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【特集】エラン Research Memo(3):入院患者・入所者からのサービス利用料が収入となるビジネスモデル

エラン <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

1. 「手ぶらで入院・退院」できる入院セットサービス「CSセット」
エラン<6099>が提供しているCSセットとは、病院の入院患者や介護老人保健施設等の入所者が、身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院・退院(入所・退所)」できるように、入院・入所生活に必要な衣類(病衣・トレーナー上下・肌着・靴下など)やタオル類・食事用エプロンなどの洗濯サービス付レンタル、口腔ケア商品一式・スキンケア商品一式、及び紙オムツなど、入院・入所生活に必要な日常生活用品をセットにして提供する入院セットサービスである。1日単位で必要な物を必要な時に利用できるシステムである。

サービス利用料金は複数のプラン(地域、施設の種類、商品構成品目等によって異なる)が用意され、標準プランで日額300円~800円程度と利用しやすい手頃な水準である。また「何」を「どれだけ」使用したかではなく、日額制を採用しているため、衣類・タオル類の交換頻度などに関係なく、入院・入所日数で計算しやすくしていること(例:日額500円プランで7日間入院した場合、500円×7日間=3,500円)も特徴である。

なお「CSセットシステム」「CSセット」及び「CSプラン」は同社の登録商標である。子会社エルタスクはLTセットのサービス名でCSセットと同種のサービスを提供している。

2. ビジネスモデル
CSセットのビジネスモデルは、病院や介護老人保健施設等を通じて、同社が入院患者や入所者とCSセット利用契約(レンタル契約)を結び、入院患者や入所者から受け取るサービス利用料(レンタル料)収入が同社の売上高となる。サービスのオペレーションの一部は、業務委託契約を結んだ病院・介護老人保健施設等及びリネンサプライ業者・消耗品業者等が行う。

病院・介護老人保健施設等に対しては、業務委託契約を結んでCSセットの説明・申込受付、衣類・タオル類等の貸与・回収、日常生活用品の配布などを委託し、業務委託手数料を支払う。

リネンサプライ業者・消耗品業者等に対しては、賃貸借契約や物品納入契約等を結び、洗濯済み衣類・タオル類等の納品、使用済み衣類・タオル類等の回収、日常生活品の納入などを委託し、洗濯代金や物品購入代金などを支払う。

なお契約形態によって、同社が元請けになる契約形態(同社元請け)と、リネンサプライ業者等が元請けになる契約形態(業者元請け)があるが、いずれの契約形態でもCSセット運営に当たって、同社、病院・介護老人保健施設等、リネンサプライ業者・消耗品業者等の各々の基本的な役割は同じである。そして同社が入院患者や入所者とCSセット利用契約(レンタル契約)を結び、入院患者や入所者からサービス利用料(レンタル料)を受け取る基本的なビジネスモデルに変わりはない。


CSセットの独自ノウハウで後発他社を圧倒的にリード
3. 独自のノウハウ蓄積が強み
同社は入院セットサービスであるCSセットを組織的にビジネス展開したパイオニアで、後発他社を圧倒的にリードする最大手である。

既存の取引関係(病院・介護老人保健施設等と各地域のリネンサプライ業者の取引関係)を活用していることに加えて、利用者ニーズや採算ラインを見極めながらプラン設定する独自ノウハウの蓄積、行政指導に適合したサービス運営、看護・介護現場への説明・運用や請求・回収業務に関する独自ノウハウの蓄積、特定の系列に属さないオープンなポジションなどを強みとしている。

CSセットのプラン設計(商品構成品目や料金)については、複数のプランが用意されている。そして全国一律の商品構成品目・料金設定ではなく、地域や病院・介護老人保健施設等の種類など、それぞれの特性や利用者ニーズに合わせて、採算ラインを見極めながら商品構成品目や料金をカスタマイズしてプラン設定する独自ノウハウの蓄積が、売上総利益率の維持につながるとともに、競合上の強みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SF》

 提供:フィスコ

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