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【特集】ワールドHD Research Memo(1):市場環境の変化に対応し中期経営計画を見直し、堅実な成長を目指す


■要約

ワールドホールディングス<2429>は、「人材・教育ビジネス(人材派遣・業務請負事業)」「不動産ビジネス」をはじめとした複数の事業を展開する持株会社。基幹事業である人材・教育ビジネスはものづくり領域の請負・派遣から、近年は物流・サービス・小売業界向けにも事業領域を拡大中。また、不動産ビジネスでは、より盤石な経営体制を構築するため、従来のマンションデベロップメント中心の事業体から、リノベーション、戸建住宅等にも展開、総合不動産業へと業容を拡大している。

1. 2019年12月期第2四半期累計業績の概要
2019年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比3.8%増の66,827百万円、営業利益が同26.2%増の2,529百万円となり、期初会社計画(売上高66,514百万円、営業利益1,057百万円)を上回る増収増益を達成した。利益面での上振れ要因は、不動産ビジネスにおいて戦略的に一部物件の引き渡し時期を前倒し(当初は第4四半期を予定)したことが主因だが、人材・教育ビジネスを始めすべてのセグメントで計画を上回った。

2. 2019年12月期業績見通し
2019年12月期の連結業績は、売上高が前期比8.8%増の155,452百万円、営業利益が同17.9%減の6,049百万円と期初計画を据え置いた。もともと人材・教育ビジネスや不動産ビジネスが下期偏重型の計画になっていたこと、米中貿易摩擦が長期化するなど外部環境の不透明要因が続いていることによる。事業セグメント別では、不動産市況の過熱感から事業用地の仕入を慎重に進めてきた影響で、不動産ビジネスが2ケタ減益となるものの、人材・教育ビジネスや情報通信ビジネスは増益を見込んでいる。人材・教育ビジネスでは物流分野の成長が続くファクトリー事業のほか、技術者派遣の需要が旺盛なテクノ事業、研究者派遣の成長と臨床試験受託事業の構造改革を進めるR&D事業などすべての事業で増益を見込んでいる。人材・教育ビジネスでは、米中貿易摩擦の激化によるスマートフォン、半導体関連への影響がリスク要因だが、物流分野の拡大と新規顧客開拓、新規案件の受注でカバーしていく方針だ。

3. 新・中期経営計画2021ローリングプラン
同社は、最近の市場環境の変化を踏まえて「新・中期経営計画2021ローリングプラン」を発表した。中長期的な成長に向けた基本戦略を遂行するなかで、「同社らしさ」を追求し、堅実な成長を目指すこととした。当初の計画ではM&A戦略による規模拡大を想定していたが、M&A市場の価格高騰等により現時点でM&Aを行うにはリスクが高いと判断し、自力成長による成長を目指していく。また、不動産ビジネスでは市況の過熱感が想定以上に長引いていることで、デベロップメント関連の仕入活動も慎重にならざるを得ず、2021年までは不動産再生関連(リノベーション、コンバージョン)や新規事業に注力していく方針とした。経営数値目標は、2021年12月期に売上高で1,750億円、営業利益で80億円と当初計画(売上高2,000億円、営業利益100億円)から見直し、M&Aを考慮しない既存事業ベースの成長で達成可能な目標とした。事業セグメント別の売上高は不動産及び情報通信ビジネスが2019年12月期見込み比で横這い水準となり、人材・教育ビジネスの拡大で目標達成を目指していくことになる。人材・教育ビジネスでは、人材育成投資により組織化された人材プラットフォームを構築し、真の企業パートナーとしてのコ・ソーシング※を実現することで、ものづくり領域でのブランドNo.1を目指していく。なお、株主還元策としては配当性向30%を継続し、安定的かつ継続的な配当成長を目指す方針に変わりない。

※ クライアント本来のビジネス上に必要なコアなノウハウとHR部分を切り分け、HR部分を全面的に支援することで、クライアントの経営課題に対し“ともに”取り組んでいくハイレベルなアウトソーシングの姿。

■Key Points
・「人材・教育」「不動産」をはじめとした複数の事業展開により成長
・基幹事業となる人材・教育ビジネスは全事業で増収増益となる見通し
・新・中期経営計画では市場環境の変化に対応し、堅実な成長を目指す方向に軌道修正

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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