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【経済】NYの視点:円売り持ち前々週から減少:今週注目はパウエルFRB議長の議会証言


短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前々週から減少したものの、依然過去最大の水準に近い。市場はいまだに円の売り持ちに傾いており、3月期末に向けた本邦企業のレパトリに絡んだ円買いが強まると、円の上昇に勢いがつく可能性もある。

今週は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の証言に注目が集まる。米国経済では、10-12月期の国内総生産(GDP)改定値や、全米の製造業活動を示すISM製造業指数の2月分、FOMCがインフレ判断で注視している燃料やエネルギーを除いたPCEコアの1月分が相場材料となる。

パウエルFRB議長は米下院金融委員会で半期に一度の議会証言を、ワシントン時間27日午前10時から開始。米FRBは先週、イエレン議長が率いるFOMCとしては最後となった1月30-31日に開催された会合の議事録を公表。議事録では、多くのメンバーが12月FOMC以降、国内総生産(GDP)の成長見通しを引き上げたことが明らかになった。減税の影響で短期的に成長が押し上げられると見ている。また、メンバーは短期的な成長見通しの強まりが、政策金利であるFF金利誘導目標の緩やかな上昇の確率を高めるという見解で合意した。

12月時点での利上げ予測が年3回であったことから、見通しが引き上げられた場合、4回の利上げの思惑も浮上。一方、ブラード・セントルイス連銀総裁は4回の利上げは多すぎるとの見解を示したほか、インフレ圧力が依然弱いとの判断から2回の利上げにとどまると見るメンバーもいる。昨年まで、FOMCは経済や金利見通しで市場よりも楽観的だった。本年は昨年までの傾向から転換。市場の一部は5回の利上げも可能だと見ている。

FRBは半期に一度議会に提出する金融報告の中でも、米国の強い経済が一段と緩やかな利上げを正当化するとの見方。ほとんどの政策当局者はインフレが本年2%まで上昇すると予想していることを明らかにした。労働市場も引き続き強まるとの見方で、「もし、深刻な労働者不足となれば、賃金の伸びは一段と強まる可能性がある」とした。
議長の証言でも、経済に楽観的な見方が示され、緩やかな利上げ軌道を支援する内容が予想される。

1月FOMCは株式市場混乱の前に開催された。このため、パウエルFRB議長の証言で、市場の混乱の見方、経済に与える影響の判断などを探る。パウエルFRB新議長のもと、年内の利上げが3回または4回になるかどうかが今後の協議の焦点になると見られている。

■今週の主な注目イベント

●米国
26日:ブラード・セントルイス連銀総裁の講演(米国経済、金融政策)、
クウォールズFRB副議長が米国経済判断
27日:パウエルFRB議長、米下院金融委員会で半期に一度の議会証言
イエレン前FRB議長とバーナンキ元FRB議長が会談(米ブルッキングス研究所)
28日:米GDP(10-12月、改定値):予想前期比年率2.5%(速報値+2.6%)
3月
1日:2月ISM製造業景況指数:予想58.7、1月59.1、
1月PCEコア:予想前年比1.5%(12月1.5%)

●欧州
26日:メルケル独首相率いるCDU、党大会で連立協定を採決

●地政学的リスク
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン

《CS》

 提供:フィスコ

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