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【特集】エノモト Research Memo(6):新型コロナウイルス感染症拡大の影響は製品群別でまちまち

エノモト <日足> 「株探」多機能チャートより

■エノモト<6928>の業績動向

3. 製品群別の足元市場環境
IC・トランジスタ用リードフレームで、モビリティ/車載電装機器の中期成長率が7%程度との予測もあるが、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車販売台数の減少で達成は厳しいと見込まれている。一方、足元でレベル3(特定条件下における自動運転)解禁により、ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)の高速道路上での実験運転が可能になるなど、中期的にADAS普及による電装化率の上昇が全体の部品需要数の増加につながるとも予測されている。民生向けなど汎用的用途の部品も、今期前半は世界的な個人消費の落ち込みなどの影響を受けるが、後半以降は一定水準の需要に回復すると見られている。

オプト用リードフレームでは、オプトエレクトロニクスの2020年成長率が2019年を上回る12.5%と予測されている(WSTS 2019年秋季半導体市場予測)が、実際は新型コロナウイルス感染症による世界経済減速の影響のため、大きな伸びは期待できそうもない。しかし同社の場合、国内高付加価値メーカーがターゲットのため、新しい製造プロセスを採用した日本メーカー製LED製品など高付加価値の製品に注力することで、影響をある程度カバーできると思われる。また、殺菌効果のある深紫外線発光ダイオードなど、医療向け特殊用途の分野において新たな受注増も期待できる。

コネクタ用部品は、5G転換期を迎え、通信機器やコンピュータ、情報端末などの需要増を背景に3.5%成長が予測されている(JEITA「電子情報産業の世界生産見通し2019」より)。しかし、新型コロナウイルスによる世界経済減速の影響により、プラス成長は維持できたとしても、3.5%水準には達しないと見られている。エアバッグ関連など車載向け大型コネクタが、自動車メーカーの生産調整の影響を受けて深刻な状況になりつつあることから、フィリピンでの受注が堅調であった同社も、後述の政府によるロックダウンなどの影響を強く受ける可能性がある。


スマートフォンなど業績をけん引する要素もある
4. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期の業績見通しについて、いまだ新型コロナウイルス感染症の収束時期や感染拡大が及ぼす影響が見通せないため、先行きが非常に不透明な状況にある。電子部品業界の情報の収集と分析を同社も鋭意進めているが、最終製品の需要への影響がどのくらいになるかを推測することが非常に困難な状況にある。2020年3月期末時点では、国内の受注環境は比較的落ち着いた状況で推移しているが、現状、サプライチェーンの状況や市場全体の在庫状況を推量し2021年3月期の受注環境を予測し得る、十分に信頼がおける情報が入手できていない。また、中国広東省とフィリピンにある生産拠点においても、受注環境や従業員の出勤状況で新型コロナウイルスの影響が出たものの、その影響の波及期間や規模についての情報が不足しており、十分な確実性を持った見積りができない状況にある。したがって、現時点では事態の収束時期が見通せず、また状況も日々刻々と変化し、適正かつ合理的な業績予想の見積りが非常に困難なことから、同社は業績予想を未定とし、合理的な予想が可能となった時点で速やかに公表する方針とした。

現在(2020年6月初)も、フィリピンで工場は稼働しているがロックダウンの影響があるなど、一部海外の販売先で受け入れ体制や物流システムに支障が出ている。しかし、原材料、副資材など供給に関わるサプライチェーンに重大な影響が出ていないこと、大きなオーダーのキャンセルが発生していないこと、国内外を問わず各拠点で同水準の厳しい感染予防策を徹底していることから、国内各拠点(山梨県・青森県・岩手県)では生産を継続、2月後半から3月にかけて一時止まった中国工場も、新型コロナウイルスの患者数の多かった武漢市から遠く離れていることもあり、回復が非常に早く、現在ではほぼ通常の生産体制に戻っている。いずれにしろ2021年3月期は、新型コロナウイルスの影響があっても生産が継続できれば、スマートフォンや高付加価値LED、殺菌効果のある深紫外線発光ダイオードなどのけん引が期待される製品も少なくなく、一定の収益は確保できると考えられる。


新型コロナウイルス感染症拡大以外の条件は決して悪くない
5. 2021年3月期の製品群別見通し
2021年3月期の製品群別動向で、IC・トランジスタ用リードフレームは、上期に落ち込むと予測されている自動車の販売台数が下期以降徐々に戻ることが考えられ、家電向けも自動車ほど極端でないが同様の傾向と見られる。汎用用途のトランジスタは通期で厳しい状況が予想されるが、5G移行を踏まえてサーバー基地局向け需要が一定の水準を確保しそうである。オプト用リードフレームは、大型ディスプレイ向けなどの苦戦は想定内で、むしろ新しい製造プロセスを採用した国内メーカー向けの高付加価値部品の需要が強まると思われる。これは、高輝度・安定性・極小・極薄・高強度・大量という厳しい条件をクリアできる、同社のようなメーカーが業界に非常に少なくなっていることが背景にある。コネクタ用部品は、車載向けは生産調整で厳しい状況だが、スマートフォンやウェアラブル向けは新型コロナウイルスの影響もなく上期も引き続き好調である。今年は少し遅れる可能性もあるが、2020年も9月にはスマートフォンの新製品が発売される見込みで、通期でも非常に期待できる製品群と言える。そのほかは汎用的なリレー部品が中心のため、景気動向に左右されがちだが、原材料・副資材のボトルネックや販売先からの大きなキャンセルはないという状況である。2021年3月期も、高機能・高品質・大量生産可能な同社の強みが発揮されることになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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