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【特集】エバラ食品工業 Research Memo(1):新社長による「withコロナ」の手綱さばきに期待

エバラ食品 <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

1. ニッチトップの商品群が多い
エバラ食品工業<2819>は『黄金の味』など調味料を製造販売する食品メーカーである。主力は家庭用調味料で、『黄金の味』のほか『焼肉のたれ』、『すき焼のたれ』、『浅漬けの素』など同社商品は高い認知度を誇る。同社自ら調味料市場を作り出し、TVCMなどで魅力を訴求して育てる、そういう積み重ねが同社の強みであるブランド力の創出につながっているのである。このため、市場はニッチだがトップシェアを誇る商品群が多い。そのほか、業務用商品では主に外食産業向けにたれやスープなど多品目を製造販売しており、物流や広告、人材派遣も行っている。同社の事業内容は食品事業、物流事業、その他事業の3セグメントに分けられる。2020年3月期の売上高構成比は食品事業84.7%(家庭用商品67.4%、業務用商品17.3%)、物流事業11.7%、その他事業3.6%となっている。

2. 2020年3月期は営業減益も積極経営で計画を確保
2020年3月期業績は売上高51,228百万円(前期比0.2%減)、営業利益2,311百万円(同3.4%減)となった。期初計画比では、売上高で1,256百万円の未達、営業利益で41百万円の過達となった。主力の『黄金の味』で新テイスト「さわやか檸檬(レモン)」を投入し32年ぶりにラインアップを強化、重点戦略商品『プチッと鍋』では積極的に売場提案を行った。しかし、夏場の天候不順や冬場の青果価格の高騰に加え、2月以降新型コロナウイルス感染症の影響で業務用商品が苦戦、売上高は減収・未達となった。一方、営業利益は『プチッと鍋』などの鍋物調味料群への戦略的な拡販費や広告費の使用により減益となったものの、包材費など原材料費の軽減、家庭用商品のシェア上昇によるミックス改善により超過達成となった。

3. 2021年3月期は減収減益予想も積極経営を継続
同社は2021年3月期業績見通しを、売上高50,095百万円(前期比2.2%減)、営業利益1,702百万円(同26.3%減)と見込んでいる。新型コロナウイルスによる業績への影響を、同社は業務用商品中心に2020年3月期半ばまで続くと想定している。このため、『黄金の味』やポーション調味料など価値提案型の施策を通じた拡販を着実に推進する方針だが、一部チルド商品の商流変更に加え、新型コロナウイルスの影響により国内外の業務用商品と食品周辺事業の売上低迷を見込んでいる。利益面では、国内供給体制を強化する計画のため設備投資や修繕費が先行的に増加して原価率が上昇する予想となっている。このため減益見通しだが、将来的に供給体制の強化や販売の拡大につながると期待される。

4. 「withコロナ」という難しい局面を乗り切る
同社は中期経営計画「Unique 2023」で、2024年3月期に営業利益28億円、海外売上高20億円、ROE6%の達成を目指している。『黄金の味』の売上伸長とポーション調味料の市場拡大に関しては順調に進捗していると言える。一方、業務用商品の収益力強化と戦略事業(海外事業、チルド事業、コンビニエンスストア及びECへの取り組み等)の基盤確立は今後に期待するところである。新たな条件となった「withコロナ」の影響は事業間でまちまちで、コア事業では家庭用商品がプラス効果、業務用商品と広告宣伝、人材派遣がマイナス効果、物流は中立と考えられ、戦略事業はコンビニエンスストア及びECがプラス効果、海外がマイナス効果と想定される。いずれにしろ非常に難しい局面であり、2020年4月に代表取締役社長に就任した森村剛士(もりむら たけし)氏の手綱さばきに期待したい。

■Key Points
・『黄金の味』や『プチッと鍋』などで有名な調味料メーカー。ブランド力が強い
・新中期経営計画「Unique 2023」を策定、2024年3月期営業利益28億円を目指す
・代表取締役社長に就任した森村氏の「withコロナ」を切り拓く手綱さばきに期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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