕様に変更するための船用品・修繕費の増加や、従来の舶用燃料油と規制適合燃料油との価格差などがコストアップの要因となる。規制適合燃料油の使用によるコストアップ分については、地球環境を守るために必要なコストとして理解してもらい、荷主への転嫁が進んだ。一方のプラス影響としては、規制適合燃料油の輸送需要の発生や、規制強化に対応できない船が淘汰されることによる需給バランス改善などで、プロダクトタンカーやケミカルタンカーの市況上昇につながる効果が期待される。

不動産業は不動産市況、空室率、賃料などの影響を受けやすいが、同社保有の賃貸ビルはいずれも、オフィスビル賃貸市況が堅調な東京やロンドンの都心部の一等地に立地している。収益柱の飯野ビルディングは立地面に加えて、高度な環境性能も強みとして、引き続き安定収益源としてけん引するだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《ST》

 提供:フィスコ

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