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【市況】中東情勢と原油価格の関係が深い理由~もっと知りたい商品先物取引


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回は、中東情勢の混乱を受けた原油価格の動きについて説明します。

■足元で原油価格は上昇後、続落
東京商品取引所(TOCOM)の先物市場にて、原油価格(先限)は2019年12月5日の安値38,440円(1キロリットルあたり)を起点に、1月8日の45,320円まで右肩上がりで推移しました。特に1月8日に急上昇となり、安値が42,730円、高値が45,320円でした。ただ、その後に下落が続き、1月15日には40,980円の安値をつけています。

■中東情勢と原油価格の関係が深い理由
この原油価格の上昇と下落には中東情勢の変化が関係しています。まず、中東情勢と原油価格の関係が深い理由を説明します。中東は、サウジアラビアやイラン、イラクなど、世界の主要な産油国が集まっている地域です。ちなみに日本では特に中東からの輸入が多く、2017年の石油の中東への依存度は87%にものぼります。この中東からの原油のほとんどが「ホルムズ海峡」を通過して日本に輸入されます。この海峡は日本だけでなく、世界への原油輸出の要所となっているため、「エネルギー供給の大動脈」と言われています。そのため、ホルムズ海峡付近での有事は原油価格に与える影響が大きいといえます。

■イランと米国の対立により原油価格は上下した
ホルムズ海峡の北にはイラン、南にはオマーンが位置しています。イランといえば、米国との対立がニュースで連日報道されています。米国がイラン革命防衛隊の精鋭部隊のソレイマニ司令官を殺害し、イランはこの報復としてイラクの米軍基地にミサイルを発射。これらを受けてイランがホルムズ海峡を封鎖してしまえば、原油の供給は不安定になります。世界経済への打撃は避けられません。このような原油の供給不安から、原油価格は上昇しました。しかし、イランのザリフ外相の「均衡の取れた自衛措置は完了」という攻撃の中止を示唆するメッセージや、トランプ米大統領がイランとの対立激化を望まない姿勢を示したことなどを受けて、市場では「イランと米国の対立が一旦は沈静化した」と受け止められ、原油供給不安が後退し、原油価格は下落しました。今後も中東情勢に注目しながら市場をウォッチしていきましょう。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ

《HT》

 提供:フィスコ

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