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【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は底堅い展開か、米中対立の過度の警戒は後退も

米ドル/円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

5日の欧米外為市場では、ドル・円は底堅い値動きを予想したい。前日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長によるハト派寄りの発言でドル売り基調は鮮明となろう。ただ、米中通商摩擦への過度の懸念は弱まり、リスク回避的な円買いはいったん後退しそうだ。

注目されたパウエルFRB議長の講演で、景気拡大の維持に向け適切に対応する方針が示された。足元の当局者による利下げに関し否定的な発言もあるが、市場では「早ければ7月、遅くとも9月には実施する可能性がある」との見方が広がりつつある。そうした背景からドル売り基調は鮮明となった。本日のアジア市場で日経平均株価が前日終値から400円近く強含んだほか中国株や欧米株式先物が堅調地合いに振れ、本来ならリスク選好的な円売りがドルを押し上げる地合い。しかし、ドル・円は108円台で底堅く推移していたものの、株高にも米長期金利が低下したことで売り圧力が徐々に高まり、108円割れまで軟化した。

この後の欧米市場でも、ドル売り基調は継続の見通し。今晩発表となる米5月ADP雇用統計(民間雇用者数)は前月から大きく落ち込むとみられ、今週末の雇用統計の低調な内容に思惑が広がりやすい。また、クラリダFRB副議長とボスティック・アトランタ連銀総裁に発言の機会があり、慎重姿勢ならドル売りの支援材料となるだろう。半面、利下げ観測は株買いを誘発しており、欧米株高を好感した円売りが見込まれる。一方、貿易問題で米中対立が激化するなか、中国政府は2日に発表した通商白書で摩擦の解決に対話と協議の必要性を指摘。それにより過度の警戒による円買いは弱められそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・5月サービス業PMI(予想:50.6、4月:50.4)
・18:00 ユーロ圏・4月小売売上高(前月比予想:-0.5%、3月:0.0%)
・18:00 ユーロ圏・4月生産者物価指数(前年比予想:+3.1%、3月:+2.9%)
・21:15 米・5月ADP雇用統計(予想:+18.5万人、4月:+27.5万人)
・22:45 米・5月サービス業PMI改定値(予想:50.9、速報値:50.9)
・22:45 クラリダ米FRB副議長あいさつ(連銀会議、シカゴ)
・23:00 米・5月ISM非製造業景況指数(予想:55.4、4月:55.5)
・24:00 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(住宅関連討論会)
・03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

《FA》

 提供:フィスコ

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