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【市況】S&P500 月例レポート ― ITセクターが牽引、「バイ・イン・メイ」の5月相場 (3) ―


●ITセクターは7%超上昇、アップルが約14%高

 5月のS&P 500指数は2.16%の大幅上昇となりました(配当込みのトータルリターンはプラス2.41%)。4月も小幅ながら0.27%上昇(同プラス0.38%)したため、結果として年初来では1.18%の上昇(同2.02%)となり、それ以前の2ヵ月連続での下落から反転しました(3月は2.69%と大きく下落。2月はさらに大幅な3.89%の下落)。とはいえ、5月相場の牽引役は、7.13%上昇した情報技術セクターが一手に担いました。5月のS&P 500指数の上昇の76.5%は情報技術セクターの値上がりによるものです(S&P 500指数の年初来のリターンに対する同セクターの寄与率は133.6%。つまり、同セクターを除いたS&P 500指数の年初来騰落率はマイナス)。年初来のS&P 500指数の騰落率は1.18%のプラスに転じました(配当込みのトータルリターンは2.02%)。同指数は依然としてレンジ内で取引されており、2018年1月26日に付けた過去最高値を5.83%下回り、2018年2月8日に付けた直近安値を4.82%上回った水準で推移しています。また、2016年11月8日の大統領選当日からは26.44%(同プラス30.49%)上昇しました。

 5月は相場のボラティリティが低下し、1%以上変動したのは月間取引日数21日のうち3日でした(上昇が2日、下落が1日)。4月は1%以上変動した取引日は6日でした(上昇が3日、下落が3日)。平均日中値幅(高値と安値の差)で見たボラティリティは、5月は5.69%となり、4月の6.41%、3月の8.35%、2月の11.97%から低下が続きました。相場の流れは日々変化したものの、1日の中で方向性が大きく変わることはなく、市場は落ち着いていました。また、相場に影響するような規模の大きなプログラム取引もほとんどみられませんでした。

 セクター別の騰落率は引き続きまちまちでしたが、その差は縮小しました。その理由として、月前半に好決算が続いたことや、予想されたほどではないものの経済指標も引き続き改善したことが挙げられます。5月は、最も値上がりしたセクター(情報技術)と最も値下がりしたセクター(電気通信サービス)の騰落率の差が9.41%となり、4月の13.81%からは縮小しましたが、3月の7.86%からは拡大しました(2月は11.23%、1月は12.34%)。

 5月は11セクター中7セクターが上昇し、上昇が6セクターだった4月や3セクターだった3月を上回りました。情報技術セクターが7.13%と断トツで上昇し、最も高いパフォーマンスを記録しました。iPhoneメーカーのApple(AAPL)が13.5%(5月のS&P 500指数の上昇分の21.3%に相当)、ソーシャルメディア大手のFacebook(FB)が11.5%(同8.7%に相当)、半導体メーカーのMicron Technology(MU)が25.3%値上がりしたことが背景にありました。情報技術セクターの年初来の上昇率は10.60%と、S&P 500指数のセクターの中で最高となりました。

 4月に9.29%上昇したエネルギーセクターは原油価格の下落にもかかわらず5月も2.53%上昇し、中でもExxon Mobil(XOM)は5月に5.5%上昇しました。エネルギーセクターの年初来の上昇率は4.68%となっています。消費者関連の2つのセクターでは対照的な値動きが続いています。一般消費財セクターは5月に1.87%(4月は2.27%上昇。年初来では7.06%上昇)値上がりしましたが、生活必需品セクターは4月の4.52%の下落に続き、5月も1.79%下落しました。年初来の騰落率は13.51%のマイナスと全11セクター中で最低のパフォーマンスとなっています。金融セクターは金利の低下とFOMCによる利上げが年内3回にとどまるとの観測から1.12%下落しました(これまでは4回との観測がありました)。同セクターの年初来騰落率は2.95%のマイナスとなっています。

 5月も値上がりした銘柄数が値下がりした銘柄数を上回りました。ただし、指数全体の上昇が示唆するほど多くの銘柄が値上がりしたわけではありません。値上がり銘柄数は279銘柄(平均上昇率は5.95%)と4月の265銘柄を上回りました(3月は193銘柄)。10%以上上昇した銘柄数は49銘柄でした(4月は31銘柄)。5月は226銘柄が値下がりし(平均下落率は4.58%)、4月の240銘柄、3月の312銘柄を下回りました。10%以上値下がりした銘柄数は25銘柄となりました(4月も25銘柄)。年初来では引き続き、値下がりした銘柄数が値上がりした銘柄数を上回っており(とはいえ、先月に続いて改善)、5月末現在で230銘柄(4月末は220銘柄、3月末は208銘柄)が値上がりしました(平均上昇率は13.51%)。10%以上値上がりした銘柄数は113銘柄(4月末では81銘柄)で、そのうち36銘柄が25%以上値上がりしました。値下がりした銘柄数は275銘柄(4月末では285銘柄)で(平均下落率は10.28%)、年初来で10%以上値下がりした銘柄数は112銘柄(4月末では115銘柄)となり、そのうち16銘柄が25%以上値を下げました。

※「ITセクターが牽引、「バイ・イン・メイ」の5月相場 (4) 」へ続く

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