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【経済】NYの視点:米リセッション懸念、利下げ観測が一段と強まる


2019年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するブラード・セントルイス連銀総裁は講演で、インフレの低迷や世界貿易緊張からくる経済成長のリスク上昇で、近く利下げが正当化される可能性があると指摘した。貿易の不透明性リスクは景気減速をさらに進ませ、貿易の混乱が世界市場に一段と多大な影響を与えた可能性を警告した。また、現行の長短金利の利回り曲線はFRBの政策が引き締め過ぎである可能性を示唆していると指摘。利下げはインフレやインフレ期待の目標である2%達成を支援するほか、景気の大幅な減速を阻止する保険になると主張した。

長短金利差の逆転は3日、一段と悪化。景気後退の有無を判断する上で注目されている3カ月物、10年物の利回り格差は一時‐27.8と、2007年6月来で最大のマイナスとなった。米国経済が景気後退に陥るとの見解が一段と強まり、ドル売り圧力を強めた。ただ、他の連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは利下げに依然、慎重。ハト派として知られるカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁でさえ先週のインタビューで、「利下げを必要とする兆候はまだ見られない」と発言している。

米金利先物市場では年2回の利下げを織り込みつつあるが、バークレイズ銀の米国チーフエコノミストは年内75ベーシスポイント、あと3回の利下げを予想。貿易の緊張が一段と深刻化する可能性が強いと見ており、国内総生産(GDP)の成長率が低下すると予想している。

米供給管理協会(ISM)が3日に発表した最新5月の5月ISM製造業景況指数は52.1と、予想外に4月52.8から低下。2016年10月以来、最低を記録した。トランプ大統領が就任以来の最低水準。ただ、活動の拡大と縮小の境目となる50は33カ月連続で上回った。回答者のほとんどが米中貿易協議の行き詰まりに懸念を表明した。しかし、全般的にプラスのセンチメントは維持されたと報告されている。

■米・5月ISM製造業景況指数:52.1(予想:53.0、4月:52.8)

新規受注:52.7(4月51.7)
支払い価格:53.2(4月50.0)
雇用:53.7(4月52.4)
輸出:51.0(4月49.5)
輸入:49.4(4月49.8)
生産:51.3(52.3)
受注残:47.2(53.9)
入荷遅延:52.0(54.6)
在庫:50.9(52.9)

《CS》

 提供:フィスコ

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