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【特集】明豊ファシリ Research Memo(5):「レゴランドジャパン新築プロジェクト」がCM業務として世界最優秀賞を受賞

明豊ファシリ <日足> 「株探」多機能チャートより

■明豊ファシリティワークス<1717>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) オフィス事業
オフィス事業の売上高は前年同期比22.9%減の597百万円、営業利益は同48.1%減の82百万円となった。売上高はピュアCM方式を選択する企業が増えたことが減収要因となっており、利益面では前年同期に付加価値の高い大規模移転プロジェクトの売上計上があった反動で減益となっている。ただ、2年前の利益水準と比較すると高く、受注粗利益ベースでは前年同期比で3割以上増加していると推計されることから、基調としては順調に推移したと言える。

大企業におけるグループ企業の統廃合、地方拠点の集約化に伴うオフィス移転や、大規模新築ビルの竣工同時入居プロジェクトなど難易度の高い案件の受注が増加しており、また、自社開発による「ホワイトカラーの生産性定量化システム」を用いたアクティビティの可視化と蓄積されたデータの有効活用について、17年の運用実績を持つ同社に対して、「働き方改革」に関する構想策定から定着化までの支援依頼が多く寄せられており、これら分野での受注が増加している。

(2) CM事業
CM事業の売上高は前年同期比1.1%増の1,064百万円、営業利益は同963.2%増の214百万円と大幅増益となった。地方自治体庁舎や学校を始めとする公共分野の受注が増加したほか、グローバル企業の大型研究施設、工場、商業施設、及び大学施設の再構築、駅舎や大規模商業施設での電気・空調等設備更新プロジェクト等の引き合いが既存顧客のみならず新規顧客からも増加した。また、従来CM事業の利益は下期偏重型で第2四半期累計としては2013年3月期の88百万円が過去最高だったが、今回は同水準を大きく更新したことになる。従業員1人当たりの生産性が向上※したことに加えて、公共案件などの動き出しが比較的早かったことなどが要因と見られる。

※従業員の月平均残業時間は全社平均で前年同期の17.5時間から12.2時間に減少している。


なお、2020年3月期は(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会が主催する「CM選奨2019」において、「市原市防災庁舎」「福島県Jビレッジ復興再整備」「山崎学園 富士見中学校高等学校校舎建替え」「JR新宿駅南口複合施設NEWoMan新築」の4件で「CM選奨」を受賞したほか、スイス・ローザンヌで行われた国際コンストラクションプロジェクトマネジメント協会主催の年次総会において、同社がCM業務を行った「レゴランドジャパン(愛知県名古屋市)新築プロジェクト」が、最優秀賞である「2019年度 Alliance Full Award」を受賞し、同社のPM力が世界最高水準であるとの評価を受けた。日本企業による最優秀賞の受賞は、2016年度にトヨタ自動車の「中国江蘇省 研究開発センター建設プロジェクト」で受賞して以来、2例目となり、同社のブランド力が一段と高まったことになる。

2019年9月には東京大学から「2019年度施設整備事業における設計・工事段階コンストラクション・マネジメント業務」を受注した。東京大学の2019 年度施設整備事業において、同大学が求める機能や諸条件等を余すことなく成果物に反映し、円滑に事業を進行させるために、設計・工事段階の事業管理業務に関し、直接的または間接的支援を行うことになる。今回は神岡宇宙素粒子国際共同研究拠点(岐阜県)と東京・本郷にある総合研究棟の改修(工学系及び農学系)の3案件が対象だが、東京大学が保有する施設は多く今後の継続的な受注獲得が期待される。

(3) CREM事業
CREM事業の売上高は前年同期比16.9%減の432百万円、営業利益は同12.8%減の91百万円となった。一部顧客において長期プロジェクトの端境期に当たり、業務量が一時的に減少したことが減収減益要因となった。ただ、同社の透明なCM手法とデジタル技術を活用した顧客資産情報のデータベース化による、多拠点同時進行プロジェクトの一元管理や、プロジェクトの進捗状況を効率的に管理する同社サービスのメリットが顧客から引き続き高く評価されており、複数の商業施設、支店等を保有する大企業、金融機関から継続的に受注している。

また、公共分野においても2017年に東京都墨田区から受注した「公共施設(建物)長期修繕計画に基づく工事条件整理等業務」、2018年に東京都練馬区から受注した「公共施設長寿命化基準作成支援業務」に続いて、2020年3月期は新たに神奈川県三浦郡葉山町から「みんなの公共施設未来プロジェクト(劣化診断調査等)支援業務委託」を受注するなど、実績が積み上がってきている。いずれも公共施設の老朽化対策に関する案件で、長寿命化のためのグランドデザインを描き、施設ごとに個別に計画を立て予算化する業務を支援していくプロジェクトで、複数年にわたり売上に貢献することになる。地方自治体は2020年度までに公共施設の老朽化対策に関する計画を策定し、国交省に報告することになっているが、老朽化した施設は設計図面が無くなっているケースもあり、劣化診断と合わせて長寿命化のための計画やコストを策定しなければならず、同社でも専門チームを作って受注活動を強化している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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