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【特集】ヘリオステクノ Research Memo(5):MLS光源向けの紫外線LEDの開発に取り組み中

ヘリオスTH <日足> 「株探」多機能チャートより

■中期成長戦略とその進捗状況

3. フェニックス電機の進捗状況
フェニックス電機では新製品による成長戦略に主として取り組んでいる。その中心製品は紫外線LEDランプで、用途は露光装置用光源ユニット(MLS)の光源ランプだ。これまでに試作品は完成させており、現在は光量アップに取り組んでいる。前述のようにヘリオス テクノ ホールディング<6927>は露光装置の国内トップメーカーに独占的に光源を納入している。液晶パネルの製造ラインの投資は間もなくピークアウトするとみられるが、光源ランプには製品寿命があり、更新需要が発生する。ライバル企業の撤退もあり、更新需要では同社が大きな恩恵を受けることが期待されている。

フェニックス電機は赤外線LEDの新事業にも取り組んでいるが、こちらは用途が限定的で、事業としての立ち上がりは遅れている模様だ。2018年3月期も、基礎的な研究開発が続いているとみられる。MLSの好調もあって、当面は紫外線LEDの製品開発に集中するとみられる。


人材サービス事業ではM&Aによる成長を模索。
パワーデバイステスターは自動車やIoT関連の本格的需要拡大に期待
4. 日本技術センターの進捗状況
日本技術センターは、技術者派遣・製造者派遣等の人材サービス事業と、検査装置等の開発・製造・販売(事業セグメント上はこの分野の収益は装置事業に含まれる)を営んでいる。

人材サービス事業については、業界全体が技術者・製造労働者の確保に苦心しており、同社も例外ではない。この状況の打開策として、人材と顧客・商圏の両方を獲得できるM&Aが効率的な施策だとして、それによる事業規模の拡大を成長戦略の中心に据えている。ただし、同社は地域密着型営業体制のため地理的にシナジー効果を狙える案件であることを条件としており、M&Aの機会を慎重に見極めている状況だ。

装置の製造販売では、パワーデバイス(パワーIC)テスターの開発を完了し、複数の顧客に対して試験的に納入した。現時点での事業規模は小さく収益貢献は限定的であるが、パワーデバイスが自動車向けやIoT関連の需要本格化で生産量が増加してくれば、同社のテスター需要もまた増加してくる期待されている。

■今後の見通し

1. 2019年3月期通期の業績見通し
2019年3月期についてヘリオス テクノ ホールディング<6927>は、売上高24,600百万円(前期比4.8%増)、営業利益1,900百万円(同37.5%減)、経常利益1,900百万円(同36.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同35.3%減)と増収ながら大幅減益を予想している。

ランプ事業の売上高は、前期比12.8%増の4,100百万円が予想されている。ランプ事業の事業環境は2018年3月期と似た状況と推察される。すなわち、一般照明用ランプやプロジェクター用ランプの売上が減少もしくは停滞する一方、露光装置光源ユニット(MLS)用の光源ランプが更新需要で売り上げを伸ばすという構図だ。過去からの露光装置出荷台数の積み上がりと製造ラインの高稼働で更新需要の伸長が期待される。

製造装置事業は前期比2.3%増の15,750百万円が予想されている。詳細な内訳は開示されていないが、高精細インクジェットプリンターの減収を、中古プラント、配向膜用フレキソ印刷機、露光装置用光源ユニット(MLS)、及び保守・メンテナンスの伸長で補い、前期比増収を確保する計画とみられる。これらのなかで2019年3月期に伸びが大きくなると予想されるのが中古プラント事業と保守・メンテナンス装置で、その背景は前述したとおりだ。HRPの2019年3月期の販売台数は約10台と、前期の60台から大きく減少する見通しだ。ただし、HRPについては顧客側で用途開発が進められているケースもあり、同社の想定外の受注が入る可能性もあるため、今後の推移を注意深く見る必要があろう。

人材サービス事業の売上高は、前期比4.9%増収の4,750百万円が予想されている。技術者派遣・労働者派遣に対する需要は前期に引き続きタイトな状況が続くとみられる。前期は人材確保を積極化して2ケタ増収を達成したが、今期は人材獲得を前期ほどには積極化させない想定となっているとみられる。背景には人材募集費用の高騰があると弊社ではみている。

利益面では、営業利益が前期比37.5%の大幅減益予想となっている。これは、製造装置事業の中の売上構成の変化によるものと推測される。すなわち、一般的に粗利益率が高いとみられる製造装置類(当期においてはHRP)が減収となる一方、粗利益率の低い中古プラント事業の売上高が拡大し、いわゆる製品ミクスの悪化により全社ベースの利益率が低下するということだ。

加えて、いわゆる稼働差による減益影響もあると考えらえる。2018年3月期は60台のHRPを生産・納入した。製造業一般の事象として、同一のものを大量に製造すると、いわゆる生産におけるスケールメリットが得られ、利益率の改善に繋がる。2019年3月期はこの分がなくなることで、反動減のインパクトが誇張されている側面があるとみている。


2020年3月期は、製造装置事業をけん引役に増益基調に転じるとみる
2. 2020年3月期以降の考え方
弊社では、2019年3月期の減益は一時的な現象で、2020年3月期には再び増益基調に転じると予想している。理由は、収益のけん引役となっている製造装置事業において、その構成要素となっているHRP、配向膜用フレキソ印刷機、中古プラント、MLS、保守・メンテナンスがいずれも収益拡大基調にあるためだ。

前述のように、2019年3月期の減益は極端な製品ミクスの変化によるものであるが、2020年3月期はそうした事態は想定されていない。仮に起こるとすれば良化方向(例えばHRPの大型受注の再来など)だと弊社ではみている。ランプ事業と人材サービス事業は、成長率は高くはないが安定的な推移が期待され、結果的に、製造装置事業の収益拡大により全社ベースの収益も増収増益に転じてくると弊社では考えている。

オーガニックグロース以外の要因としては、同社が注力する半導体分野に関するM&Aの進捗や人材サービス事業におけるM&Aが考えられるが、これらは相手があることなので現時点で業績に織り込むことは適切ではない。

注視する分野としては、まずはHRPの動向が挙げられる。すでに商品化されたインクジェットプリンターに加え、開発を完了したグラビア印刷など他の印刷方式の機器や、曲面印刷を可能にした3D印刷機が受注を獲得するかに注目したい。それ以外にも、配向膜用フレキソ印刷機のG10.5機の受注状況や保守・メンテナンス収入の拡大状況が注目ポイントだと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ
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