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【特集】早稲アカ Research Memo(4):塾生数の増加と業務効率の改善により19年3月期は8期連続増収、5期連続増益に

早稲アカ <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2019年3月期の業績概要
早稲田アカデミー<4718>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.5%増の23,814百万円、営業利益が同37.2%増の1,526百万円、経常利益が同38.9%増の1,538百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.2%増の925百万円となり、売上高で8期連続増収、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益で5期連続の増益となった。

(1) 塾生数と売上高の動向
グループ全体の期中平均塾生数は前期比4.1%増の37,988人と順調に拡大した。内訳は、小学部が前期比8.9%増の19,404人、中学部が同0.1%増の15,248人、高校部が同3.2%減の3,336人となり、小学部が全体をけん引した格好となっている。一方、高校部は唯一減少に転じたが、これは早稲田アカデミー大学受験部のうち1校を中学受験専門校舎にリニューアルしたことなどが要因となっている。

小学部については早稲田アカデミー単体が好調で、なかでも非受験学年(小1?4年生)や公立校進学コース「Kコース」が前期比2ケタ増と好調に推移した。低学年から進学塾に通わせる傾向が強まるなかで、難関私立中学への高い合格実績とサービス品質の向上に取り組んだ成果がでているほか、塾生OGである芦田愛菜(あしだまな)さんを引き続き広告に起用した効果なども出ているものと考えられる。「受験コース」についても前期比で約7%増と順調に増加しており、ここ1?2年の間で早稲田アカデミーに入塾を希望する生徒の層が確実に広がっていることがうかがえる。特に「Kコース」の塾生数増加は、同社が注力している難関公立高校への進学を目指す学生の囲い込みを小学生段階からできることにもなるだけに、今後の中学部の生徒数増加につながる動きとして注目される。なお、期初計画比では1.8%の未達となったが、小中高校部ともにそれぞれ若干下回った。

売上高は小学部が前期比10.4%増の12,068百万円、中学部が同5.8%増の9,409百万円、高校部が同0.8%増の2,164百万円とそれぞれ生徒数の伸びを上回る増収率となった。夏期・冬期講習や模擬試験等の一般生徒からの参加が好調に推移したことが主因となっている。

校舎展開については、2018年6月に「早稲田アカデミー個別進学館蕨校」を直営校としたほか、7月には英語教育事業の本格展開に向けて、「多読英語教室 English ENGINE 月島」を開設した。English ENGINEは2校目の開設となるが、募集開始後間もなくで定員に達するなど好評を博している。また、2019年2月には小中学生対象の次世代型校舎として「早稲田アカデミー 練馬校」を移転リニューアルしたほか、3月には「早稲田アカデミー 大泉学園校」を大学受験部から中学受験専門校にリニューアルしている。子会社では、水戸アカデミーにおいて、従来分校的な位置付けであった日立校を閉鎖して、水戸校に集約化し、効率化を図った。

(2) 利益の増減要因
利益面を見ると、2019年3月期の営業利益率は前期比1.4ポイント上昇の6.4%となった。売上原価率が0.8ポイント上昇したものの、販管費率が2.2ポイント低下したことが利益率の上昇要因となっている。増減要因の内訳を見ると、売上原価では原材料費率が模擬試験の受験者数増加を主因として0.7ポイント上昇したほか、その他原価が夏期合宿費用の増加、教材の配送方法変更(校舎での手渡しから宅配に切り替え)に伴う運賃の増加、校舎リニューアルによる減価償却費の増加等により0.7ポイント上昇した。一方、地代家賃は塾生数増加に伴う増床や賃料値上げの影響を増収効果で吸収し0.4ポイントの低下となった。また、労務費率もアルバイト講師の最低賃金値上げ等の影響があったものの、基幹システムの導入に伴う校舎における事務作業の効率化が進み、0.1ポイントと若干ながら低下した。

販管費の内訳を見ると、労務費が変形労働時間制の活用や業務効率の向上に取り組んだこと等により0.2ポイント低下したほか、広告宣伝費もチラシを削減しWebを活用した広告宣伝に取り組んだこと、アルバイト講師の採用が順調に進み採用募集の広告費を抑制できたことで1.6ポイント低下した。なお、その他販管費については、集学舎の子会社化に伴いのれん償却額が前期比85百万円増加したほか、新基幹システム導入に伴う減価償却費の増加があったが、その他経費のコントロールに取り組んだことにより0.5ポイント低下している。

会社計画比では、販管費の削減を進めることができたものの売上未達に伴う原価率の上昇が響き、営業利益で10.6%の未達となった。

(3) 子会社の業績動向
子会社の業績動向について見ると、医歯薬専門予備校の野田学園は既卒生の回復により売上高で前期比7.7%増の546百万円、経常利益で同61.4%増の71百万円となり、増収増益に転じた。水戸アカデミーについては塾生数が微増にとどまり、売上高で前期比1.0%増の207百万円となった。また、2018年3月期第4四半期より子会社化した集学舎については、売上高で733百万円、経常利益で174百万円とそれぞれ計画を若干上回って着地した。営業利益率も23.7%となっておりグループ会社の中では最も収益性が高く利益貢献している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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