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【特集】三城HD Research Memo(3):2018年3月期は既存店売上高の回復で営業損益は黒字化

三城HD <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

● 2018年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三城ホールディングス<7455>の2018年3月期の連結業績は売上高で50,406百万円(前期比1.1%増)、営業利益270百万円(前期400百万円の損失)、経常利益463百万円(同616百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損益は1,160百万円の損失(同1,721百万円の損失)となった。

既存店の売上高は、国内小売は前期比1.5%増、海外は現地通貨ベースでは同0.4%減であったが、為替の影響で円ベースでは同2.7%増となった。売上総利益率は、前期比で三城が0.5ポイント減、金鳳堂が0.4ポイント減、海外法人が1.4ポイント減となったが、商品構成の変化や商品評価減の影響により全体では66.8%(前期比0.7ポイント減)となった。店舗閉鎖や経費削減によって販管費は前期比2.0%減となったことで、営業損益は黒字となった。経常損益では、営業外費用に計上された投資損失が52百万円(前期263百万円)と前期比で減少したことなどから、463百万円の利益となった。但し最終損益では、店舗閉鎖に伴う固定資産除去損や減損損失などを特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損益は損失となった。

(2) 市場別の動向
a) 国内の状況
国内は14店を出店し53店を閉鎖(退店)した。既存店の売上高が1.5%増(内訳は三城が1.4%増、金鳳堂が2.8%増)となったことから国内売上高は前期比1.1%増の43,650百万円となった。商品構成等により売上総利益率は若干低下したが、増収に加えて店舗閉鎖に伴い経費も減少したころから、セグメントの営業損益は350百万円の利益(前期は301百万円の損失)となった。

b) 海外の状況
海外では2店を出店し、8店を閉鎖した。売上高は現地通貨ベースでは、わずかに減となったが、為替(円安)の影響により円ベースでは6,756百万円(前期比0.7%増)となった。また、円換算での経費も増加したものの、増収効果によりセグメント損益は87百万円の損失(前期は108百万円の損失)と損失幅は縮小した。


利益低水準だが、手元の現預金は潤沢
(3) 財務状況
2018年3月期末の財務状況を見ると、流動資産は33,027百万円(前期末比242百万円減)となった。主要科目では現預金122百万円減、受取手形・売掛金399百万円増、棚卸資産384百万円減などであった。固定資産は12,991百万円(同1,666百万円減)となったが、内訳は有形固定資産が4,337百万円(同971百万円減)、無形固定資産717百万円(同311百万円減)、投資その他資産7,936百万円(同384百万円減)となった。投資その他資産の減少は主に敷金・保証金の減少302百万円などによる。この結果、資産合計は46,019百万円(同1,907百万円減)となった。

流動負債は11,555百万円(同25百万円減)となったが、主な変動は仕入債務の減少106百万円、短期借入金(1年以内返済の長期借入金含む)の減少471百万円などであった。固定負債は1,384百万円(同100百万円増)となったが、主に長期借入金の減少32百万円、資産除去債務の増加73百万円などによる。この結果、負債合計は12,940百万円(同75百万円増)となった。純資産は33,078百万円(同1,982百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少2,031百万円による。

(4) キャッシュ・フローの状況
2018年3月期のキャッシュ・フローを見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは1,987百万円の収入となった。主な収入は減価償却費及びその他の償却費1,151百万円、棚卸資産の減少454百万円など。一方で主な支出は税金等調整前純損失の計上828百万円、売上債権の増加327百万円、仕入債務の減少134百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは759百万円の支出となったが、主に有形固定資産の取得による支出895百万円、敷金・保証金の戻り(ネット)による収入332百万円など。財務活動によるキャッシュ・フローは1,621百万円の支出となったが、主に借入金の純減による支出543百万円、配当金支払いによる支出866百万円による。この結果、期中の現金及び現金同等物は341百万円減少し、期末残高は11,276百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

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