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2018年08月10日15時04分

【特集】GTS Research Memo(4):バイオシミラーは2020年以降、複数のパイプラインで上市が視野に入る


■開発パイプラインの状況

1. バイオシミラー事業
現在、ジーンテクノサイエンス<4584>が既に上市した製品及び開発を進めているバイオシミラーのうち、主要7品目の潜在的な市場規模を試算すると、全世界で約1兆4,560億円、日本市場で約1,150億円となる(先行品の市場規模×バイオシミラー浸透率60%×先行品薬価の70%)。このうち、既に国内で上市しているフィルグラスチムBSについては提携先である富士製薬工業(株)向けを中心とした原薬販売等で年間約9億円の売上実績を挙げており、今後も堅調な売上推移が続く見通しだ。

開発パイプラインの中で共同開発契約が締結され開発が進んでいるものとしては、GBS-011(ダルベポエチンアルファ)、GBS-007(眼科領域のバイオシミラー)、GBS-005(アダリムマブ)の3品目があり、また、未公表ではあるもののGBS-010(ペグフィルグラスチム)についても共同開発先が決まっているものと見られる。各パイプラインの現状と今後の見通しについては以下のとおりとなる。

(1) GBS-011
GBS-011は腎性貧血治療薬であるダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ/アラネスプ)のバイオシミラーで、現在、共同開発先の(株)三和化学研究所にて第3相臨床試験が実施されており、2018年頃を目途に製造販売承認の申請を目指している。申請から承認が下りるまでの期間としては1年強程度かかるため、順調に審査が進めば2020年頃に上市が見込まれる。同品目に関しては製造については、韓国のDong-A ST社が実施し、同社は(株)三和化学研究所の開発支援の形式で共同開発を行っている。同社は、上市後の販売に応じたロイヤルティ収入は得られる予定である。

(2) GBS-007
GBS-007は加齢黄斑変性治療薬である眼科領域のバイオシミラーで、現在、共同開発先の千寿製薬(株)で第3相臨床試験が実施されている。2020年頃までには第3相臨床試験を終え、2021年頃の製造販売承認取得、上市を目標としている。国内の加齢黄斑変性治療薬としてはラニビズマブ(商品名:ルセンティス)とアフリベルセプト(商品名:アイリーア)の2つのバイオ医薬品が投与されており、ラニビズマブの売上高は約230億円、アフリベルセプトは約600億円となっている。このため、加齢黄斑変性治療薬のバイオシミラーの潜在総需要は国内で約350億円と試算される。

世界市場におけるラニビズマブの売上高は約3,500億円、アフリベルセプトは約7,000億円となっており、両品目のバイオシミラーを国内外で販売することができれば、業績面でも大きなポテンシャルが生まれることになる。眼科領域のバイオシミラーの開発は、海外でサムスン・バイオエピス他1社が第3相臨床試験を行っている程度で国内にはまだなく、開発に成功すれば業績への貢献度も大きくなると予想される。

(3) GBS-005
GBS-005は、間接リウマチや乾癬などの治療薬として世界トップの売上規模(2016年で1.7兆円)となったアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)のバイオシミラーとなる。なお、アダリムマブについては市場規模も大きいだけに、バイオシミラーの開発競争も激しく、既に欧米市場で2016年以降に6品目が承認されている。このため、GBS-005については中国を含むアジア市場での提携先を模索している状況にある。

(4) GBS-010
GBS-010はフィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで投与回数を減らし、効果の持続性を増したペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ/ニューラスタ)のバイオシミラーとなる。非臨床試験が既に終わっているほか、共同開発企業も非公表であるものの決まっている模様であり、2020年までには第3相臨床試験を開始している状況となることを目指している。ペグフィルグラスチムBSは既に上市実績のあるフィルグラスチムBSの原料をベースとしているため、開発を進めるうえで同社にとってはアドバンテージになるものと考えられる。2022年秋頃の先行品の再審査期間満了に合わせて遅滞なく上市ができるように開発を進めていく予定となっている。また、アジアで関心を持つ企業があるため、今後共同開発契約につながる可能性もある。

(5) その他
その他のパイプラインとして、GBS-004(一般名:ペバシズマブ、商品名:アバスチン)やGBS-008(一般名:パリビズマブ、商品名:シナジズ)に関しては開発研究段階でとどまっているが、このうち、乳児の感染症治療薬となるGBS-008に関しては中国企業との提携を模索している状況にある。

同社ではバイオシミラーのパイプラインとしては、あと1~2品目の開発を進めていく予定にしている。これらの新たなバイオシミラーのパイプラインは、2025年頃の上市を目標としている。

2. バイオ新薬事業
バイオ新薬に関しては、抗α9インテグリン抗体を科研製薬(株)にライセンスアウトしたが、開発状況についてはあまり進展がない状況にある。こうしたなか、同社では眼科疾患やがん領域の新規抗体医薬品候補としてGND-004に注力している。GND-004はラニビズマブやアフリベルセプトとは異なる作用機序による新生血管形成阻害剤となるため、両製剤が効かない患者あるいはべバシズマブが効かないがん患者等に対しての需要が見込まれるためだ。2017年9月に当該抗体に関する特許を出願しており、2018年秋から本格的な導出活動を行い、早期の契約締結を目指している。既に、大手製薬企業に打診しているようで、今後の動向が注目される。また、そのほかにも複数の開発候補品をアカデミア等と共同で研究を進めている。

3. 新規バイオ事業
再生医療分野を中心とした新規バイオ事業に関しては、2016年にNKグループに参画以降、本格的に取り組みを開始している。2016年10月に資本業務提携したNKグループの(株)日本再生医療では、世界初となる心臓内幹細胞を用いた心機能改善を目的とした治療法に関する臨床試験が、先駆け審査指定制度※により進んでいる。順調に進めば2020年に終了し、2021年の上市が見込まれている。同社は非臨床試験や製法開発などで(株)日本再生医療をサポートしていく。また、現在の臨床試験は自家移植によるものだが、今後は他家移植や適応拡大の可能性の検討等を共同で行っていきたいと考えているようで、将来的には欧米市場への展開も視野に入れている。

※対象疾患の重篤性など一定の要件を満たす画期的な新薬などについて、開発の早期段階から対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、承認審査の期間を短縮することを目的としたもので、同制度を活用することにより審査期間の目標を従来の約半分となる6ヶ月に短縮することが可能となる。


また、2017年2月に順天堂大学と免疫寛容※誘導に関する共同研究契約(2020年2月まで3年間)を締結している。本研究に必要となる抗体の開発を含め、免疫寛容を活用した新たな免疫抑制治療法の実用化を目指している。同研究は順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センターの研究成果に基づくもので、既に腎移植や肝移植での臨床研究が行われ、服用する免疫抑制剤の量を低減する、もしくは服用の必要がなくなるという事例も確認されている。同研究に関連して、抗体となる免疫細胞の加工技術開発及び製造委受託契約を(株)メディネット<2370>と2017年9月に締結しており、今後の臨床試験に向けた開発を進めていく計画となっている。

※免疫機能をつかさどる自らの細胞等が体外の抗原に対して、そのものを異物と認識せずに免疫反応が起こらない状態であることを指す。


そのほかにも、札幌医科大学で研究を進めている糖尿病性腎症を対象とした自己骨髄間葉系幹細胞を用いた治療法の事業化を目的に、(株)アインホールディングス<9627>や(株)北洋銀行<8524>等とともに、2017年5月に(株)ミネルヴァメディカを設立している(出資比率25%)。同研究では既に動物実験において一定の効果が実証されており、今後、安定した細胞製造体制の整備や安全で効果的な治療法を確立した上で臨床試験を行い、早期の上市を目指していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ
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