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【特集】神戸物産 Research Memo(4):有利子負債の削減が進み、ネットキャッシュは6期ぶりに黒字に転換

神戸物産 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

3. 財務状況と経営指標
神戸物産<3038>の2018年10月期の総資産は前期末比207百万円減少の144,276百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では受取手形及び売掛金が1,714百万円増加した一方で、現預金が2,193百万円、商品及び製品が567百万円減少した。また、固定資産ではバイオマス発電所の新設を主因として有形固定資産が2,453百万円増加したほか、連結子会社のジー・テイストが複数の外食企業をM&Aで取得したことに伴いのれんが783百万円計上し、一方でジー・フードの売却等により投資その他の資産が2,393百万円減少した。

負債合計は前期末比9,915百万円減少の104,502百万円となった。買掛金が1,894百万円増加した一方で、有利子負債が10,573百万円、未払法人税等が1,526百万円減少した。また、純資産合計は前期末比9,707百万円増加の39,774百万円となった。配当金の支払い1,319百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益10,363百万円を計上したことが増加要因となった。

経営指標を見ると、収益の拡大を背景として経営の安全性を示す自己資本比率が前期末比6.7ポイント上昇の23.3%と6期ぶりに20%台に回復した。また、D/Eレシオも有利子負債の削減が進んだことにより前期末の3.4倍から2.1倍に低下し、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債)も6期ぶりに黒字に転換するなど、収益拡大を背景に財務体質の改善が大きく進んだ。

一方、収益性について見ると売上高営業利益率は前期比0.1ポイント上昇の5.9%となったが、ROEについては同5.2ポイント低下の36.0%となった。ROEを分解すると総資産回転率は前期の1.81倍から1.85倍、財務レバレッジは6.85倍から5.01倍、売上高当期純利益率は3.3%から3.9%となっており、ROEの低下要因は自己資本の拡大による財務レバレッジの低下が要因であることがわかる。同社では2020年10月期までの中期経営計画において、自己資本比率で20%以上、D/Eレシオで2.0倍以下、ROE毎期20.0%以上を目標として掲げている。2020年10月期まで年間の設備投資規模は50億円前後と営業キャッシュ・フローの範囲内で収まる見込みであることから、今後も財務体質の改善が続くものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《RF》

 提供:フィスコ

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