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【市況】原油相場の上昇幅が限定的になっている理由~もっと知りたい商品先物取引


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回のコラムでは原油価格の上値が限定的になっている理由について考察します。

■原油価格は調整基調
まず原油価格の動きを確認してみましょう。東京商品取引所(TOCOM)の原油先物価格(プラッツドバイ原油、2020年3限月)は9月18日につけた41,350円(1キロリットルあたり)を直近の高値として下落を続け、10月4日には34,200円をつけています。

■サウジの生産能力回復で戻りも限定的
まず、直近の高値をつけた9月18日までの上昇の背景には、9月14日に、サウジアラビアの石油施設がドローンによる攻撃を受けたことがあります。このことにより、同石油施設の生産能力は半減してしまいました。これが原油の供給不安を招き、価格は急上昇しました。ただ、サウジアラビア政府が「生産能力を9月中に全面回復させる」と宣言したことなどにより、供給不安はやわらぎました。そして原油価格の上昇はおさまっています。

■中国の消費低迷も上値の重い要因
上記のように中東でのリスクがありながらも、価格の上昇幅が限定的になっている大きな理由は、中国において消費がにぶっているからです。この背景にはみなさんご存知の通り米中貿易戦争があります。中国においては、関税の引き上げにより輸出入ともに落ち込み、購買意欲が薄れています。これを表す数値として、8月の新車販売台数が前年同月比6.9%減の196万台となりました。14ヶ月連続で前年実績を割り込んでいます。このような中国経済の減速などを受けた原油需要の減少懸念から、原油価格の上昇幅はしばらく限定的になると見ることができます市場関係者は少なくないようです。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ

(参考:TOCOMスクエアTV http://commodityonlinetv.com)

《HT》

 提供:フィスコ

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