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【特集】ハイアス Research Memo(7):住宅による資産形成を支える会社として、ライフタイムに沿った事業展開


■中期経営計画

1. 中期経営計画
ハイアス・アンド・カンパニー<6192>は、「HyAS&Co.Inc.の使命は、個人が住宅不動産を納得し安心して取得(購入)、居住(運用)、住替(売却)できる環境をつくることです。住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現、それが我々のテーマです。」としている。日本の不動産、特に欧米と比較して年月の経過とともに減衰する家屋の価値を向上させることで個人の生活や社会を豊かにするという壮大な構想を掲げ、それを中期経営計画として具現化を図っている。

そこでは、住宅という接点で 同社は消費者のライフタイムに寄り添った様々なサービスを提供している。「土地を探す」という局面では「土地情報・住宅取得計画の可視化」に関するソフト、「家を建てる・家に住む」という局面では「住宅の高性能化」のハード、「住宅履歴の蓄積」のソフト、「家を販売・引継ぐ」という局面では「不動産相続」のソフト、そして住宅に関した共通的テーマでもある「地方創生(街づくり)・税制/相続の仕組み」のハード・ソフトなどである。

2. 直近のトピックス
同社は、2017年4月期に中期経営計画を発表後、様々な具体的施策を矢継ぎ早に打ってきており、直近のトピックスとして主なものを以下に記載する。

(1) 子会社への投資
同社はM&Aを含めた事業拡大を積極的に推進している。2017年3月には、主としてR+houseの建築工事請負及び施工を行う(株)ウェルハウジングを設立し、モデルハウスのオープンや総合展示場へ出展後、着々と受注数が増加し順調に推移している。2018年8月には、主に成田地区でR+houseの建築工事請負及び施工を行う(株)LHアーキテクチャを設立し、成田でのモデルハウスをオープンさせた。2018年11月には、SUNRISE(株)を設立し、ハウスINハウス事業、アーキテクチャル・デザイナーズ・マーケット(ADM)事業の成長を加速するためのノウハウ蓄積とその横展開を図っている。また、2018年5月には、ハイアス・キャピタルマネジメント(株)を設立し、クラウドファンディングを活用した地方の小規模不動産の再生・地方創生を推進している。いずれの子会社も同社の事業拡大への貢献は順調である。

(2) 広告宣伝活動
SNS、Web、メルマガ等を中心としたWebマーケティング活動を積極的に推進している。特に主力のR+house事業において、30代前半の一般消費者をターゲットに、例えば「後悔しないための賢い家づくり勉強会」というテーマでブログを掲載するなどにより、R+houseの認知度向上と受注数増加を図っている。これらの活動によって、同社の本部サイトからの「家づくり勉強会」への参加申込数が前期比1.7倍に急増しているとのことである。

(3) その他
a) 「建築家住宅」の供給戸数、全国No.1※1
2018年10月23日付の同社プレスリリースによると、2017年度の建築家住宅主要供給事業者上位9社における企業別シェアで、同社の「R+house」が56.5%を占めてトップであった(出展:(株)矢野経済研究所調べ2018年10月現在)とのこと。本市場で、どちらかと言えば後発の企業であった同社がかかるポジションにまで到達できたのは、全国の住宅・不動産・土木工事関係の中小企業のネットワークを通じて、価格・品質に優位性のある住宅と関連技術ノウハウを提供してきたという同社の強みの表れと考える。

※1 2017年度建築家住宅供給数 No.1<(株)矢野経済研究所調べ2018年10月現在>
建築家住宅(建築士の資格を有する独立した建築家により基本設計された住宅)を供給する主要供給事業者9社における2017年度供給数


b) AskDoctors評価サービス※2の認定取得
2018年12月17日付プレスリリースによると、「建築家住宅」No.1※1の「R+house」が、AskDoctors評価サービスで、「100名のお医者様の89%が推奨したい住宅」との評価を受けたとのこと。「R+house」の高い気密性と断熱性能などが、健康で快適な暮らしに貢献できる住宅であると評価されたものと考えられる。これにより、今後の受注拡大に弾みがつくことだろう。

※2 27万人以上の医師会員を有する日本最大級の医療従事者向け専門サイト「m3.com」を運営するエムスリー<2413>が、会員医師による商品やサービスに対する客観的な評価を行うサービスで、一定基準を満たした場合にのみ認定マークを付与し、「医師の確認済み商品」となる。


c) 「楽天Stay×WILLSTYLE」事業の状況
前期より楽天LIFULL STAY(株)との業務提携で推進している「楽天Stay×WILLSTYLE」事業については、島根県松江市に1号店を2018年5月にオープンし、2018年12月末現在でオープン予定が全国9ヶ所、立地検討中のエリアが70ヶ所に上るとのことである。従来の宿泊施設にはない「戸建型ならでは」の快適な居住性を始めとする宿泊品質の高さを追求しており、訪日外国人観光客の増加を見込んで宿泊施設を建設するオーナーなどを対象顧客としている。

現中期経営計画は、公表から1年半が経って、継続する好業績を背景にして、目標達成のための積極的な戦略投資なども上記の様に具体化されてきた。また、後述の配当実施や役員・従業員へのインセンティブ制度導入などステークホルダーへの対応策にも余念がない。なお、クラウドファンディングや地方創生など直近のホットで社会的課題とも言うべきテーマについては、同社は企業理念として建設・不動産市場のプラットフォーマーたるべくチャレンジは行っていくものの、試行錯誤的でリスクもある部分なので、基本的には中核の事業成長が優先されるとしている。積極的成長戦略を取りつつも、状況に応じて堅実な事業運営を行うとのスタンスのようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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