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【特集】いちご Research Memo(6):長期VISION「いちご2030」を発表。Jリーグトップパートナー企業に就任

いちご <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略

1. 長期VISION「いちご2030」を発表
いちご<2337>は、2019年4月に、“サステナブルインフラ企業”として大きな成長を目指す長期VISION「いちご2030」を発表した。これまでの3ヶ年の中期経営計画を掲げてきたが、今回からは2030年を目標年とする11年間の長期VISIONとなった。背景としては、市況の変化に左右されず、今後さらに大きな成長を目指すなかで長期的視野の重要性が高まっていることなどが挙げられる。

目指す姿は“サステナブルインフラ企業”である。同社はこれまでも主に心築事業を通じて社会・生活インフラに(主にハード面)関わってきた。今後は、主役である人や企業の多様なニーズを的確に捉え、その行動を快適にする支援(主にソフト面)をITなども駆使しながら行う。不動産を保有する強みを活かし、「ハード・インフラ」と「ソフト・インフラ」のさらなる融合を図り、顧客ニーズを発掘して、それらにオンリーワンとして的確に対応することで、事業を拡大・発展する構想である。

初年度の取り組みとしては、
例1) 新しいアセットタイプ(寮・社宅、スポーツ施設など)への挑戦、テナントサービスやソリューション提供の強化
例2) いちごサステナブルラボ(新規事業創造のプロジェクト組織)の更なる発展と新規事業創出の加速化
例3) 心築資産のデータベース構築等、ITの積極的な活用による業務生産性の向上
などを計画している。

長期VISIONにおける経営目標としては、資本生産性、キャッシュ創出力、安定収益の3つの視点で指標と目標値が示されている。利益額などの明確な表明はないが、ROEひとつとっても、平均15%を継続した場合の資産規模(純資産)の拡大を想像するだけでも、大きな成長を見込んでいることがわかる。2019年2月期末時点ではストックとフローのバランスが5:5だが、今後はストック比率を増やす方向にシフトする方針だ(ストック収益比率60%へ)。

2. Jリーグトップパートナーとして地域活性化を目指す
同社は、今シーズンよりサッカーJリーグのトップパートナーとなり、地域活性化を目指す。Jリーグはホームタウンの市民・行政・企業が三位一体となった支援体制のもと「地域に根差したスポーツクラブ」を目指し、スポーツ振興にとどまらず、地域と一緒に街をつくることを理念に掲げている。同社も「企業の存在意義は社会貢献である」という考えのもと、Jリーグとともに、地域の振興を目指す。

不動産事業を行うトップパートナー唯一の企業として、Jリーグから期待される同社の役割としては、
1) スタジアムの老朽化や運営費の削減等に対応し最適な環境を整備する
2) 各地域の人々とともに街づくり、健康づくりに貢献する
などである。Jリーグには39都道府県に55クラブがあり、スタジアムの老朽化に直面する地域も少なくない。

同社のメリットとしては、以下の2点を挙げられる。
1) BtoCにおけるブランド認知の向上
2) 心築事業との相乗効果、事業拡大

長期VISION“サステナブルインフラ企業”として不動産事業以外に取り組むなかでも、Jリーグトップパートナーとしての存在感は役立つことになるだろう。

3. ESG(環境、社会、ガバナンス)への積極的な取り組み
同社は、ESGへの取り組みを設立当初から強く意識して行ってきた企業である。その方針は「いちごサステナビリティ方針」に示されており、1)環境との調和、2)省エネルギー、低炭素化と資源循環、3)法令適応と環境管理体制の整備、4)教育・啓発活動、5)サステナビリティ活動の開示等、が示されている。

E(環境)においては、クリーンエネルギー事業の貢献がわかりやすい。地球に優しく安全性に優れた太陽光発電により、年間約2.5万世帯分の消費電力を発電している。また、主力の心築事業は、建物を「壊す」から建物の価値を「活かす」がコンセプトであり、不動産の経済耐用年数の長期化、質の向上に貢献している。

S(社会)においては、世界を目指すスポーツ選手や障がい者アーティストの支援、小児医療分野への寄付などを行うほか、新事業であるスマート農業支援では事業を通じた地域活性化に取り組む。

G(ガバメント)においては、グローバルベストプラクティスを志向し、委員会設置会社に2006年に移行したこと、2019年2月末時点で取締役9名中6名が社外取締役(全員独立役員、うち1部上場企業の社長経験者3名)であることは特筆すべき取り組みと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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