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【特集】ビーネックス Research Memo(2):国内外でM&Aを重ね、高成長を継続


■会社概要

1. 会社概要と沿革
ビーネックスグループ<2154>は、技術者や製造スタッフの派遣・業務請負などの事業を展開する人材サービス企業である。特に技術者の派遣と請負に強みがあり、自動車や電機業界など国内外のメーカーを中心に人材派遣などのサービスを提供している。技術者派遣系の上場企業の中では成長志向が強く、M&Aを積極的に実行、海外展開も推進している。このため同社の事業領域は現在、技術系領域、製造系領域、海外領域へと広がっている。

同社は1997年、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく特定子会社として、三栄商事(株)などにより共生産業株式会社として設立された。2004年に(株)アミューズキャピタルが同社の全株式を取得し、商号を株式会社トラストワークスサンエーへと変更するとともに、事業内容を人材サービス事業(特定労働者派遣事業)などへと拡大した。2005年にアミューズキャピタル傘下にあった旧(株)トラスト・テックの全株式を取得し、技術労働者派遣事業に進出した。2008年には、旧トラスト・テックを吸収合併して商号を株式会社トラスト・テックと変更し、今日の体制の基礎を構築した。

その後、同社はM&Aを重ね、業容を拡大していくことになる。2009年3月に(株)PLM((株)ビーネックスパートナーズへと改称)、2015年7月に(株)フリーダム((株)トラスト・ネクストソリューションズに改称)、同年10月に(株)カナモトエンジニアリング((株)トラィアルに社名変更後2016年10月に同社に吸収合併)を子会社化した。また、IT・ソフト領域強化の一環で、2017年3月に(株)フュージョンアイ((株)トラスト・アイパワーズに改称)を子会社化、2019年7月にトラスト・アイパワーズとトラスト・ネクストソリューションズを合併し、(株)ビーネックスソリューションズを設立した。さらに2019年11月、IT技術分野の拡張を目的に、ITエンジニア派遣の(株)アクシス・クリエイトと(株)フェイス、ICTエンジニア育成の(株)アクシスヒューマンデベロップメントを子会社化した。

海外に関しては、2010年6月に香港虎斯科技有限公司を子会社化、2015年以降、その香港虎斯科技有限公司を中心に、合弁などにより中国やインドネシアに進出エリアを拡大した。一方、2016年8月に人材派遣会社MTrec Limited(以下、MTrec)を子会社化し、英国における人材派遣サービス進出の足掛かりとした。2017年12月にGap Personnel Holdings Limited(以下、Gap Personnel)(なお、直接の買収対象は持株会社の1998 Holdings Limited)を子会社化、2018年8月にはGap Personnelを通じてQuattro Group Holdings Limited(以下、Quattro Group)を子会社化するなど、英国での人材派遣サービスの本格展開を開始した。2019年1月にはベトナムに進出しており、アジア強化も忘れていない。


BENEXTへのリブランディングと企業価値の最大化を推進
2. 持株会社化とブランディング
同社は、2020年1月に持株会社体制へ移行するとともに、株式会社トラスト・テックから株式会社ビーネックスグループへと社名を変更した。

持株会社化の理由は、M&Aにより国内外に多数の事業会社を抱える状況になったことや、経営の効率とスピードを上げ、新技術や新産業への関与を通じて技術者の活躍の場とスキル向上の機会を創出していくためには、従来の事業持株会社的な組織形態より純粋な持株会社のほうが有効だと判断したからである。事業子会社は事業の成長に注力に特化し、持株会社はM&Aや経営戦略の立案、経営管理などを担うことになる。企業価値を最大化していくうえで、非常に有効な選択だったと言える。

一方新社名は、英語で表記すると「BeNEXT」となり、「次」に挑む機会を創り続け、「個の尊重」「可能性の追求」「社会との調和」を通じてサステナブルな事業価値を創造していこうという、日々果たすべき使命を表現している。「個の尊重」は、同社の最も重要なアセットである技術者一人ひとりが持つ価値観や人間性を尊重し、その才能を生かすことで技術者の新技術への挑戦やスキルの向上をサポートし、「可能性の追求」は、柔軟な発想で未来を見据えて可能性をひらくことで、人や組織の成長機会を創造し続け、「社会との調和」は、法令遵守にとどまらず事業によって社会に貢献し、多彩な人材を通じて多様な価値を提供していくという考えである。従来の「トラスト・テック」という社名も十分知名度は高いが、こうしたブランディングによって持続的成長への決意を表すとともに、転職市場や派遣業界での存在感を改めて発揮するという効果も期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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