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【特集】KLab Research Memo(3):18年12月期1Qも好調、「キャプテン翼」の寄与により海外売上高が順調に拡大

KLab <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

1. 2018年12月期第1四半期の業績
KLab<3656>の2018年12月期第1四半期の業績は、売上高が前年同期比51.0%増の7,927百万円、営業利益が同43.8%増の1,345百万円、経常利益が同16.4%増の1,229百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同16.9%増の805百万円と大幅な増収増益となった。

売上高は、前期の新作タイトルである「キャプテン翼」(2017年6月配信開始)、及び「シャニライ」(2017年8月配信開始)による上乗せ分が大幅な増収に寄与した。特に、海外売上高が2,475百万円(前年同期比138.9%増)と大きく拡大し、20億円台を突破(四半期ベースで過去最高を記録)したのは、2017年12月に配信開始した「キャプテン翼」グローバル版による売上寄与が大きい。

一方、損益面では、外注費及び業務委託費の拡大等により売上原価率が66.4%(前年同期は66.0%)とわずかに上昇したことに加え、販管費率も広告宣伝費の一時的な増加※により16.7%(前年同期は16.2%)に上昇したことから、営業利益率は17.0%(前年同期は17.8%)に若干低下したが、増収効果により大幅な営業増益を実現した。なお、経常利益以下の伸び率が比較的緩やかなのは、円高進行により外貨建債権にかかる為替差損159百万円(前年同期は為替差益101百万円を計上)が発生したことが主因である。

※3月開催のAnimeJapan 2018への大型出展によるもの。


財務面では、ゲーム開発の進行に伴うソフトウェア仮勘定の計上や「ラピスリライツ」※のアニメ制作費の計上により固定資産が増加したものの、配当金支払い及び法人税等の納付により現金及び預金が減少したことなどから、総資産は前期末比5.2%減の17,632百万円に縮小。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同3.7%増の13,015百万円に増加したことから、自己資本比率は73.8%(前期末は67.4%)に上昇した。

※自社IPによる開発中のゲームタイトル(外製)であるが、メディアミックスプロジェクトを進行中。


2. 四半期業績の推移と主要タイトルの状況
四半期業績の推移を見ても、2018年12月期第1四半期の業績は、過去最高であった前四半期(2017年12月期第4四半期)との比較では、売上高が7.2%減、営業利益が20.2%減と縮小したものの、高い業績水準を維持したと評価することができる。特に、海外売上高については、前述のとおり、「キャプテン翼」グローバル版の売上寄与により、前四半期比でも64.0%増と急拡大した。

なお、前四半期比で減収となったのは、「スクフェス」及び「キャプテン翼」(日本版)、「シャニライ」の3つの主要タイトルがそれぞれ減少したことが理由である。特に、「スクフェス」は前四半期においてTVアニメ放送やキャンペーンを実施したことの反動によるものである。また、「キャプテン翼」(日本版)についても、前四半期にサッカー日本代表ユニフォームを着用した選手たちを配信したことによる反動減であり、それぞれ想定内と捉えることができる。ただ、「シャニライ」については、2018年1月よりグローバル版及び中国大陸版の配信を開始したものの、全般的に想定よりも若干スローペースとなっているようだ。一方、「ブレソル」は、「千年血戦篇」のキャラクター配信や全世界3,000万ダウンロードキャンペーンが好評であったことから、日本版及びグローバル版ともに前四半期比で増加した。

費用面では、売上高の拡大に伴い、労務費及び人件費、業務委託費、外注費等が増加傾向で推移しているが、営業利益率は17~19%水準で安定している。なお、業務委託費や外注費の増加は、外部リソースの活用を進める同社の方向性を示したものと言える。また、労務費及び人件費の増加も、前期の第3四半期より人員増強フェーズに移行したことを反映しており、2018年3月末のグループ従業員数は524名(2017年3月末は497名)に増加している。優秀な人材の獲得はスマートフォンゲーム業界全体の課題となっており、同社が掲げる「3つのキーワード(後述「成長戦略」を参照)」を推進し拡大させていくにはもう少し増強していきたいところであろう。

3. その他活動実績
2018年3月28日に、スマートフォン向けゲームの企画・開発などを手掛けているアクセルマーク<3624>と資本業務提携契約を締結した。アクセルマークのゲーム開発リソースを活用し、同社のゲーム開発ラインの増強を図ることが目的である。また、それぞれのノウハウを最大限に活用し、共同開発をすすめることで、高品質でオリジナリティに富んだ魅力的なゲームのラインナップの拡充も目指す※。本件に伴い、アクセルマーク社の普通株式204,900株を第三者割当の方法により取得(払込金額の総額約349百万円)し、この結果、同社はアクセルマーク社の第2位株主(保有比率4.46%)となった。

※アクセルマークの完全子会社であるアクセルゲームスタジオ(株)とは、もともと「幽☆遊☆白書100%本気(マジ)バトル」の共同開発において提携関係にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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