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【特集】佐藤正和氏【様子見の東京市場、ここは買い場かそれとも…】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―米中協議を前に思惑錯綜、円高含みで上値重い日経平均―

 週明け7日の東京株式市場は朝方高く始まったものの、その後は値を消す展開となった。2万1300円台では買い板も厚く下げ幅も限定的だったが、米中間の貿易協議を前に様子見ムードが漂っていることは否めない。ここは買い場とみるべきかどうか。買い場とみた場合、物色対象として有力視される銘柄は何か。また、足もと円高含みに推移する為替市場も気になるところ。株式市場と為替の動向について、それぞれ業界のスペシャリストに話を聞いた。

●「105円台の円高も」「日銀に追加緩和の可能性」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 10月の為替相場は値の荒い展開となる可能性がある。米国景気にピークアウト懸念が台頭するなか、4日に発表された米9月雇用統計は、労働市場の拡大基調が続いていることを示す内容だった。ただ、9月ISM製造業景況感指数が47.8となり製造業の状況は良くない。米国の労働市場は堅調な一方、製造業は減速感を強めるというまだら模様の状況だ。今後の展開は10~11日に予定されている米中貿易協議に左右されるだろう。

 こうしたなか、29~30日予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが行われるとみている。年末にかけ、更なる利下げがあるかどうかは今後の情勢次第だろう。

 米国が追加利下げに踏み切った場合、30~31日予定の日銀金融政策決定会合で追加の金融緩和が実施されることはあり得る。この場合、現在のマイナス0.1%の短期政策金利をマイナス0.2%に深掘りすることが実施されそうだ。米国が追加利下げを行い1ドル=106円前後の円高水準にあれば、日銀は追加緩和に踏み切らざるを得ないだろう。

 今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=105円50~108円00銭前後を見込む。トレンドは円高で105円台もあり得るだろう。

 ユーロドルは1ユーロ=1.07~1.11ドル前後で、ユーロはもみ合い基調。ユーロ円は1ユーロ=115円00~120円00銭でユーロ安基調を見込む。今月末に英国は「合意なき離脱」へ向かう可能性がある。ハードブレグジットとなれば、世界経済のリスク要因となるだろう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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