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【特集】アウトソシング Research Memo(5):2018年12月期もオーガニック成長により増収増益を見込む


■業績見通し

2018年12月期の業績予想(IFRS)についてアウトソーシング<2427>は、売上収益を前期比26.0%増の290,000百万円、営業利益を同21.5%増の13,800百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益を同11.7%増の6,900百万円と引き続き増収増益により、過去最高の売上収益、各利益を更新する見込みである。

前述のとおり、今期より「国内製造系」に「国内管理系」と「国内人材系」を統合し、新しい事業セグメントに変更しているが、すべての事業が伸長する計画である。人材獲得に向けた独自の取り組み(KENスクールやPEOスキーム等)の進展に加えて、米軍施設向けの展開加速、公務の民間委託事業のグローバル展開によりオーガニックな成長を想定している。したがって、新たなM&Aについては現時点で織り込んでいない(ただし、M&Aにかかる事前調査費用※のみ予算計上しているようだ)。

※ デューデリジェンス費用等。


一方、利益面では、増収による増益を実現するものの、増益率が比較的緩やかな水準にとどまっている(利益率が若干低下する)のは、前述のとおり、新たなM&Aにかかる事前調査費用のみ(20億円程度と推定)予算計上しているためである。なお、営業利益予想(138億円)の前提について同社は、決してコンサバティブな判断に基づく数字ではなく、『アグレッシブな中期経営計画に掲げた業績を最低限達成し、それを上回った部分を先行投資に回し、異次元の成長を遂げる「攻めの姿勢」を貫く』という最大限のアグレッシブさを反映したものと説明しており、積極的な先行投資を継続しながらも、最低限確保すべき水準と捉えているようだ。

弊社でも、外部要因(法改正で発生する派遣ニーズの拡大や業界淘汰の取り込み、公務の民間委託市場の世界規模での拡大等)及び内部要因(独自戦略の進展やグループシナジーの実現等)から判断して、同社の売上収益予想の達成(オーガニック成長の実現)は十分に可能であるとみている。一方、利益予想についても、今後の成長加速に向けた先行費用(新たなM&Aにかかる事前調査費用を含む)を想定した無理のない水準であると評価できる。したがって、今期中にM&Aが実現すれば業績の上振れ要因となることにも着目したい。(なお、同社は、3月30日にオランダの人材サービス会社OTTO Holding B.V.を子会社化すると発表した。OTTOグループ約40社とのシナジーにより、欧州における人材採用ネットワークを確立し、国境を越えた人材流動化を推進することで、欧州のみならず、グローバル規模での業容拡大を加速していく方針だ。)

事業別のオーガニック成長とその前提は以下のとおりである。

(1) 「国内技術系アウトソーシング事業」は、売上収益を前期比36.3%増の69,883百万円、営業利益を同49.0%増の6,399百万円と見込んでいる。業界における課題(ハイエンド技術者の採用困難が成長のボトルネックとなっている状況)を独自スキームで克服し、更なる成長を実現する見通しである。2018年12月末の外勤社員数11,534名(前期末比2,818名増)を計画しているが、そのうちKENスクールの活用により1,500名(前期比144名増)、2018年4月入社の新卒採用により約1,000名(前期比450名増)、業界淘汰の取り込みにより650名(前期比198名増)となっている。

(2) 「国内製造系アウトソーシング事業」(「国内管理系」と「国内人材紹介」を統合)は、売上収益を前期比39.1%増の68,384百万円、営業利益を同24.2%増の6,050百万円と見込んでいる。労働者派遣法の改正等に伴うPEOスキームの進展により、2018年12月末の外勤社員数は15,636名(前期末比4,542名増)に大きく拡大する見通しである。また、管理業務受託についても、外国人技能実習生の増加により、2018年12月末の委託管理人数は7,989名(前期比2,361名増)を計画している。

(3) 「国内サービス系アウトソーシング事業」は、売上収益を前期比51.9%増の19,872百万円、営業利益を同40.4%増の1,342百万円と見込んでいる。沖縄米軍施設における売店や食堂等の福利厚生施設内業務の派遣事業や、格納庫・滑走路等の建設物や設備の改修・保全業務の受託事業を、グループシナジー創出により国内及び環太平洋の米軍施設へ展開する方針である。また、AECへの与信面でのバックアップも事業拡大に寄与する想定となっている。

(4) 「海外技術系事業」は、売上収益を前期比10.0%増の31,831百万円、営業利益を同79.2%増の2,209百万円と見込んでいる。欧州・豪州における独自システムの横展開などグループ各社間でのシナジー創出により、景気の影響を受けにくい各国政府や地方自治体の各種業務の受託、公共施設での各種アウトソーシング事業を拡大する方針である。

(5) 「海外製造系及びサービス系事業」は、売上収益を前期比13.8%増の99,263百万円、営業利益を同17.3%増の4,370百万円と見込んでいる。欧州・アジア・豪州・南米で製造系事業の拡大を図るとともに、サービス系事業においても、景気の影響を受けにくい各国政府系機関等への人材サービスのほか、公的業務のBPOによる受託事業、ペイロール事業の更なる伸長に注力する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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