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【特集】受け取った給付金は課税される? コロナに負けない家計管理

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方」-第6回
清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

新型コロナ感染拡大は、企業業績に大きな影響を及ぼし始め、従業員が受け取るボーナスにも影響がでてきています。エイチ・アイ・エス<9603>は今夏のボーナスを支給しないと決定、また日本航空<9201>は今夏のボーナスについて、昨年の水準から半減させることを固めたとの報道がなされています。

感染症の終息は未だ見通せず、すでに第2波の予兆も見られます。長期戦が予測されるなか、本当の危機はこれからなのかもしれません。

一方、生活を支えるための1人10万円の特別定額給付金は行き渡るどころか、申請段階からトラブルが続出。コロナ騒動からすでに3カ月が経過、より苦境に立たされている学生やひとり親を支える施策ですら、ようやく始まりつつあるのが現状です。政府の対応が後手に回っていることは否めません。

保険などで事前に備えることができないなら
突然の感染症により、家計が突然、災害レベルの大きな影響を受ける事態があり得ることを今回、私たちは経験しました。この事態には、同様に突然深刻な被害を及ぼす自然災害のように、損害保険などで備えておくこともできません。

こんなときに大切なのは、これまでのコラムでも見てきたように、必要な公的支援にたどり着けるリテラシーを持つこと、同時に、当座を乗り切れる家計を普段から構築しておくことも必要な危機管理のひとつです。有事が起こりうる時代の"新常識"と言えるでしょう。

【タイトル】

わが家の支出の現状を把握

危機感にかられ、やみくもに節約しても続きません。持続可能な家計に改善を図るにせよ、わが家の支出の現状把握がまずは第一歩です。
どのようなことにどれだけのお金を使っているのか、これを機に整理してみることをお勧めします。どの支出が必要、あるいは必要でないのか、削れないのか、まずは全体を俯瞰して、今後の見通しを考えてみるのです。

支出を把握するときは、以下のような支出の整理表を作成するとよいでしょう。支出項目は目的別に立てるのがおススメ。今後の変化に応じた見直しがとてもやりやすくなるからです。

基本生活費」には、普段の暮らしでどうしても削れない支出をまとめます。食費や水道光熱費、必要な衣料品類や生活雑貨のほか、通信費もいまや必要な生活インフラ。医療費や一定の交際費もここに含めてよいでしょう。

住宅関連費」は、税金や保険、メンテナンス費用も含め、現在の住まいに住む限りかかる支出をまとめます。住宅ローンの完済や、住まいの移転で大きく変わってくる支出です。

また「子ども関連費」には、子どもがいることで掛かる全ての支出をまとめます。なかでも教育費は昨今、多くの世帯にとって負担の重い支出ですが、永遠には続きません。子どもが独立すれば、この項目はすっぽりなくなります。

マイカーを手放すかどうかを検討する際、クルマ所有にかかる年間支出を「自動車関連費」としてまとめておけば、カーシェアやタクシー利用との比較も簡単。また「保険料」の項目に入るのは、おおむね生命保険や医療保険などに限られてきます。火災保険や自動車保険は住宅やクルマ関連の支出にまとめられるからです。

レジャーなど」は、いわば、心の栄養になる支出。食費すべてを生活費に含めずに、一定の外食費をここでくくっておけば、最低限の支出が膨らみ過ぎるなどの実態に合わない結果を防げます。暮らしに欠かせない支出でなくても、人によっては削れない部分はあるでしょう。

■年間の家計集計表の例~支出項目を目的別に整理するのがポイント
支出項目明細金額
基本生活費

最低限の負担
食費984,000
水道光熱費・通信費254,400
被服費・生活雑貨166,800
交際費・交通費264,000
雑費192,000
小計1,861,200
住居関連費

大きく
変えられない支出
住宅ローン・家賃420,000
火災保険料36,000
固定資産税など300,000
修繕費など
小計756,000
子ども関連費

金額は変わるが
当面続く
学校関連費60,000
習い事・塾240,000
小遣い120,000
その他出費120,000
小計540,000
自動車関連費自動車ローン――
ガソリン・洗車・整備費10,000
自動車保険3,000
自動車税等3,000
その他出費――
小計16,000
保険料定期保険36,000
医療保険30,000
小計66,000
レジャーなど映画・本60,000
旅行――
外食など240,000
小計300,000
一時的な支出冠婚葬祭――
家電買い替え――
小計0
支出総計353万9200円

目的別に支出を整理すれば、わが家の今、そして将来のお金の流れをシンプルに把握することができます。項目の立て方はあくまでも一例で、ルールはありませんので、ご自身の価値観と暮らし方を踏まえたお金の使い方をもとに、目的別項目を立ててみるといいでしょう。

削れない最低限の支出を把握しておく

項目が立てたら、わかるところから書き込みます。ボーナスからの支出も含めた、コロナ以前の昨年1年間を年間額で振り返りましょう。

危機管理的視点から必要なのは、収入がどうあれ、現状でどうしても削れない支出を把握しておくことです。いうまでもなく「基本生活費」は削れません。住宅関連費も現状維持なら削れません。子ども関連費も、子どもの学齢期により金額は変わるものの、当面は継続が必要な支出でしょう。

一方、多くの場合、見直す余地があるのは生命保険料になります。目的と費用効果を踏まえて改めて捉え直し、「入って安心」ではなく「必要性」の軸から早めに見直すとよいでしょう。

減収を踏まえて見通した今年の手取り収入の範囲に、把握した支出は収まるでしょうか?

収まるなら、貯蓄に回る分は減少するかもしれませんが、支出を抑えなくてもこれまで通り家計を回すことができるでしょう。削れない支出分まではどうにか賄えるというのなら、貯蓄は取り崩さずに済むかもしれません。

逆に削れない支出すら賄えない場合、貯蓄を崩さざるを得なくなるでしょう。支出の見直しが必要です。とりわけ、月支出の赤字を恒常的にボーナスで穴埋めしている家計は要注意。ボーナスが支給されなければ、家計収支が崩れてしまいます。

今冬のボーナスは、今夏よりも新型コロナの影響を受けて減少するとみられます。いうまでもなく収入の範囲で支出するのが家計の基本ですから、支出の現状把握と見直しで、収入減少にも耐えうる家計を構築しましょう。



 

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