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【特集】カンロ Research Memo(5):中期経営計画の初年度から策が当たり、2017年12月期は大幅増益

カンロ <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2017年12月期の業績動向
カンロ<2216>の2017年12月期の業績は、売上高21,303百万円(前期比8.0%増)、営業利益935百万円(同58.1%増)、経常利益999百万円(同63.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益447百万円(同10.6%減)となった。

2017年のキャンディ市場は、グミの売上高が前年比4.4%増と好調に推移したが、飴は同2.5%減と依然として縮小傾向にあり、キャンディ市場全体で微減となる厳しい状況だった。一方、同社は「金のミルクキャンディシリーズ」や「ノンシュガースーパーメントールのど飴」など既存の主力ブランドが伸長したほか、新製品の「健康のど飴 たたかうシリーズ」が想定以上に好調だったこともあって、飴の売上高は前期比7.7%増※と大きく伸びた。グミは人気の「ピュレグミシリーズ」がけん引して同9.6%増※とさらに伸びた。ともに市場を大きく上回り、飴のシェアは過去最高になったほか、グミもシェアを回復した。なお、素材菓子は同5.7%の減少であった。

※出所:インテージSRIデータ


「金のミルクキャンディシリーズ」は引き続き前期比12.3%増と好調で、香料に頼らず素材で味わいを出す同社のノウハウによる、無香料・無着色で濃厚なのに後味すっきりという商品特性への認知が高まった。「ノンシュガースーパーメントールのど飴」も同13.6%増と好調で、コンビニやスーパーを中心に50~60代の男性など固定客が増えている。また、新製品「健康のど飴 たたかう乳酸菌」の「たたかうシリーズ」など新商品は、リテールサポートによってスーパーやコンビニで導入が進んだ。グミは、インスタ映えがすることで若い女性に人気の「ピュレグミ」が、パッケージリニューアルによりさらに「フォトジェニック」らしさを増し、特にマスカットが同53.4%増、グレープが同20.3%増とブランド全体をけん引した。

同社は中期経営計画「NewKANRO 2021」の初年度に当たり、品質保証体制の充実、提案力の強化、生産設備の合理的な稼働による原価低減に努めたほか、業務効率化に向けて情報システム環境の整備など経営基盤の強化にも積極的に取り組んだ。なかでも、営業と商品開発、マーケティングの連動するリテールサポート体制による、エリア・取引先ごとのきめ細かな提案営業が功を奏した。コンビニに対しては、大手コンビニごとに担当を置いて取り組みを強化、コンビニごとに適した商品や売り方を提案する姿勢が評価され、同社主力ブランドの品ぞろえにつながった。スーパーに対しては、棚作りの提案をするなど営業を強めたことでキャンディは同社に任せるという流れを作り、キャンディのカテゴリーリーダーのポジションを勝ち取った。生産キャパシティが飽和状態であるグミは、生産効率の改善によって若干なりとも生産量を増やすことができたのも幸いした。この結果、既述した通り、販路別の売上高も、市場に打ち勝つことができたと言えるだろう。

利益面については、主力ブランドの売上が増加したことによる製造ラインの安定稼働や、製造現場における合理化など改善活動、SCM改善による廃棄損の削減などにより、売上総利益率が46.0%と前期比1.6ポイント改善した。このため、売上拡大に伴う販売経費の増加や事業拡大に向けた研究開発費・教育費の増加など販管費負担を吸収、営業利益は大幅増益となった。一方、連結子会社ひかり製菓(株)の吸収合併(合併期日は2018年7月1日)に伴う減損損失152百万円、特別退職金66百万円を特別損失に計上したことに加え、前期に繰延税金資産の計上による法人税等調整額360百万円を計上したことによる反動減もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。


2018年12月期の営業利益は減益計画だが、実質は増益と言える
2. 2018年12月期の業績見通し
2018年12月期業績について、同社は売上高21,500百万円、営業利益620百万円、経常利益640百万円、当期純利益730百万円を見込んでいる。なお、2018年7月1日をもって連結子会社ひかり製菓を吸収合併し、2018年12月期第3四半期より単体決算となる予定であるため、同社は第2四半期の業績予想と通期予想の前期比を開示していない。

同社は2018年12月期も、中期経営計画「NewKANRO 2021」の実現に向けて、引き続き「売上拡大戦略」と「経営基盤の強化」を両輪に各種施策を実行する方針である。しかしながら、前期に売上高が計画を3億円以上上回ったこと、グミの生産キャパシティが飽和状態で飴の伸長に頼らざるを得ないことから、同社は売上高のハードルがやや高いと考えているもようで、中期経営計画にある計画値をそのまま2018年12月期の予算とした。

一方、商品政策は活発である。同社は、飴に関して、カンロ飴と健康のど飴のブランド再生を業績のけん引役にする方針である。カンロ飴については、63年続いたロングセラーでこれまで大幅なリニューアルをしたことがなかったことから、全執行役員参加の「カンロ飴再生委員会」を発足して全社対応とした。これにより改良版カンロ飴と、これまで培ってきたイノベーションを応用した新味のカンロ飴を、2018年下期に発売する計画である。健康のど飴については、既に35年前にのど飴を発売したパイオニアであることを訴求しつつ、自社研究所における独自のハーブ研究や口腔衛生に強い大学歯学部との共同研究により、「体感できる本格的のど飴」を2018年下期に発売する予定である。両製品とも2018年夏に製品発表会を予定している。また、金のミルクは、売上No.1ミルクキャンディの地位を持続するため、ここ数年打たなかったTVCMを投入する予定である。これにより、取引先小売の導入モチベーションの向上につなげたい考えである。

グミの戦略骨子は、既存ブランドの強化と新グミ開発である。既存ブランドの強化では、「ピュレグミ」について5月にキャンペーンを打つ予定である。「幸せの#星ピュレ」というキャンペーンで、星形のピュレが見つけられたらその場でSNS写真を投稿することで応募が完了、抽選で777名にすべて星形の限定ピュレグミをプレゼントするという、フォトジェニック商品らしいキャンペーンである。新グミ開発では、成長性の高い分野を狙った新商品を開発する計画で、全方向対応のナチュラル果汁系グミ、スイーツ市場を狙った新食感グルメ、ガムや錠菓からの流入を狙ったリフレッシュミント、健康志向の機能/栄養補助食品などを投入する考えである。ただし、市場投入はグミ製造ライン新設後の2019年12月期となる見込みである。

2018年12月期も販路別の状況は大きく変わらないと見られる。市場はスーパーが縮小し、コンビニエンスストアが堅調で、ドラッグストアの伸びが続く見込みである。なかでも、同社はドラッグストアへの参入余地をまだ大きく残している上、各エリアでドラッグストアの有力企業が絞られてきている。これに対応し、同社は営業組織をエリア別からエリア別・チャネル別に組み替えたが、エリアをより強く意識するため、札幌支店→北海道支店のように支店名も変更した。これにより、北海道のツルハホールディングス<3391>のような地域一番ドラッグストアとの商流拡大を集中的に狙う考えである。

なお、2018年12月期の重点施策として、飴の生産効率化と経営基盤の強化を進める方針である。生産効率については、ひかり製菓を吸収合併し生産ラインをひかり工場に移設、飴の生産を松本工場との2工場に集約する計画である。これにより生産体制の最適化を実現し、原価率を前期からさらに1ポイント改善する予定である。一方、売上高の伸びをあまり見込めないなか、主力ブランドの売上拡大と企業ブランド向上を図るための広告や本社オフィス移転、新CI導入、情報システム化の推進、ひかり製菓の吸収合併に伴う製造設備の移設など、成長に向けての費用が増加する見込みである。2018年12月期が営業減益予想になった背景である。ただし、ひかり製菓吸収のため一過性費用として予定されている350百万円を除けば、営業利益は983百万円で実質増益となる。また、旧本社ビル売却に伴う固定資産売却益502百万円、ひかり製菓の吸収合併に伴う合併差益42百万円を特別利益に計上するため、一過性費用を除かなくとも親会社株主に帰属する当期純利益は増益が見込まれている。

経営基盤の強化では、安全安心な品質の追求、ダイバーシティ委員会の発足、オフィス環境・制度の整備を実施する方針である。品質保証体制の充実では、ACCPやISO22000より厳しい基準と言われるFSSC22000を、ひかり工場と松本工場でそれぞれ2018年、2019年に取得する計画である(朝日工場では取得済み)。加えて、技術部を新設して2017年に設置された品質保証部と連動、顧客の声を各工場にフィードバックする仕組みを作る方針である。また、環境変化に対応できる強靭な経営体質を構築するため、多様な価値観を受け入れる風土を作る考えで、ダイバーシティ委員会を発足、将来の働き方改革にまでつなげる意向である。オフィス環境・制度の整備では、本社オフィスの移転(1フロア)を機にICT強化や新人事制度を導入し、本社を含めて生産性を向上させる考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《NB》

 提供:フィスコ
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