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【特集】ムサシ Research Memo(5):選挙関連市場が“成長市場”であるとの見方に自信が深まる

ムサシ <日足> 「株探」多機能チャートより

■ムサシ<7521>の選挙関連ビジネスの動向

選挙関連ビジネスの市場に対しては“成熟市場”というイメージを有する向きも多いとみられるが、弊社では“成長市場”だととらえている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年毎の市場規模が大きく変動する中にあっても、peak-to-peakでみれば右肩上がりで推移しているためだ。

この要因はいろいろ考えられるが、弊社ではもっとも大きいのは省力化ニーズの高まりだと考えている。これは投票業務と開票業務の双方に共通した要因だ。投票業務については期日前投票の増加や有権者年齢引き下げなどが背景にある。一方開票業務については、迅速かつ正確な開票作業へのニーズと、それと相反する人件費削減の社会的要請が背景にあると考えられる。

詳細は業績の動向の項で述べるが、2020年3月期第2四半期決算は、選挙関連ビジネスは成長市場であるという見方を裏付けるような結果となった。第2四半期における好業績の理由の第1が4月の統一地方選挙と7月の参院選挙の2つのイベントが重なったことであるのは議論の余地はない。しかしそれに加えて、2019年3月に発売した新型の投票用紙自動交付機の好調な販売や、選挙関連製品群の重要な一角を占める投開票業務システムの大幅増収などもまた、第2四半期の業績伸長の大きな原動力となった。これらの結果として、選挙システム機材事業の第2四半期の売上高は前年同期比187.6%増の4,090百万円となり、通期ベースでは5,010百万円(前期比48.0%増)と初の50億円台乗せが予想されている状況だ。

第2四半期の新型交付機や投開票業務システムをめぐる動向は、短期的な業績押し上げ要因にとどまらず、選挙関連市場が成長市場であることを強く示唆するものだと弊社では考えている。以下で具体的に紹介する。

(1)新型投票用紙自動交付機
同社は、2019年3月に新型の投票用紙自動交付機をリリースした。この商品の最大の特長は、選挙の種類(衆院・参院の別、選挙区・比例区の別など)によって投票用紙の色が指定されることに合わせ、投票用紙の色を自動判別し、投票用紙の「取り違え交付」(間違った種類の投票用紙を交付すること)を防ぐ機能にある。従来型は「二重交付」(1人に2枚以上を交付すること)の防止に貢献してきたが「取り違え交付」には対応できていなかった。新型機はカラーセンサーの導入で「二重交付」と「取り違え交付」の両方を防止できる点が画期的だ。新型機の標準価格は、従来型との価格差を約40,000円に抑えた298,000円となっている。

間違った用紙で投票すると無効票となるため、行政側は正確な用紙の交付に腐心しているが、国政選挙のたびに各地で少なからぬ件数の交付ミスが発生している状況だ。新型機はそうしたニーズに的確に応える機能を有しているため、2019年4月の統一地方選から少しずつ導入が進み、7月の参院選ではさらに販売台数を伸ばした。

このように、新型交付機は同社の選挙関連ビジネスの大きな成長エンジンとなっているが、同じようなことが主力の投票用紙読み取り分類機をはじめとして他の機材でも起こりうるということが重要なポイントだ。更新需要だけでも同社の安定成長は十分可能と考えられるが、機能や付加価値の強化によって、成長のスピードアップや成長率の拡大も十分可能であることを新型交付機が実証して見せたということだ。

(2)投開票業務システムの動向
同社は名簿管理システムをはじめとする10種類の選挙の業務管理システム(ソフトウエア)を販売している。これらは同社の自社開発によるもので、パッケージソフトとしての販売を基本としつつ、各自治体のカスタマイズニーズにも対応(オプションサービス)している。

投開票業務システムは、高マージンであることと、選挙の有無で変動の激しい選挙関連ビジネスの収益の平準化という、2つの大きな効果を有している。高マージンは自社開発であることと、当初の開発費をカバーした後の収入はほぼそのまま利益になるというソフトウエアに特有の利益構造に由来している。一方、平準化作用というのは、選挙の各システムは選挙が決定してから導入したのでは間に合わず、選挙の合間を縫って導入し準備を進めておくべきものであるためだ。

2020年3月期第2四半期の投開票業務システムの販売は、改元に伴う需要が加わったことで通常の統一地方選や参院選の実施時に比べて売上高、利益ともに拡大した。これによってシステム販売の収益がピークアウトしたのかというと決してそうではないと弊社ではみている。上述のように、同社は選挙関連のシステム、ソフトウエアをフルにラインアップしているが、名簿管理システムや期日前投票システムのような基幹系システムにおいてさえまだ伸長余地が大きい模様だ。基幹系システムの新規導入と既導入自治体への周辺システムの重ね売り、及び更新需要の3つを軸に、投開票業務システムの比重は今後も着実に高まっていくものと弊社では期待している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

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