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【経済】染谷えつこ:2019年のトレードの対策を考える【FISCOソーシャルレポーター】 

上海総合 <日足> 「株探」多機能チャートより

以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家染谷えつこ氏(ブログ「えつこのFX日記~FXで家計にゆとりを~」)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2018年12月21日11時に執筆

~~2019年のトレードの対策を考える~~

2019年のトレードの対策を考える前に、まずは過去に相場を大きく動かした世界情勢を振り返ってみましょう。

■2014年
6月20日、それまで原油価格は1バレル当たり107.95ドルでしたが、年末に50ドル台まで下落しました。世界の株価や資源国通貨も大きく売られました。

■2015年
1月15日、スイスフランショックが起こりました。スイス中央銀行は「対ユーロで1.2を割り込むような下落があれば永続的に介入を行う」と市場で宣言していましたが、1月15日に突然「資金的に介入のコストを国として負担できる状況を超えた為、永続介入を止めることにした。」と発表し、スイスフランが急落、大変大きなリスク回避の動きとなりました。

2014年11月から続いた中国株バブルは6月12日には最高値を付けました。しかし、ここから株価は大暴落を開始。8月12日の天津濱海新区での大爆発事故後の8月24日、上海総合指数は8.49パーセントの下落を記録し、翌25日にも7パーセントを越える下落を記録しました。

■2016年
6月23日にイギリスにおいて、同国が欧州連合(EU)を離脱すべきかどうかを決めるための国民投票が実施され、欧州連合からのイギリス脱退が決まると市場はリスク回避の動きとなりました。

また、11月8日にアメリカ合衆国で実施された大統領選挙で、ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領となりました。市場は大きなドル買いの動きとなりました。

■2017年
トランプ大統領の発言と大統領令で相場が一喜一憂しましたね。イギリスのEU離脱に関しては、2020年5月7日に実施されることになっていた総選挙を、急遽前倒しすることを表明しました。テリーザ・メイ首相は、主にEU離脱に関して国民の真意を問うために、4月18日の閣議後、5月3日に議会を解散し、6月8日に総選挙を実施しました。

10月26日の欧州中央銀行(ECB)は26日のECB理事会で、2015年1月から続いた量的金融緩和の縮小を決めました。朝鮮半島関連では、度重なるミサイルの発射により情勢が悪化しました。ミサイルが発射されるたび、市場がリスク回避の動きに。

■2018年
1月11日に中国高官の米国債売却または購入禁止の発言により、米長期金利の上昇と米ドル安が進行しました。米中貿易摩擦が悪化し、追加関税による報復の繰り返しとなりました。その度に、相場がリスク回避となりました。

4月20日に北朝鮮が核実験停止を宣言しました。このことでドル円が大きく上昇。6月23日にOPEC(石油輸出国機構)加盟国、非加盟国共同の協調減産緩和が合意されました。

12月7日、石油輸出国機構(OPEC)関係筋の話として、OPEC加盟国とロシアを含む非加盟国が、2016年に合意した産油量の割当を再導入することで、2019年の減産を実施することに合意したと報じています。産油量は日量100万バレル以上削減されることになり、原油価格は上昇し、カナダドルが買われました。

12月11日、イギリス議会が、EU離脱協定案の採決を行いましたが、採決が否決される可能性があったため、EU離脱協定案の採決2019年1月まで延期。このことで相場はリスク回避の動きとなりました。

~~相場の動きを予測する重要な材料とは~~

2014年から2018年を振り返ると、為替、日経225、株価、などの相場に強く影響した要因は、突然報じられたニュースなどが多い印象があります。世界情勢のニュースが報じられると、そのニュースに反応して株価や長期金利が動き、その動きに連動して通貨が動いているという流れが実際にあります。

指標発表では、政策金利や失業率などはもちろん注目されますが、政策金利を予想するうえで重要な指標である消費者物価指数の結果が大きく注目されました。

各国の株価指数と長期金利が、総じて同じ動きで大きく上昇する場合には、リスク選好となり、ドル円をはじめとしたクロス円が上昇しました。逆に、各国の株価指数と長期金利が総じて同じ動きで大きく下降する場合には、リスク回避となりドル円をはじめとしたクロス円が下降しました。特に2018年は、後半からは相場がほぼ毎日大きく動いており、報じられたニュースの内容が難しくても、各国の株価指数や長期金利の動きを全体的に観察することにより、為替の通貨の動きも予想しやすくなると強く実感できる1年でした。

このように、相場の動きを予測する材料さえ揃えれば、トレードしても大丈夫なのか、トレードは見送るべきなのか、はっきりと判断できると個人的には考えています。2019年は、皆様も是非、これらの材料を揃え、まずは「観察」を始められてください。全体的に動きが同じ場合、トレードしやすいと感じると思います。全体的に動きに統一感が無い場合やレンジ相場だった場合には、トレードを見送るようにされてください。自然と、損をする回数は減っていると思います。

単に、ドル円だけを見てトレードすることが、如何に動きを予測出来なくて危険な状態であるのか、気が付いていただきたいと思います。

~~2019年の注目材料をピックアップ~~

2019円1月中旬に、イギリスがEUと合意した離脱協定案に対するイギリス議会の採決が行われます。この採決が否決された場合は、イギリスがEUと合意した離脱協定案を実行出来ないので、合意なき離脱(ハードブレグジッド)となります。合意なき離脱となった場合は、イギリスの物流、金融市場などは数か月混乱すると言われており、これを回避する為に、EU離脱自体を延期する案などが議論され始めています。イギリス議会は問題の解決に努力していますので、必ず合意なき離脱(ハードブレグジッド)となるとは言えませんが、イギリスのEU離脱に関して何か報じられれば、相場全体が大きく反応する状態は続くと予想できます。

米中貿易摩擦に関しては、2019年1月1日に関税率を10パーセントから25パーセントに引き上げる予定でしたが、それを90日間延期しています。2019年3月2日日本時間の午後2時1分に関税率を引き上げることにしています。米中貿易問題は深刻さを増しており、双方が話し合いによって解決の糸口を模索しています。3月2日を控えて、アメリカと中国の交渉などが報じられる度に、相場は反応すると予想できます。
2018年の年末には、米国債利回りのフラット化・逆イールド化が警告している、リセッション(景気後退)を警戒して、相場が長期金利の下落に反応しています。FRBは2019年の利上げを2回としていますが、景気後退の心配がされる状態でアメリカが利上げを数回行うと、経済にとっては大きな負担となりますので、アメリカの政策金利の動向は引き続き注目されると予想できます。

~~サインの確定が大切な資金を守る~~

皆さんは、チャートに一つ、または二つのテクニカルインジケーターを表示させているのではないかと思います。それらのテクニカルを使用していても、そのテクニカルが発するサインが確定されたのか、確定されずにすぐに消えてしまうのかの判断の基準は持っていらっしゃるでしょうか。

例えば、指標発表後にローソク足が上昇したら、指標発表があった時間のローソク足の、次のローソク足が、指標発表があった時間のローソク足の高値を越えたところで、「しっかり上昇する」と判断できます。指標発表があった時間のローソク足の、次のローソク足が、指標発表があった時間のローソク足の安値を越えたところで、「しっかり下降する」と判断できます。この「サインの確定」の判断は、要人発言があった時も、急なニュースが報じられた時も、当てはまります。

私は「サインの確定」を判断することで、損を最大限に抑えることが出来るのではないかと思います。損をする回数を減らす事が出来ますので、利益が増えているという結果にすぐに結びつくのではないかと思います。むやみやたらに損を増やして大切な資金を失ってしまう事の無いように、是非意識されて下さい。

今回の記事が2019年の皆様のトレードに少しでもお役に立つことが出来ましたら、私としましても大変有難い事です。


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執筆者名:染谷えつこ為替研究所株式会社 代表取締役 染谷エツ子
ブログ名:えつこのFX日記~FXで家計にゆとりを~

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 提供:フィスコ

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