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【特集】アライドアーキ Research Memo(2):独自のSaaSとソリューションによりSNSマーケティングを支援(1)

アライドアキ <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

1. 事業概要
アライドアーキテクツ<6081>は、「ソーシャルテクノロジーで、世界中の人と企業をつなぐ」というミッションのもと、国内事業においては、生活者やファンとともにビジネスの成長を目指す企業を包括的に支援する事業を展開し、企業が生活者やファンを味方にしたマーケティングを推進するために、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなどのSNSを効果的にマーケティング活用するための様々なSaaS※及びソリューションを提供している。また、中国を中心とする越境ECやインバウンド市場に向けたSNSプロモーション支援のほか、海外子会社が運営する世界中の広告クリエイターからの質の高い広告クリエイティブ(広告素材)を短時間で提供するグローバルプラットフォーム「CREADITS(R)(クレディッツ)」にも注力している。

※SaaSとは、ソフトウェアをネットワーク経由で必要な分だけ提供するサービス形態のこと。同社においては原則として月額契約のプロダクトを示す。


市場が拡大しているSNS領域に特化し深掘りすることにより、専門性と独自性を兼ね備えたサービスをワンストップで提供してきたことが、同社の強みの源泉となってきた。また、最近では、日本企業を取り巻く環境が、人口の減少、市場の超成熟化とグローバル化、そして情報源のマスから個人への多様化と大きく変化する中で、同社グループが事業を行う企業のマーケティング領域においては、国内市場では生活者・ファンとの関係性を強化していくこと、加えて国内市場のみならず越境・インバウンドも含めたグローバル市場からも新規顧客を獲得していくことが必要になってきている。そのような環境において、同社グループのサービス進化と市場ニーズの拡大が同時進行しており、SNSマーケティングの黎明期からファンづくりを支援し、実績を積み上げてきた同社にとっては、いよいよ成長加速に向けた新たな局面を迎えていると言えるだろう。

事業セグメントは、ソーシャルメディアマーケティング支援を主な事業とする単一セグメントであるが、サービス別に3つに分類している。市場環境の変化とそれに伴う事業戦略の方向性に合わせ、事業ドメインを再定義した(事業名称も変更)。主力の「ファン・リレーションシップ・デザイン事業」のほか、「越境・インバウンドプロモーション事業」(旧越境プロモーション事業)、シンガポールの海外子会社Creadits Pte. Ltd.※(以下、Creadits)による「クリエイティブプラットフォーム事業」(旧クリエイティブテック事業)となっている。

※2018年6月に、サービス名の変更に伴い「ReFUEL4 Pte. LTD.」から「Creadits Pte. Ltd.」に商号変更した。


各事業の概要は以下のとおりである。

(1) ファン・リレーションシップ・デザイン事業
自社開発の多様なマーケティングプラットフォームの運営など、様々なSaaSプロダクトやソリューションを通じて、企業のSNSマーケティングやプロモーションを行ってきたが、2018年7月に市場ニーズの変化に合わせて、新たに「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想を発表。サービス領域を「SNSマーケティング」「ファンマーケティング」「UGC※1マーケティング」の3つの領域に位置付け、SNS領域のみならず、「人を軸とした新しいマーケティングインフラの提供」※2(企業と生活者・ファンとの最適な関係構築)を行っている。

※1 Webサイトのユーザーによって生成・政策されたコンテンツ(User Generated Content)の総称。
※2 企業のファンを可視化し、ファンとの関係を深め、ファンが新しいファンを呼ぶような循環を生む、「ファンベース」を基盤とした新しいマーケティング支援。


例えば、主力サービスである「モニプラ」では、各種キャンペーンの開催のほか、ファンサイト作成※1や効果分析※2などを行うことができる。顧客企業にとっては、1)キャンペーン等への効率的な集客のほか、2)商品モニターやアンケートを始め、フォトコンテストや懸賞・人気投票など、様々なキャンペーンを手軽かつ低コストで開催できることや、3)会員ユーザーとの交流を通じた自然な形でのクチコミの醸成(及び消費者への拡散)による認知度向上などにメリットがある。また、そこで蓄積されたSNSデータをデータマネジメント(CRMや需要調査、商品開発など)や精度の高いSNS広告に活用することも可能となっている。一方、会員ユーザーにとっては、ワンストップで複数企業のキャンペーンにアクセスすることができ、その中から好みのキャンペーンに無料で参加し、商品等を入手したり、企業に対して商品等の感想や要望を発信するといった交流を図ることができるところにインセンティブがある。同社は上記サービスを、FacebookやTwitter、Instagram、LINE等の主要な各SNSとの連携によってSNSユーザーに展開しており、登録ユーザー総数は600万人を突破するとともに、累計クライアント数も5,000社以上に上る。

※1 「モニプラ」上に作成される顧客企業専用のページであり、キャンペーンに参加した会員ユーザーデータが蓄積される仕組みとなっている。
※2 「モニプラ」管理画面より、キャンペーンに参加した会員ユーザーの状況やページビュー数、コメント、参加時間等のデータを分析するツールを利用できる。


したがって、企業のマーケティング課題に対して、様々な独自プロダクト(SaaS型)とソリューション提供(広告制作や運用にかかるプランニング、コンサルティング等)により解決するところに特徴があり、企業の広告費・販促費の効果的な利用を促すだけでなく、インフラの提供で人件費・外注費・システム費も代替えすることが可能となっている。

(2) 越境・インバウンドプロモーション事業
中国を中心とする越境ECや急激に拡大するインバウンド市場に向けて、SNSを活用したプロモーションの支援を行う事業である。2016年8月に中国最大規模のSNS「Weibo」の公式マーケティング会社北京天下秀科技有限公司(IMS)と提携し、「Weibo」の公認サービス「WEIQ」※1の日本における独占販売契約を締結すると、中国向けの動画インフルエンサーマーケティング事業を行う合弁会社Vstar Japan(株)※2を設立した。本格的な業績貢献にはある程度の時間を要するものと見られるが、2018年における中国のEC市場は約170兆円(日本の約14倍)と世界最大級の規模を誇る上、日本からの越境ECも1兆円を超え拡大基調にある。中国ではSNS利用者が多く、影響力も大きいことから、SNSを活用したプロモーションのポテンシャルは非常に大きい。

※1 「Weibo」や「WeChat」上のインフルエンサーを活用した中国向けコンテンツ拡散支援サービスである。約80万人のインフルエンサーが登録する中国最大級のインフルエンサーネットワークの活用が可能となっている。
※2 中国に向けた動画インフルエンサーを活用したプロモーション事業の日本国内における販売などを目的としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

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