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【特集】コロナで進む飲食サービスのドーナツ化、都心依存度の低い銘柄はおいしい?
大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第40回
・都心依存度=23区内の店舗数÷(23区外、埼玉県、千葉県、神奈川県の店舗数合計)
となります。今回は、この都心依存度を算出する作業を、上場銘柄のうちで約150銘柄ほど存在する、関東近郊を中心に展開する外食チェーン企業に適用して計算しました。
店舗数が30に満たない小規模な企業や、売上高のうちで外食ビジネスの占める割合が10%未満の銘柄(セブン&アイ・ホールディングス<3382>グループの「デニーズ」や、サッポロホールディングス<2501>グループの「銀座ライオン」など)は、都心依存度を正確に見極めることが困難なため、除外しています。
では、実際にランキングを見てみたいと思います。
■都心依存度の上位と下位の10銘柄
※上位10銘柄
※下位10銘柄
出所:データストリーム。都心依存指数は23区内の店舗数÷(23区外、埼玉県、千葉県、神奈川県の合計店舗数)
その株価パフォーマンスは予想通り、上位銘柄がネガティブ、下位銘柄がポジティブの状態になります。下の図に示すように、新型コロナウイルスの悪影響が顕在化して株式市場が大荒れした2月後半以降で見ると、都心依存度の低い銘柄の底堅さが目立ちます。
偶然である可能性は否定できませんが、一応選定銘柄数を広げて上下20銘柄、そして30銘柄としても傾向は変わりませんでした。少なくともこの計測期間については一貫した効果を生み出していたようです。長期的な構造変化を見通す投資アイデアとして、一考の価値はありそうです。
■都心依存度の上下10銘柄の 2月以降パフォーマンス(対TOPIX)
出所:データストリーム
これに加えて、今回の新型コロナウイルスの「不要不急の外出の自粛」については、それに伴う飲食・小売の事業継続性に対するリスクが露見しました。1~2カ月程度の短期の店舗休業でも、倒産の危機に陥るような商店や企業が少なくなかったということです。
今回の分析の対象となっている上場銘柄は、中小の商店に比べれば財務の健全性は高いとはいえ、多額の資金を注いで広域に多くの店舗を展開し、多額の負債を抱えた状態で客足が遠のいた場合、それが事業の先行きに重くのしかかってくることになります。
実際に、上記と同様に2月末から足元までの期間について、東証1部上場銘柄の財務の健全性を表す自己資本比率を基に投資パフォーマンスを計測する(母集団内上5分位)と、その値の高低によってパフォーマンスが明確にプラスとマイナスに分かれてきます。
■東証1部銘柄の自己資本比率の高い群と低い群のパフォーマンス比較
出所:データストリーム
特に外食は、今回の件に限らず、過去を見れば狂牛病や鳥インフルエンザなど、物理的にも消費者心理としても突発的な疫病やアクシデントに大きく左右されやすく、統制不可能なリスク要因にさらされる危険性が高い業種でもあります。
その意味で、これらの銘柄を選定するうえでこの財務の健全性をしっかりと考慮しておくことは極めて重要であるといえそうです。
最後に、参考までに都心依存度と自己資本比率を合わせた銘柄を添付します。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
株探ニュース
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・都心依存度=23区内の店舗数÷(23区外、埼玉県、千葉県、神奈川県の店舗数合計)
となります。今回は、この都心依存度を算出する作業を、上場銘柄のうちで約150銘柄ほど存在する、関東近郊を中心に展開する外食チェーン企業に適用して計算しました。
店舗数が30に満たない小規模な企業や、売上高のうちで外食ビジネスの占める割合が10%未満の銘柄(セブン&アイ・ホールディングス<3382>グループの「デニーズ」や、サッポロホールディングス<2501>グループの「銀座ライオン」など)は、都心依存度を正確に見極めることが困難なため、除外しています。
では、実際にランキングを見てみたいと思います。
■都心依存度の上位と下位の10銘柄
※上位10銘柄
銘柄名<コード> | 都心依存指数 |
---|---|
バルニバービ<3418> | 17.67 |
グローバルダイニング<7625> | 7.14 |
銀座ルノアール<9853> | 6.04 |
ダイナックホールディングス<2675> | 6.00 |
DDホールディングス<3073> | 6.00 |
エスエルディー<3223> | 4.63 |
ユナイテッド&コレクティブ<3557> | 4.52 |
ジェイグループHD<3063> | 4.22 |
ハブ<3030> | 3.52 |
三光マーケティングF<2762> | 3.50 |
※下位10銘柄
銘柄名<コード> | 都心依存指数 |
---|---|
ブロンコビリー<3091> | 1.09 |
物語コーポレーション<3097> | 1.09 |
幸楽苑ホールディングス<7554> | 1.10 |
カッパ・クリエイト<7421> | 1.12 |
スシローグローバルHD<3563> | 1.13 |
サガミホールディングス<9900> | 1.14 |
小僧寿し<9973> | 1.17 |
くら寿司<2695> | 1.18 |
安楽亭<7562> | 1.18 |
元気寿司<9828> | 1.19 |
その株価パフォーマンスは予想通り、上位銘柄がネガティブ、下位銘柄がポジティブの状態になります。下の図に示すように、新型コロナウイルスの悪影響が顕在化して株式市場が大荒れした2月後半以降で見ると、都心依存度の低い銘柄の底堅さが目立ちます。
偶然である可能性は否定できませんが、一応選定銘柄数を広げて上下20銘柄、そして30銘柄としても傾向は変わりませんでした。少なくともこの計測期間については一貫した効果を生み出していたようです。長期的な構造変化を見通す投資アイデアとして、一考の価値はありそうです。
■都心依存度の上下10銘柄の 2月以降パフォーマンス(対TOPIX)
出所:データストリーム
これに加えて、今回の新型コロナウイルスの「不要不急の外出の自粛」については、それに伴う飲食・小売の事業継続性に対するリスクが露見しました。1~2カ月程度の短期の店舗休業でも、倒産の危機に陥るような商店や企業が少なくなかったということです。
今回の分析の対象となっている上場銘柄は、中小の商店に比べれば財務の健全性は高いとはいえ、多額の資金を注いで広域に多くの店舗を展開し、多額の負債を抱えた状態で客足が遠のいた場合、それが事業の先行きに重くのしかかってくることになります。
実際に、上記と同様に2月末から足元までの期間について、東証1部上場銘柄の財務の健全性を表す自己資本比率を基に投資パフォーマンスを計測する(母集団内上5分位)と、その値の高低によってパフォーマンスが明確にプラスとマイナスに分かれてきます。
■東証1部銘柄の自己資本比率の高い群と低い群のパフォーマンス比較
出所:データストリーム
特に外食は、今回の件に限らず、過去を見れば狂牛病や鳥インフルエンザなど、物理的にも消費者心理としても突発的な疫病やアクシデントに大きく左右されやすく、統制不可能なリスク要因にさらされる危険性が高い業種でもあります。
その意味で、これらの銘柄を選定するうえでこの財務の健全性をしっかりと考慮しておくことは極めて重要であるといえそうです。
最後に、参考までに都心依存度と自己資本比率を合わせた銘柄を添付します。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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