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【特集】原油相場は“上昇基調”回帰へ、株価と経済指標が示すもの <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司

―好調米経済から見える良好石油需要、原油価格押し上げの土台に―

●米企業・消費者マインドはなお良好

 米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化を背景とした金利上昇に続き、トランプ政権がアルミニウムや鉄鋼の輸入品に高い関税を課して貿易戦争を始めるなど、米経済は新たな逆風にさらされているものの、米経済に対する期待感は崩れていない。米株価指数のなかで、ナスダック総合指数は最高値を更新する流れに回帰した。ダウ平均やS&P500も上昇軌道に復帰すると、金融市場全体の雰囲気が変わってくるだろう。

 足元の原油市場は株式市場に対する依存度が強い。株価動向は景気の先行きを手軽に探るための指標であり、足元の原油市場にとって目を離すことができない。金利上昇やトランプ政権が始めた貿易戦争の影響、金利が上昇しているなかでの経済指標の推移など、景気認識全般を株式市場の動きを介して読み取っているといえる。景気に不透明感が増しているという認識が乏しいのであれば、株式市場に目を凝らす必要はないが、今はそうせざるを得ない。

 ただ、株価を眺めた石油市場の神経質な雰囲気は和らぎつつあると思われる。年初からの米経済指標を確認する限り、金利上昇が米経済を圧迫している兆候は見られない。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2月の米製造業景況感指数は60.8となり、2004年5月以来の高水準を記録した。民間調査機関コンファレンス・ボード(CB)が発表した2月の米消費者信頼感指数は130.8と17年ぶりの高水準だった。大規模減税の影響もあって、企業・消費者マインドは引き続き良好といえる。

●石油需要拡大が続けば原油高維持へ

 米小売売上高や米耐久財受注の拡大基調が鈍っている兆候があり、米経済が本当に金利上昇を乗り越えられるのか予断を許さないが、先行性のある経済指標に弱めの兆候が現れていないことから、過剰に警戒する必要は薄い。今週は2月の米小売売上高に注目したい。米経済の屋台骨である消費がこれまで通り拡大するなら、金利上昇による景気の不透明感は後退していくだろう。

 米株式市場や米経済指標の動向を前提にすると、米国の石油需要は今後も良好だろう。世界の石油需要の2割を占める米国の需要拡大が腰折れしない限り、世界的な石油の過剰在庫はさらに取り崩され、原油価格をさらに押し上げる土台となり得る。米経済が上向きであるならば、主要国の景気拡大も続き、世界的な石油需要は堅調に推移しそうだ。米国ではシェールオイルの増産が続いており、石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの協調減産規模を間もなく上回るが、石油需要が拡大を続ける限り、原油高トレンドは維持されるだろう。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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