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【市況】S&P500 月例レポート ― 市場に影を落とす“貿易戦争”と“移民問題” (3) ―


●トランプ大統領と政府高官

 G7サミットがカナダのケベック州で2日間にわたって開催されましたが、合意に至らずに閉会しました(控え目な言い方です)。トランプ大統領の貿易政策(およびアメリカ・ファースト政策)は同意を得られず、前向きな発言さえも引き出すことができませんでした。政治的な中傷が公然と行われ、各国首脳は自国民への説明と自身の立場の擁護を余儀なくされました。

 トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のシンガポールでの会談は、少なくとも表向きはより「洗練された」ものでした。トランプ大統領はまずその成果を評価し、両国が良好な関係を構築していくことを示唆しました。前向きな声明と目標が発表されましたが(多くの握手が交わされました)、実際の政策行動はこれから策定していく必要があります。この会談に対する米国内の反応はまちまち(主に党の路線によって分かれています)である一方、北朝鮮はこのイベントを「新しい時代の到来」であり、北朝鮮が受け入れられたことを示すものだと強調しました。

 連邦地裁は通信大手のAT&T(T)によるTime Warner(TWX)の買収(両社は判決の数日後に速やかに買収を完了しました)を認め、米政府の反対を退けました。これはM&Aに対する強力な後押しと受け取られ、M&Aがすでに活発化しています(これはウォール街の手数料の増加につながります)。

 トランプ大統領は2018年7月にヘルシンキでロシアのプーチン大統領と会談する可能性が「極めて高い」と述べました。

 米連邦最高裁判所のアンソニー・ケネディー判事(81歳)が引退を表明しました。同判事は現在、中道派とみられており(ただし、保守派に分類されます)、保守派の人物が後任を務めると予想されています(トランプ大統領が指名し、議会が承認する必要があります)。

●貿易戦争

 北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐる交渉が続く最中の5月31日、米国はEU、カナダ、メキシコに対する暫定的な関税適用除外措置を打ち切り、輸入関税を発動すると決めました。これを受け、当該各国は米国からの輸入品に対する独自の関税措置を表明しました。

 中国は、トランプ政権が500億ドル相当の中国製品に対する関税措置を撤回することを条件に、米国から700億ドル近い農産物、製造品、エネルギー製品を輸入すると提案しましたが、提案は受け入れられず、500億ドルの中国製品に対する関税が発動され、中国側も同規模の対抗措置を発表しました。5月の中国の対米貿易黒字が前年同月比11.7%増の246億ドルとなり、1-5月累計で1,000億ドルの大台を突破したことで、議論はさらに過熱しました。トランプ大統領はまた、中国に対する輸出規制「強化」の一環として、中国資本が25%以上の企業による「産業上の重要技術」を持つ企業の取得を制限する方向で検討していることを明らかにしました。これに対し、中国の習近平国家主席は「対抗手段を取る」意向を明らかにしました。トランプ大統領は、現行法に基づいて中国からの投資を制限する意向であり、新法を制定するつもりはないと発言しました。公的な交渉は今でも続いています。

※「市場に影を落とす“貿易戦争”と“移民問題” (4) 」へ続く

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