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【市況】年後半のドル円は政治が下支え【フィスコ・コラム】

日産自 <日足> 「株探」多機能チャートより

2020年もかれこれ折り返し地点。前半はコロナ一色で金融市場は急激な変動がみられました。その後は落ち着いたようにみえますが、後半には米大統領選が待ち構えています。日本の政治情勢も流動化しつつあり、相場を動かす要因となるかもしれません。


日産自動車<7201>の前会長カルロス・ゴーン被告がプライベート・ジェットを使いトルコ経由で中東レバノンに逃亡??そんな衝撃的なニュースで2020年はスタートしました。年初こそアメリカとイランの緊張が高まったものの、その後は安定を取り戻し、米中通商協議の第1段階の合意を受け比較的平穏な1年になるとの期待が広がります。そこへ新型コロナウイルスが世界を一変させました。


金融市場は当初、コロナ被害を軽視していましたが、感染が急激に拡大したことで無視できなくなり、手持ちの資産を売ってドルに換える動きが加速。NY株式市場ではダウが一晩で約3000ドルも下落するなど前代未聞の相場となり、安全資産の金でさえ売られる場面もありました。各国が国民への経済支援を急ぎ、中銀がいっせいに緩和的な金融政策に動いたことで、その後、激烈な乱高下は回避されています。


ドル・円自体は一時期を除き狭いレンジ内で上下していますが、年後半はどのように推移するでしょうか。やはり11月3日の大統領選までの株価が目安になるかもしれません。NYダウは2月12日に過去最高値の29551ドルを付けた後、3月23日には18591ドルまで急落。ただ、驚異的な回復力で足元は26000ドル付近に浮上し、残り4カ月で最高値圏に戻すのも不可能とはいえなくなってきました。


足元は株高に振れれば安全通貨のドルは売りが出やすくなりますが、リスク選好的な円売りが伴うためドル・円は最近の相場のように底堅く推移します。再選を期すトランプ大統領のなりふり構わない政策で期待先行のダウ30000ドル到達が視野に入り、緩和策の底打ち観測でドルは安全通貨としての売りよりも、経済の正常化を見込んだ買いが強まっていくでしょう。つまりドル高・円売りです。


他方、民主党候補(予定)のバイデン元副大統領が選挙で勝利した場合にも、オバマ・ケア復活の思惑で医薬品関連株が相場をけん引すると考えられ、「バイデン相場」によりドル高・円安は継続する可能性もあります。また、民主党は親中政策を進めるとみられ、香港統治やウイグル族の人権問題で対立する米中の関係改善への期待が広がれば円売りを支援するため、やはりドル高・円売りでしょう。


かく乱要因は日本の政局。東京都知事選で野党の結束力が弱いとみれば、安倍晋三首相が9月に解散・総選挙に踏み切っても不自然ではありません。トランプ敗北予想が強まっていることもあり、安倍首相は自身が「用済み」となる前に選挙を急ぐはずです。自公で過半数議席を獲得できれば、少なくとも円買いは抑制されるでしょう。安倍4選シナリオ再浮上の是非はともかく、ドル・円自体は年後半も底堅く推移しそうです。


※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
(吉池 威)

《YN》

 提供:フィスコ

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