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2018年06月28日15時06分

【特集】ダイナムジャパンHD Research Memo(6):継続的なコスト削減で、2019年3月期も増益を確保できるとみる


 



■中期成長戦略と現在の取り組み状況

3. 今後の業績の考え方
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>は業績見通しを公表していないため、弊社では一定の条件のもとで独自にシミュレーションを行った。

営業収入については、貸玉収入を前期比2.3%減の757,234百万円と想定した。業界全体では貸玉収入が4.3%減(過去10年間のパチンコ市場規模の年平均成長率を適用)となると想定し、同社については、基幹子会社であるダイナムのパチンコ稼働率が競合店舗を10ポイント上回っている点を考慮して2.3%減とした。粗利益率は低貸玉営業の推進の影響で前期同様上昇すると想定し、20.0%とした。その結果、営業収入は151,447百万円(前期比0.4%減)になると予想した。

一方費用面では、1店舗当たりの営業費用が、2018年3月期実績の約304百万円から5百万円減少し299百万円に抑制されることは充分可能であると想定した。これは2018年3月期の前期比減少額(約15百万円)の3分の1の水準だ。この仮定に基づくと店舗営業費用は134,550百万円(450店舗で試算)となる。一般管理費を前期比横ばいの5,000百万円、その他の収支(ネット値)も前期比横ばいの7,000百万円(収入超)とすると、営業費用の総額は132,550百万円(前期比1.6%減)となる。その結果営業利益は18,897百万円(同8.9%増)と2期連続の営業増益が期待される。

営業収入の減収率が弊社の想定よりも大きくなる可能性はもちろん否定できない。しかし、同社のコスト削減額もまた余力があり、弊社の想定額以上を達成可能であると考えられる。結果的に2019年3月期において増益を確保する可能性は高いと弊社では考えている。

上記のシミュレーションの大きなポイントは、同社の貸玉収入の減収率が業界平均を下回るという点にある。この想定について、弊社では基幹事業会社であるダイナムの経営状況に照らして、一定の合理性はあると考えている。

ダイナムは405店舗(2018年3月末時点)を擁し、2018年3月期の営業収入は139,940百万円と、グループ連結営業収入の92%を占めている。業績動向の項で連結業績について述べたところと重なる。ポイントはそのKPI(重要経営評価指標)の数値だ。特に注目すべきはパチンコとスロットの稼働率の数値で、いずれも競合店を大きく上回っている。これは同社の従業員が全国の競合店1,300店を対象に実施しているもので信頼性が高いと弊社では考えている。

ダイナムのKPIの数値から改めて浮き彫りになることは、同社が強い理由は、450店を有するからではなく、個々の店舗が強い(すなわちしっかりと利益を出せている)点にあるということだ。ここが崩れなければ、2020年3月期以降も安定的に利益を出していくことができると弊社では考えている。


「働き方改革」や「女性管理職の育成」など、重要と見定めたテーマについて「地域のインフラ」として長期的な企業価値向上をめざす
4.CSRへの取り組みと長期的な企業価値向上
同社は上場企業として法令に則ったコンプライアンス経営と収益の最大化に取り組むのみならず、「地域のインフラ」(地域になくてはならない存在)となることを経営の軸に置きながら、CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)に高い意識を持って取り組んでいる。働き方改革や女性管理職の育成など様々なテーマが議論されているなか、同社はこうした社会の動きを先取りする形で、これらを重要テーマと見定め、長期的な企業価値向上をめざしている。

以下に取り組み事例を紹介する。(カッコ書きで同社のアニュアルレポートに記載の重要テーマと関連づける。)

(1) 働き方改革への注力(重要テーマ:働きやすい職場環境)
同社は従前より働き方改革に注力してきた。子育て世代を対象とした短時間勤務制度については、2018年5月に制度を拡充し、介護、育児、疾病等の事情を抱える社員にも利用可能としたほか利用回数の制限も撤廃した。また、働き方改革ではほかにも、シニア活用のための定年延長や非正規社員の正社員への転換、「健康経営宣言」の制定などを行っている。

(2) 復興支援の取り組み(重要テーマ:地域社会との共生)
同社は震災復興支援のための活動を継続的に行っている。東北3県への寄付金の合計額はこれまでに6億円を大きく超えている。また、現地で実際に汗を流す活動にも積極的だ。一例として、NPO法人桜ライン311が主催する、岩手県陸前高田市内の約170kmにわたる津波到達ラインに桜並木をつくる植樹活動に、多くの社員が参加しており、会社としても社員のボランティア活動を支援している。

(3) 女性管理職の育成と交流支援(重要テーマ:ダイバーシティと人材育成)
同社は社内に「なでしこチーム」を設置し、女性管理職育成に取り組んでいる。なでしこチームでは同業他社との間で女性活躍推進の担当者との意見交換などを重ねているが、今般、他業種の企業3社の担当者も招いて、「なでしこサミット2018」を開催した。今後も女性活躍に向けた取り組みを継続・強化していく方針だ。

(4) 継続的な新卒採用の実施(重要テーマ:ダイバーシティと人材育成)
同社は業界で初めて大卒者の新卒採用を制度化した企業であり、事業環境の変動にもぶれることなく、継続的に新卒採用を実施している。2018年度は91名(男性69名、女性22名)を採用した。今後も雇用計画に基づいて継続的な新卒採用を予定している。

(5) 福祉施設での「トレパチ!」体験会の開催(重要テーマ:地域社会との共生)
同社は福祉施設専用パチンコ機「トレパチ!」を活用した体験会を2016年から継続的に実施している。入居者の方に楽しみやリハビリトレーニングを提供することを目的としたもので、今後も継続し、地域社会への貢献を実現していく方針だ。

(6) 受動喫煙防止への取り組み(重要テーマ:楽しく安全な遊技空間の提供)
直近では宮城仙台一番町店を完全分煙店舗とした。これにより「ゆったり館」ブランドの完全分煙店舗は2店舗となり、店舗コンセプトに完全分煙を取り入れた「信頼の森」ブランド店舗24店と合わせて26店が完全分煙体制となった。同社の残りの店舗も、構造上は即座に完全分煙対応が可能となっており、社会情勢や顧客の反応などを見ながら拡大を図るとみられる。


統合報告書を開示。非財務(ESG)情報を積極開示し、長期投資家との対話ツールを充実
同社は5月29日にアニュアルレポート(「Annual Rerport 2018」)を開示した。香港証券取引所においては、昨年よりESG情報の開示が義務化され、上場各社による非財務情報の開示が本格化している。同社のアニュアルレポートにおいても、上記のCSR活動を踏まえ、環境(E)、社会(S)に関する考え方や取り組みについての情報開示を充実させている。また、同社のアニュアルレポートは「国際統合報告評議会」(IIRC)の定める国際統合報告フレームワークや経済産業省が提唱する「価値協創のための総合的開示・対話ガイダンス」を意識した構成でまとめている。投資家と企業の一層の対話が望まれている環境下において、特にESGを含む長期的な視点を軸に企業価値の向上を目指すことが、長期投資家と企業双方の共通テーマとして認識されるようになってきている。同社の統合報告としての情報開示は、世界の長期投資家との対話姿勢を表すものとして評価したい。同社はまた、7月にCSRレポート(「CSR Report 2018」)を開示する予定であり、長期投資家との対話ツールが一層充実し、株式市場における適正な評価を受ける機会が広がることを期待する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MH》

 提供:フィスコ
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