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【特集】GセブンHD Research Memo(8):すべての事業会社で増収増益を目指す


■G-7ホールディングス<7508>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) オートバックス・車関連事業
オートバックス・車関連事業のうち、主力のG-7・オート・サービスは売上高で前期比8%増収を見込み、「オートバックス」の新規出店は2店舗を計画している。4?5月の売上高は新型コロナウイルスの影響で営業時間を短縮していることもあり、前年同月を下回っているものの、下期以降の回復を見込んでいる。収益性についても、鈑金・加工、車検サービスなど収益性の高いサービス部門並びに粗利率の良い商品の販売を強化していくと同時に、従業員1人当たりの生産性向上に取り組むことで、利益率の改善を進めていく。また、新業態となる「FIELD SEVEN」については1号店の販売状況や市場環境を見定めながら、「オートバックス」店舗に併設する格好で新規出店(200?300坪の広さ)を進め、シナジーを高めていく戦略となっている。

G-7バイクワールドは、「バイクワールド」の新規出店効果により、2ケタ増収増益を目指す。新規出店数は5店舗(うち、1店舗は確定)を予定している。

海外の「オートバックス」「バイクワールド」については、マレーシア、タイの外出禁止令が解除になるまで休業が続くため収益状況は厳しいが、休業に伴う補助金が一部出ることもあって、休業が長引かなければ全体業績に与える影響も軽微にとどまりそうだ。出店計画は未定となっているが、市場環境が正常化すれば自動二輪車の需要が旺盛なベトナムやインドネシアにも進出したい意向を持っている。そのほか、自動車輸出販売事業の売上高については、アフリカや中東、オーストラリア、ロシアへと販売地域を拡大することで、前期比約2倍増の5,000百万円を目指している。

(2) 業務スーパー・こだわり食品事業
業務スーパー・こだわり食品事業のうち、「業務スーパー」を展開するG-7スーパーマートの売上高は前期比7%増を見込んでいる。新規出店は11店舗を計画しているが(うち、3店舗は4月に出店)、条件にかなう不動産物件が見つかれば上乗せする可能性もある。採算の良いPB商品の販売拡大による売上粗利益率の改善や生産性向上により、利益率も引き上げていく計画となっている。政府の緊急事態宣言が解除され、巣ごもり現象が解消されれば、既存店の増収率が2ケタ台から1ケタ台に鈍化する可能性はあるものの、景気の悪化で消費者の低価格志向が一段と強まるなかで、魅力的なPB商品をリーズナブルな価格で提供する「業務スーパー」の集客力は維持するものと考えられ、2021年3月期も好調な業績が続く見通しだ。

G-7ミートテラバヤシは、売上高で前期比19%増収、営業利益も2ケタ増益を見込んでいる。「業務スーパー」内のテナント出店を中心に21店舗の新規出店を計画しており(うち、4月に6店舗出店)、新規出店効果に加えてアンデス食品の子会社化も増収要因となる。

G7ジャパンフードサービスのうち、こだわり食品事業については引き続き新規顧客や商品の開拓に取り組み、また、食品製造販売事業についてはPB商品の開発を強化していくことで増収増益を見込んでいる。

(3) その他事業
その他事業も増収増益となる見通し。「めぐみの郷」は「業務スーパー」へのテナント出店を中心に18店舗の出店を計画している(うち、4月に3店舗出店)。仕入れ先の拡充と物流体制の整備が進んだことで、首都圏を中心に積極的に事業を拡大していく方針だ。流通額ベースでは前期の40億円から55億円に拡大し、このうち約20%を委託販売手数料として売上げに計上することになる。

女性専用健康体操教室「カーブス」は、新型コロナウイルスの影響で新規入会人数が減少しているものの、6教室を新設する予定で2020年秋以降の回復を見込んでいる。レストラン事業やスイーツ事業については新規出店の計画はない。そのほかの事業についても、不採算店舗の一掃を目標にスクラップ&ビルドを進め、収益体質の改善を進めていく予定となっている。


生産性向上と不採算店舗の一掃により収益力を強化、M&Aも進めながら持続的成長を目指していく
3. 事業戦略と長期ビジョン
同社は創業45周年となる2021年3月期に売上高1,700億円を目標とする中期経営計画を策定し、その達成に向けた取り組みを進めている。事業戦略について見ると、既存事業に関しては従業員1人当たりの売上高並びに粗利益の向上と、不採算店舗の一掃、すべての事業会社の黒字化と持続的な増収増益に取り組んでいくことを基本方針として掲げている。また、出店戦略では投資効率の良い業態の積極出店や新業態の開発を進め、年間40~60店舗のペースで店舗数を拡大していく。M&Aについても成長戦略の1つとして継続していく方針で、事業領域を周辺に広げていくことで特定業界の景気変動の影響を受けない、安定した経営基盤を構築していく考えだ。

人材育成に関しては2018年4月以降、創業者塾やNC(ネクスト・キャビネット)養成塾を開講しており、経営マネジメント層の育成・強化に取り組んできた結果、グループ子会社経営陣の若返りを実現しており、今もなお育成強化に努めている。また、積極的な店舗展開を進めていくための人材を確保するため、シニア人材や外国人など多様な人材の採用にも積極的に取り組んでおり、外国人についてはG-7・オート・サービスを中心に25名を採用した。また、新卒社員についても2020年4月は113名が入社するなど積極採用を続けており、人材不足が成長の足かせ要因とならないよう取り組んでいる。

また、同社は長期ビジョンとして「100年先も成長し続ける企業」を掲げ、創立100周年目となる2076年に売上高7,000億円、経常利益300億円を目標としている。国内での事業拡大にとどまらず、経済成長率の高いアジア・ASEANに事業展開していくことで、長期的にグローバル企業として成長していくことを目標としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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