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【特集】ギグワークス Research Memo(1):2019年10月期通期は4年連続の増収増益を達成(1)

ギグワークス <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ギグワークス<2375>は、10万人を超える登録エージェントの空いた時間やスキルに合わせて、IT関連の機器サポートやコンタクトセンターなどの多様な業務をマッチングする注目のビジネスモデルで成長する企業である。2019年8月にスリープログループ株式会社からギグワークス株式会社に商号変更し、同年9月には港区虎ノ門に本社を移転、次代に向けてギアチェンジをした。新たなビジョンは「日本一のGigEconomyのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす!」である。これまでもギグエコノミーとシェアリングエコノミーをけん引してきたが、さらに大きな社会的インパクトをもたらす企業に進化することを宣言した。同社の最大の経営資源はヒトであり、女性の活躍や健康経営において先進的であり内外からの評価も高い。東証2部に昇格した2015年からはM&Aを積極化。5社を連結子会社化し、事業規模を急速に拡大している。現在は、東証1部への昇格を目指している。

1. 市場動向
「ギグエコノミー」とは、インターネット等を通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言う。2015年頃から、米国を中心に使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどに注目が集まったがソフトウェア開発やクリエイティブ系の仕事など様々な業務がある。シェアリングエコノミーの一分野であり、ヒト・スキルのシェアリングとも言える。日本国内においては、働き方改革、副業・兼業の容認拡大やフリーランスの増加のなかで、これからの本格的な普及が期待される。2019年9月には日本経済新聞が「ギグエコノミーの担い手たち」という連載(5回)を行っており、国内でも“ギグエコノミー”の認知度は上がっている。市場成長の背景には、必要な時に必要なだけ仕事ができるという利便性の高いマッチングサイト・アプリの存在があり、プラットフォーム提供企業の役割が重要である。

ギグワーカー(ギグエコノミーにおける働き手)は、独立したフリーランスや個人事業主、学生や主婦、本業を持つビジネスマンなど多彩である。フリーランス大国である米国では、2018年に労働人口の35%がフリーランスであり、日本でもその人口は労働人口の17%にまで上昇している。世界的にギグエコノミーをリードするのは米国に本社を置くプラットフォーマーである。国内企業でも多くの企業がギグエコノミー関連事業に取り組んでおり、成長企業が多い。国内では同社以外に、クラウドワークス<3900>、ランサーズ<4484>などがある。日米同業企業は、いずれも投資が先行しており赤字であるが、主要企業で同社のみ黒字化を達成している。

2. 業績動向
2019年10月期の連結業績は、売上高が前期比9.5%増の17,584百万円、営業利益が同33.8%増の784百万円、経常利益が同30.6%増の801百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.1%増の448百万円となった。4年連続の増収増益であり、売上高、各利益ともに過去最高を更新した。

BPO事業が売上高、各利益ともに好調に推移し、全社の業績をけん引した。2019年10月期は累計6,171名、毎月3,000~4,000名のギグワーカーが仕事に従事した。増収の背景にあるのは、シェアリングエコノミー市場やギグエコノミー市場の拡大である。その一例として、市場が急速に拡大しているフードデリバリー(宅配)において、同社は加盟店獲得のための営業代行業務や運営支援業務を担当し、受注を拡大した。また、2019年10月に実施された消費税増税に伴うシステム改修の案件やWindows10へのPC入替サポート業務も好調に推移し増収に寄与した。同社の基盤事業であるコンタクトセンターに関しては、IT周辺機器や多言語に対応したヘルプデスクのニーズが底堅く、通信販売事業者向けの案件も拡大し好調を維持。「東京・大阪・福岡」を中心に増席を進めた。また、自社開発商品のCRMシステムの販売も好調。スマートフォン・タブレット端末向けのキッティング業務や携帯電話・スマートデバイス無線通信の基地局案件において、拠点の合理化や人員の適正配置の効果が出ており、収益性の向上に寄与した。安値受注をしていた顧客企業に対しての適正な価格提案の取り組みも成果が顕在化し、売上高総利益率は前期比1.0ポイント改善した。

2020年10月期通期の連結業績は、売上高は前期比8.0%増の19,000百万円、営業利益は同14.8%増の900百万円、経常利益は同12.3%増の900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同22.7%増の550百万円と、5期連続の増収増益を予想する。BPO事業の事業環境は、「企業の人材ニーズ」と「ギグワーカーの顕在化」の2点から見通すことができ、いずれも期待できる。特に増収に貢献しそうな業務としては、1)次世代の移動通信方式5G関連業務(基地局の営業・設置業務など)、2)一括リコール対応の新サービス「ワンストップアシスト」、3)前期に増床したコンタクトセンター業務、などである。コワーキングスペース事業では、新規出店がカギとなる。進行期は、藤田観光<9722>との業務提携により、新宿ワシントンホテル内及び東京ベイ有明ワシントンホテル内でのシェアワークスペース提供が予定されている。東京ベイ有明ワシントンホテルは東京オリンピック開催時にプレスセンターとなる予定でもあり、好調なスタートとなりそうだ。営業利益に関しては、営業利益率で4.7%(前期は4.5%)を予測する。進行期は、人材募集のための広告宣伝費を増加させる計画。2020年2月には、子会社7社を3社に集約することを決定している。営業・採用活動の一体化や管理コストの削減を行うことで収益性向上を目指す考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《ST》

 提供:フィスコ

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