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【特集】消費増税延期は三度繰り返す!? 令和「政策相場」突入の確度 <株探トップ特集>

10月予定される消費増税が実施されるかどうかに市場関係者の関心が高まっている。株式市場にとって、ここからの安倍政権の一挙一動は大きな意味を持つことになりそうだ。

―20日のGDP発表にマーケットの視線集中、衆参ダブル選挙も視野に政治の季節到来―

 「消費増税の3度目の延期はあるか」――。足もとで弱含みの 経済指標が発表されるとともに10月に予定されている消費増税が実施されるかどうかが、市場関係者の最大の関心事に浮上している。「増税実施」と「再々延期となる3度目の見送り」で市場の意見は分かれるが、増税が延期された場合、7月にも実施が見込まれる参院選は、衆議院が解散されることで「衆参ダブル選挙」となるとの見方も少なくない。消費増税が予定通り実施された場合と延期された場合で、株式市場はどう反応するのか。政策相場突入が見込まれるなか、そのシナリオを追った。

●景気動向指数は「悪化」に変更、萩生田発言が依然憶測呼ぶ

 いま金融関係者の視線が、国内経済指標に注がれている。内閣府が13日に発表した3月の景気動向指数では、国内景気動向の基調判断が6年2ヵ月ぶりに「悪化」に変更された。これに伴い、「今月20日に発表される1~3月期の国内総生産(GDP)は一段と注目されることになった」(アナリスト)とみる声が市場にあふれている。

 ここへきて経済指標が一気に注目を集めることになった大きな要因のひとつには、自民党の萩生田光一幹事長代行が4月18日に消費増税に関して「6月の日銀短観が示す景況感次第では消費増税の延期もあり得る」と発言したことがある。もともと、消費増税の延期の思惑が根強かった。それだけに、消費増税の最終判断局面が近づいたいま、景気の先行き不安が高まるとともに、安倍首相の側近の萩生田氏の発言は重みを増し、消費増税の判断材料となる経済指標に目をこらす状況を生んでいる。

●過去2回の延期局面と類似点、「月例経済報告」の内容に関心

 安倍首相は過去、14年11月と16年6月の2回消費増税延期を表明しているが、「今の状況は過去の延期時と似ている」との見方が少なくないことも思惑を呼ぶ要因だ。過去の延期発表時も今回と同様に景気先行指標が低下した局面であり、いずれも国政選挙の1ヵ月ほど前の時期に延期が宣言されている。

 市場で浮上している消費増税の延期シナリオは次のようなものだ。3月の景気動向指数が「悪化」したが、これに続き20日に発表される1~3月期GDPの成長率が前期比でマイナス成長に転落。この結果を受け、今月下旬に発表される「月例経済報告」では政府の公式の景気認識を悪化方向に変更。これにより、6月中にも安倍首相が消費増税の再々延期を発表。6月28~29日の20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、世界に向け景気後退を避けるために消費増税の延期を表明。国民の信を問うために、会期末となる6月26日にも衆議院が解散され、7月21日前後の「衆議院と参議院の同日選挙」になだれ込むというものだ。荻生田氏の発言には、7月1日に発表される「6月日銀短観」という言葉もあり、今国会の会期を延長したうえで、7月に消費増税の再々延期を発表し8月に同時選挙を行うという見方もある。

●増税延期は株価にはプラス要因か、景気刺激策の上乗せもポイント

 では、実際に消費増税の3度目の延期はあり得るのか。「5割以上の可能性で起こり得るのではないか」とある投資顧問のファンドマネジャーは言う。「景気悪化局面にあるのなら増税の延期は理にかなう措置。安倍首相としても、政権の支持率が高い局面で衆議院を解散し選挙を実施したいだろう」とみる。同氏によれば、「消費増税の再々延期はすでに一部で言われており、それだけではニュートラル要因。増税を延期したうえで更に景気刺激策の上乗せがあるかがポイントで、景気対策も実施されるなら日経平均は2万2000~2万3000円に値を上げることも見込める」と予測する。しかし、「消費増税を予定通り実施するのなら、日経平均株価は1万9000円台への下落もあり得る」とみる。

 一方、あるエコノミストは「10月まで時間はあまりないだけに、消費増税は実施されるとみている」と言う。そのうえで「7月には参議院選挙が実施され、自民党はそこそこの勝利を収める。改憲ラインの3分の2の勢力確保は難しい。GDPでマイナス成長が示されるようなら、これまでの増税対策に加え補正予算が打たれることで対処されるのではないか」と指摘する。とは言え、「もし消費増税の実施が見送られるようなら、為替市場などには中立要因だが、株式市場にとっては明らかにプラス要因に働くだろう」とも予想する。

●「財政ポピュリズム」を懸念の声も、市場の評価は分かれる

 もっとも消費増税の再々延期があれば、それはマイナス材料だとの見方もある。大手証券の債券アナリストは「海外の経済情勢は16年の再延期発表時に比べ決して悪くないだけに、消費増税は実施されるべきだ。総選挙で勝利することを視野に入れ、増税を延期するのなら、それは財政ポピュリズムに他ならない。その場合、短期的に株価は上昇するかもしれないが、アベノミクスの失敗と受け止められるものであり、長期姿勢の外国人投資家は決して評価することはないと思う」と厳しく批判する。

 しかし、前出のエコノミストは「増税延期でも日本国債の格下げは無いとみられ、取り立てて金融市場で悪材料が目立つことはないだろう」ともみており、賛否の声は拮抗している。

 果たして、消費増税は予定通り実施されるのか。いずれにせよ、今月下旬からマーケットは「政治の季節」に突入していくことになる。

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