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【特集】北恵 Research Memo(4):住宅市場全般は低迷ながら足元の業績は底堅い

北恵 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

●2018年11月期の業績概要
(1) 2018年11月期の業績

北恵<9872>の2018年11月期の業績は、売上高が前期比2.3%増の57,003百万円、営業利益が同2.2%減の763百万円、経常利益が同3.6%減の856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.4%増の544百万円となった。2018年秋に発生した台風や水害の影響により、一部商品(特に木質系商品)でメーカーからの出荷遅れや物流の混乱が生じたことなどで減収となったが、以前から注力している施工付販売等が好調に推移したことなどから全体では増収となった。売上総利益率は前期並みを維持したが、増収に伴う運賃等の増加や創立60周年の記念行事費用などから販管費が同3.7%増となり営業減益となった。減益と言っても小幅であり、ほぼ計画に沿った結果であったと言える。

売上総利益率は9.6%となり前期の9.5%から若干改善した。一部の商品で価格競争が激化していることなどから、仕入コストが上昇したものの付加価値の高い施工付販売の増加などにより、前期を上回る利益率を維持した。一方で販管費は、人件費増に加え、増収に伴う変動費(運賃等)の増加、さらに創立60周年に伴う行事費用が発生したことなどから前期比3.7%増(金額は168百万円増)となった。この販管費の増加の内訳は、人件費が66百万円増、変動費(運賃等)63百万円増、設備費7百万円増、その他(周年行事等)が31百万円増であった。

その結果、営業利益率は前期比で0.1ポイント低下し1.3%となり、営業利益は同2.2%減となった。営業利益が微減益となったことから経常利益も同3.6%減となったが、税率等の影響により親会社株主に帰属する当期純利益は同0.4%増となった。

(2) 商品別状況
商品別売上高では、木質建材が6,770百万円(前期比0.7%減)、非木質建材が3,736百万円(同1.7%減)となったが、これらの商品の主な向け先である賃貸住宅(アパート等)の着工が伸び悩んだことに加え、2018年秋の台風等の影響で、大手建材メーカーの出荷や物流が混乱したことも影響した。また合板は2,428百万円(同6.5%増)、木材製品は2,440百万円(同0.7%増)と比較的堅調に推移した。
その一方で注力している住宅設備機器は13,779百万円(前期比1.3%増)、施工付販売は23,426百万円(同3.0%増)と好調に推移した。その他商品の売上高は4,422百万円(同9.8%増)となったが、特に短期間で軒下工事を行える「シタジレス・ノキハフダーZ」が好調(売上高524百万円、前期比41.1%増)であった。同社のオリジナル商品(主に木質、非木質、住宅設備、その他(金属)に含まれる)の売上高は1,972百万円(同9.0%増)となったが、新たに市場投入した新製品が比較的好調であった。

(3) 地域別状況
地域別売上高は、近畿19,010百万円(前期比1.4%増)、九州・中四国9,259百万円(同8.2%増)、中部5,419百万円(同0.3%増)、東日本23,314百万円(同1.4%増)であった。このうち首都圏の売上高は19,590百万円(同1.9%増)であり、構成比は34.4%となった。

各地域で増収となったが、特に九州・中四国が予想以上に好調であったが、これは熊本地震の復興需要が動きだしたこと、新たに北九州出張所を営業所に格上げして同地域周辺の需要を取り込んだこと、同社の施工付販売などが認知され始めたこと、東南アジアや中国からのインバウンド効果などによる。


手元資金は93億円と豊富。財務基盤は安定
(4) 財務状況
2018年11月期末の資産合計は前期末比857百万円増の25,942百万円となった。流動資産は同723百万円増の21,994百万円となったが、主に現金及び預金396百万円増、受取手形及び売掛金58百万円減、電子記録債権282百万円増などによる。固定資産は同134百万円増の3,948百万円となったが、主に投資その他資産の増加194百万円による。

負債については、負債合計が前期末比587百万円増の14,610百万円となった。流動負債は同568百万円増の13,243百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の増加529百万円による。固定負債は同18百万円増の1,366百万円となった。純資産合計は、利益剰余金の増加等により同270百万円増の11,332百万円となった。

(5) キャッシュ・フローの状況
2018年11月期の営業活動によるキャッシュ・フローは959百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上858百万円、仕入債務の増加522百万円などで、主な支出は売上債権の増加162百万円、たな卸資産の増加119百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは投資有価証券の取得等により377百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当金の支払等により184百万円の支出となった。この結果、現金及び現金同等物は396百万円の増加となり、期末の同残高は9,302百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

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