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【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米利上げ加速期待は後退も

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。欧州政治リスクを背景とした警戒は続くものの、過度な警戒による円買いはいったん収束し、ドルは買い戻される見通し。ただ、米利上げペース加速への期待は弱まり、回復の足取りは重くなりそうだ。

イタリアの政治的混迷を背景にリスクオフのムードが広がり、前日はイタリア国債や欧州株が大きく売られ、ユーロ・円は2%超の大幅安を記録。NY市場でもマネーの安全資産への逃避が鮮明となり、株安、債券買いで長期金利は水準を切り下げた。10年債利回りは2.76%台まで急激に低下し、ドル・円は一時108円11銭まで弱含んだ。

ただ、本日のアジア市場では、前日の混乱はいったん収束し、大幅安を修正する動きとなった。日経平均株価は前日比400円安の軟調地合いとなる場面もあったが、ドルは押し目買いで底堅い値動き。米10年債利回りも2.82%台に持ち直したことで、ドルの買戻しを後押し、ドルは108円後半に値を戻しつつある。

そうしたなか、今晩は米国の5月ADP雇用統計(21時15分)や1-3月期国内総生産改定値(21時半)など経済指標が材料視される。ADP統計は今週末の5月雇用統計の先行指標として注目され、GDP改定値は市場予想を下回らなければ、景気拡大基調の維持との見方が広がりそうだ。いずれも連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策に影響するため、ドルの押し上げ要因となろう。

しかし、イタリアの政治リスクは思った以上にインパクトが大きく、CMEグループが算出するFedウォッチによると、ほぼ織り込み済みだった6月の利上げへの予想も低下しており、今晩の経済指標は堅調でも米利上げペース加速への期待は高まらず、ドル買いは小幅にとどまろう。

【今日の欧米市場の予定】
・16:55 独・5月失業率(予想:5.3%、4月:5.3%)
・18:00 ユーロ圏・5月景況感指数(予想:112.0、4月:112.7)
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-2.6%)
・21:00 独・5月消費者物価指数速報値(前年比予想:+1.9%、4月:+1.6%)
・21:15 米・5月ADP雇用統計(予想:+19.0万人、4月:+20.4万人)
・21:30 米・1-3月期GDP改定値(前期比年率予想:+2.3%、速報値:+2.3%)
・21:30 米・4月卸売在庫速報値(前月比予想:+0.5%、3月:+0.3%)
・21:30 カナダ・1-3月期経常収支(予想:-182.0億加ドル、10-12月期:-163.5億加ドル)
・23:00 カナダ中銀が政策金利発表(1.25%に据え置き予想)
・03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

《FA》

 提供:フィスコ

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