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【特集】ホットリンク Research Memo(9):ビッグデータ活用のSNSマーケティング支援サービスの成長ポテンシャル大


■今後の見通し

3. 成長戦略
ホットリンク<3680>は成長戦略として、「世界規模のデータアクセス権」と、独自で培ってきた「データ解析技術」を強みとし、複数の事業ポートフォリオを有機的に組み合わせながら、データ活用領域で事業拡大していく方針を打ち出している。

同社のサービスは、そのプロセスによって3つの階層に分けることができる。1つ目は各ソーシャルメディアから収集したビッグデータのアクセス権を、セールスフォース・ドットコムやIBMなどのグローバルIT企業等に卸販売するEffyisの事業となる。取り扱うソーシャル・ビッグデータは全世界の主要な大手SNSをカバーしており、種類・量ともに業界で圧倒的トップの地位を確立していると言っても過言ではない。このため、今後もその地位は揺るがず、安定成長が見込まれる収益源として同社の業績を下支えしていくものと予想される。

2つ目は、収集したソーシャル・ビッグデータを分析するツールとなる。「クチコミ@係長」が該当するが、ここ数年は成熟ステージに入り売上高も安定推移が続いている。3つ目は、収集・分析したソーシャル・ビッグデータを利活用するサービスとなり、同社が今後の事業の柱として注力していく分野となる。SaaS事業ではAIエンジンの搭載によるSNS広告運用の自動化ツールとして、「BuzzSpreader」の本格成長が2020年以降期待される。また、「BuzzSpreader」については「トレンドPR」のサービスでも活用していくことから、人件費率の低下によるグループ全体の収益性向上にも寄与することになる。

マーケティング手法は従前のマス媒体を活用した片方向のマーケティング施策から、インターネットの普及に伴って消費者が検索エンジンを使って関心のある商品を自ら探し出すことを前提としたネット広告によるマーケティング手法、さらにはSNSの普及によってクチコミ等の拡散効果も含めたSNSを活用したマーケティング施策が台頭し始めており、今後も費用対効果の高さからSNSを活用する企業が増加していくものと予想される。同社では日本、中国でこうしたSNSマーケティング支援サービスを強化し、トップブランドを確立して更なる事業拡大を図り、その次のステップとして東南アジアやその他地域にも同様の戦略を横展開し、グローバル企業として飛躍していくことを目標としている。


ブロックチェーン技術の活用による新規事業・サービスの検討を開始する
4. 新たな取り組み
(1) ブロックチェーン事業への取り組み
同社は今後普及が見込まれるブロックチェーン技術を用いた新規事業・サービスの可能性を模索すべく、新たにブロックチェーン関連のベンチャー企業に対する投資(年間1億円の投資枠を設定)をスタートさせている。投資の第1弾として、2019年3月にスポーツテック領域においてブロックチェーン技術を活用するベンチャーのSAMURAI Security(株)に10百万円を出資した。

また、多種多様な家族形成が認められる社会の実現を目指し、ブロックチェーン技術を活用したパートナーシップ証明書の発行サービスを行う「Famiee」プロジェクトを始動し、一般社団法人を設立したほか、東京大学ブロックチェーン寄付講座第2期を進行中で、優秀な人材の採用を行っていく予定にしている。

(2) ESGへの取り組み
ESGへの取り組みとして、同社ではHOTTO(ほっと)できる社会の実現に貢献するため、多様性の受容への活動を開始している。具体的には、新経済連盟のLGBT等性的マイノリティが生きやすい環境を創るための「SOGIエンパワーメントチーム」のプロジェクトリーダーに同社代表の内山氏が就任し、セミナーを主催するなど啓蒙活動を行っているほか、社内の取り組みとして2019年よりPRIDE指標※に参加し、LGBTに対する従業員への理解促進を図っている。具体的には、就業規則や社内規定、企業倫理憲章において、性的思考、性自認に関する差別禁止、事実婚・同性パートナーにも結婚祝い金の支給や慶弔休暇の取得を適用するなどを明文化している。

※PRIDE指標とは、任意団体「work with Pride」(以下、wwP)が、2016年に日本初の職場におけるLGBT等の性的マイノリティへの取り組みを評価するために策定した指標。2018年は150社超の企業が参加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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