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【特集】ビーネックス Research Memo(1):IT・ソフト領域の成長で2022年6月期はEBITDA100億円超目指す


■要約

1. 技術系領域、製造系領域、海外領域が3本柱
ビーネックスグループ<2154>は、技術者や製造スタッフの派遣・請負を中核事業とする人材サービス企業である。主力となるのが、研究開発や設計など技術分野において派遣・請負・委託事業を展開する技術系領域で、特に技術者の派遣・請負に強みがある。また、技術系人材派遣を手掛ける上場企業の中でもM&Aや海外展開に積極的だ。ほかに、自動車や機械メーカーなど製造工程向けの請負・派遣事業を展開する製造系領域、英国など海外において製造スタッフの人材派遣を行う海外領域があり、同社の3本柱を形成している。さらに、障がい者雇用を担う特定子会社なども運営している。事業別売上高構成比は技術系領域49.4%、製造系領域12.2%、海外領域38.3%と技術系領域でほぼ半分、3本柱で100%近くを占め、セグメント利益構成比では技術系領域が89.4%と大半を占めている(2019年6月期調整前)。

2. 技術者の「価値」と株主価値の向上を目的に「ビーネックスグループ」へ社名変更
各業界において技術者の仕事が、その業界に特化した設計・開発に加えて、IT・ソフトの導入が急務となっている。人材サービス業界では各社とも、こうした環境変化に対して技術者の採用と教育を強化している。同社も同様だが、特に同社の特徴である、技術者をスキルに見合った顧客企業に派遣するという考え方と、技術者のスキルアップを支援する独自の「EV(エンジニアバリュー)モデル」によって、技術者のスキルアップと評価向上を強力にサポートしている。また同社は、IT・ソフトなど幅広く領域を拡大するために、設計・開発を想起させる「テック」という名を現状を示す言葉に変えたかったことや、技術者の「価値」を高めるという理念を企業内外に明確に示すため、社名を株式会社トラスト・テックから株式会社ビーネックスグループへと変更した。社名変更に合わせ、M&Aで増加した子会社が事業の成長に注力し、マネジメントを効率的にコントロールするため、持株会社化も実施した。これらにより、持続的成長と株主価値の向上を目指していく考えだ。

3. 新中期経営計画を遂行し2022年6月期EBITDA100億円超の達成を計画
社名変更に先立って、2019年8月に同社は3ヶ年の中期経営計画を策定した。前中期経営計画では市場でのポジショニング確立を目的にM&Aを駆使するなど成長重視の姿勢を示したが、新中期経営計画では、主として国内技術系領域の成長に注力することをベースに、1) 2022年6月期のEBITDA※100億円に到達、2) 技術系領域の売上高・EBITDAの毎期二桁成長、3) 配当に加え、自己株式の取得も視野、の3つを掲げている。新中期経営計画の中で技術系領域を重視しているが、特に注力を謳っているのが各業界で強いニーズのあるIT・ソフト領域である。同社の特徴を生かしてIT・ソフト領域を拡大し、2022年6月期のIT・ソフト領域の売上高を2019年6月期の約2.5倍、約250億円にする計画である。製造系領域と海外領域については、基盤構築を目指しているが、一方、条件が合えばM&Aなど積極策も実行する考えである。

※EBITDA=営業利益+のれん償却+減価償却費+M&A買収一時費用


4. 下期巻き返しで2020年6月期2ケタ増益を狙うが、新型コロナウイルスが懸念材料
2020年6月期第2四半期も業績は順調で、売上高40,889百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益2,741百万円(同11.2%減)、EBITDA3,403百万円(同7.4%減)となった。増収減益で業績順調というのは、第2四半期の減益が、稼働日数減と採用増加による稼働率の一時的低下は当初から見込まれていたことによるものだからである。下期は稼働日数が増加に転じ、待機していた技術者が稼働にまわるため、大きく巻き返していく計画になっている。このため、2020年6月期通期では、売上高87,000百万円(同6.6%増)、営業利益6,500百万円(同13.6%増)、EBITDA7,533百万円(同10.1%増)と2ケタ増益を見込んでいる。ただし、新型コロナウイルスによる世界的な混乱という新たな懸念材料が生じており、先行きはやや不透明になったと言える。

■Key Points
・業容拡大にともない、企業理念を反映した「ビーネックスグループ」に社名変更
・IT・ソフト領域での積極投資を背景に2022年6月期EBITDA100億円超を目指す
・2020年6月期は通期で2ケタ増益を狙うが、新型コロナウイルスの懸念も広がる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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