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【通貨】仮想通貨は中銀の脅威にはならない=欧州議会レポート【フィスコ・ビットコインニュース】


欧州議会の経済金融委員会は6月26日、「仮想通貨と中央銀行」と題したレポートを発行した。同レポートは、ポーランドに拠点を置く非営利の研究機関、社会経済研究所(CASE)による分析に基づく。仮想通貨が、安全で透明で迅速な取引をグローバルに実現するものとして、世界経済において恒久的な要素となる可能性を持つとの見解が示された。

一方で、法定通貨と比較した際のスケールの小ささから、仮想通貨が、将来的に法定通貨や中央銀行による金融政策を脅かすものとなる可能性は否定した。法定通貨の時価総額が2017年末時点で約14兆ドルであるのに対し、仮想通貨の時価総額が2018年4月時点で3,000億ドルに過ぎないことを指摘する。また、仮想通貨が決済手段として広範には受け入れられておらず、その役割は貨幣の三つの機能のうち「価値の保存」に限定されていると伝えている。

例外的な事例として、ハイパーインフレーションや金融危機、政治的混乱、戦争などにより、法定通貨が不安定な国においては、仮想通貨が代替的役割を果たす可能性があるとして、独自の仮想通貨「ペトロ」を発行したベネズエラを例に挙げた。

仮想通貨の規制に関しては、政策立案者や規制当局は無視や全面禁止するのではなく、他の金融商品と同様に取り扱うべきだと主張。国境を越えて使用されるという特性に応じて、国家横断的に規制を調和させることを推奨した。また、仮想通貨を利用した資金洗浄や脱税、犯罪利用、詐欺などのリスクに取り組む必要があることが述べられた。

欧州連合(EU)では5月にEU理事会が、資金洗浄とテロ資金供与の防止に向けた規則の導入に合意し、その施策の柱の一つとして、域内の仮想通貨取引所と仮想通貨を保管・管理できる「ウォレット」の提供企業に対し、銀行と同じ顧客確認(KYC)が義務付けられた。 同規制は資金洗浄とテロ資金供与という側面が大きく、EUでは仮想通貨に対する包括的な規制はまだないため、今後の法整備の動向に注目したい。

《MT》

 提供:フィスコ

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