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【市況】日経平均は小幅続伸、5日線前に上値重い、資金の逃げ足速く/ランチタイムコメント

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

 日経平均は小幅続伸となった。11.12円高の21355.20円(出来高概算7億9768万株)で前場の取引を終えた。前日の米国株式市場では、新型肺炎感染を受けて各国当局が景気支援策に踏み切るとの期待から買い戻し優勢となるなか、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行が新型肺炎を巡る対応策で、3日に電話会談を開催することが報じられると上げ幅を拡大。引けにかけては、トランプ大統領が製薬会社との会合を開催し、新型肺炎向けワクチンへの早期開発期待も加わった。

 シカゴ日経225先物清算値は大阪比255円高の21425円。本日の日経平均はこの水準を上回ってのスタートとなり、直後に上げ幅は前日比で370円を超えた。一方で、その後は、アジア株式市場で総じて上値の重さが意識されるなか、日経平均も次第に上げ幅を縮小。いったん利益確定の動きもみられ、一時マイナスに転じる場面もあった。

 セクターでは、証券・商品先物取引業や水産・農林業が1%安になったほか、機械、小売業、その他製品が軟調となった一方で、医薬品や電気・ガス業、海運業は上昇。売買代金上位銘柄では、ソフトバンクG<9984>、ソニー<6758>、オリエンタルランド<4661>、ファーストリテ<9983>、キヤノン<7751>、武田薬<4502>、村田製作所<6981>、キーエンス<6861>、リクルートホールディングス<6098>が上昇。一方で、任天堂<7974>、三井住友<8316>、東京エレクトロン<8035>、信越化<4063>、アドバンテスト<6857>はさえない。

 本日の日経平均は、日米だけでなく世界各国当局による景気支援への期待感からいったん値を戻す銘柄が散見された。しかし、トランプ大統領が新たな旅行制限を検討していると明らかにしたことなども伝わっており、国内だけでなく世界的な大きな経済打撃は避けられないとの見方は根強い。このような状況下で景気敏感株の戻りは鈍く、東京市場に物色の広がりはみられていない。足元の下落相場にて、信用評価損益率や騰落レシオ、各種移動平均線乖離率は揃って反発のエネルギーが意識される水準までの調整をみせているものの、日経平均は5日移動平均線を前に上値は重く、短期的な下落トレンドすら払拭できない状況にあることも事実である。

 中長期目線での海外投資家などによるマネー回帰が現状も期待できないなかで、ランチタイムにかけての為替市場では、ドル円が再び1ドル=108円台を割り込んで来ており、こちらも投資家心理の重しとなろう。本日の物色としても、週初に利食い売りの出た新型肺炎による新たな需要が期待されるテレワーク関連や巣ごもり消費関連に短期資金が再び流入しており、資金の逃げ足の速さを意識しながらの空中戦は続きそうだ。
《AK》

 提供:フィスコ

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