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【特集】ラクオリア創薬 Research Memo(8):第3相臨床試験が順調に進捗中。従来見通しからスケジュールに変更なし

ラクオリア <日足> 「株探」多機能チャートより

■導出済みプログラムの進捗状況

4. 5-HT2A/D2拮抗薬(RQ-3/ジプラシドン)
ジプラシドンは統合失調症及び双極性障害を適応症とする医薬品で、既にPfizer(米国)から欧米を含む79の国と地域で発売済みである。ラクオリア創薬<4579>は日本国内の権利をPfizer(米国)から取得し、Meiji Seikaファルマ(株)にライセンスアウトした。Meiji Seikaファルマは2015年3月にフェーズ3を開始したが、本臨床試験は2019年前半にキーオープン(盲検化の解除)がなされ、結果の解析が行われる見通しだ。その後必要な準備を整え、2019年中の承認申請、2020年の発売というスケジュールで作業が進められている。

ジプラシドンをめぐる市場性や収益インパクトについても、従来の見方から変更はない。日本の統合失調症の治療薬の市場規模は約1,600億円と推定されている。大塚製薬(株)(大塚ホールディングス<4578>)のエビリファイ及び第二世代(非定型)統合失調症治療薬などが有力な地位を占めているが、ジプラシドンは既存の第二世代統合失調症治療薬と同等の効力を有しながらも、体重増加や血糖値上昇などの副作用が少ないことが特長とされており、単剤のみならずエビリファイとの併用が期待されている。米国の統合失調症治療ガイドラインではジプラシドンが第一選択薬として収載されていることや、市場規模と想定される用法等から考えて、年商100億円以上の医薬品に成長する可能性があるとみられる。「海外で使用できる医薬品が、わが国では使用できない」という、いわゆるドラッグ・ラグの解消という見地からも、本剤の日本での上市が待ち望まれる。


子会社のテムリックが導出したTM-411はAML等向けに
フェーズ2が順調に進捗中
5. その他
その他の導出済みプログラムについては、開発段階としてアーリーステージにあるものも多いため、詳細な進捗は外部からは見えづらいが、旭化成ファーマに導出したP2X7受容体拮抗薬、マルホに導出した選択的ナトリウムチャネル遮断薬、EAファーマとの共同研究で見いだされた消化器領域のイオンチャネル薬(非開示)は、現在も相手先企業で順調に開発が進んでいるもようだ。特にP2X7受容体拮抗薬は、神経障害性疼痛をメインターゲットとしており、約70億米ドルの市場で革新的新薬になるポテンシャルが注目される(2018年8月31日付レポートも参照)。

子会社のテムリックが導出したTM-411は、導出先のSyros Pharmaceuticals, Inc.(米国:以下、シロス)が急性骨髄性白血病(AML)/骨髄異形成症候群(MDS)のフェーズ2試験を実施している。アザシチジンとの多剤併用の臨床試験の初期データにおいて、バイオマーカー陽性患者の完全寛解(CR/CRi) は50%、全奏効率(ORR)は63%という高い奏功率が観察され、奏功例の殆どは1サイクル後に見られるという優れた即効性が報告された。良好なデータが得られており、2019年3月にシロス(米国)は、未治療・高齢のAML患者のみならず、フェーズ2試験に再発・難治性AML患者群も追加することを発表した。シロス(米国)は独自の「ジーン・コントロール・プラットフォーム」技術によって、抗がん剤が効く患者を投与前に選定する「プレシジョン・メディシン」の確立を目指しており、次のステップにつながる形で順調な進捗が続いているもようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

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