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【特集】北恵 Research Memo(6):重点商品の販売に注力、各地域でのシェアアップを狙う

北恵 <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略

1. 業界の現状と今後
今後の日本では人口減少が続くことから、長期的には国内の住宅市場は大きな成長は望めない。また足元では、2019年10月から消費税が10%に増税されるが、今のところ前回増税時ほど大きな影響は出ていないようだ。その一方で、以下のような支援策が打ち出されており、住宅需要はある程度下支えされる可能性は高い。このため北恵<9872>にとっての事業環境は必ずしもアゲインストではなく、むしろ業績拡大のチャンスにも成り得るだろう。

(1) 住宅ローン減税の控除期間が3年延長
(2) すまい給付金が最大50万円に、対象者も拡充(収入に応じて10万~40万円の増額)
(3) 新築最大35万円相当、リフォーム最大30万円相当(次世代住宅ポイント制度創設)
(4) 贈与税非課税枠は最大3,000万円に拡大(現行は最大1,200万円)

2. 今後の商品戦略
同社では以下の3商品を「重点商品」と位置付けて、これらを特に積極的に販売していくことで他社との差別化を図り、競争優位性を確立する計画だ。

(1) 住宅設備機器
キッチン、ユニットバス等を中心に販売を強化する。

(2) 施工付販売
主に外壁工事、住設工事等の工事品質をさらに向上させ、販売強化を図る。

(3) オリジナル商品
新規開拓の提案ツールとして、また、既存得意先のインストアシェアを高めるため、顧客の求める商品を積極的に開発し、商品ラインアップの再構築を図る。特に以前から注力している商品の1つが軒天破風一体型板金「シタジレス・ノキハフダーZ」であり、以下のような特色を持っている。

a) 工期が6日から1日に短縮できる。
b) 工期短縮によりコストダウンが実現。
c) 工場加工の完全プレカット商品のため、施工現場で端材などの廃材が出ない。
d) 表面塗膜は15年保証。

このような特色を前面に打ち出して、オリジナル商品として拡販を図っていく計画だ。

また公共施設や講堂などの非住宅市場向けに開発された「かる~い天井R」の独占販売権を獲得し、前期から本格的に衆力した。過去の多くの震災では、地震そのものだけでなく天井の落下による死傷者が多かったことから、2014年4月から特定天井(高さ6m以上、面積200平方メートルかつ重さが2Kg/平方メートルのもの)は定期的な検査と報告が義務化された。それに対して同社が販売する「かる~い天井R」は以下のような特色を持っていることから、特定天井の対象外となり、公共施設等で多くの需要が期待できる。

a) 樹脂ジョイナーとグラスウール機材のパネルで天井仕上げ材を軽量化し、2Kg/平方メートル以下を実現。
b) グラスウールの柔軟性により天井の振動や衝撃を吸収し脱落を抑制する。
c) 不燃認定を受けた天井材により、延焼リスクを低減。

3. 今後の地域戦略
地域的な戦略としては、上記の施策を確実に実行していくことで、各地域でのシェアアップを目指す計画だが、特に首都圏を中心とした東日本に注力する。

4. 今後の市場戦略
今後は以下の4つの市場での拡販・拡大を図る計画だ。

(1) 新規取引先=新築
地域の優良企業、住宅メーカー、貸家市場での需要を確実に取り込む。

(2) リフォーム市場=既築
リフォーム専門業者、マンションリノベーション、ホームセンター、家電量販店等の取り込み。

(3) 非住宅市場
商業施設、公共施設等の非住宅市場の需要を取り込む。

(4) 海外市場
既にベトナムに駐在員事務所を開設しているが、今後は同国の住宅市場を本格的に開拓する。さらに将来的にはASEAN市場への拡大を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

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