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【市況】S&P500 月例レポート ― 大半の市場参加者が絶好調維持を予想 (1) ―


 S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●トータルリターンで13ヵ月連続の上昇

 私の自己紹介をさせて下さい。私は富と嗜好を支配する雄牛(ブル)です。もう随分長い間ここにいて、大勢のショート筋の魂を奪ってきました。米連邦準備制度理事会(FRB)が疑念や苦痛を抱える中、バランスシートがまさにFANG銘柄のように巨大化していたときも、私はここにいました。お会いできてうれしいです。私の名前はご存じだと思います。しかし、私がなぜこれほど長生きしているのか戸惑っていることでしょう。

 何度も現れて申し訳ありません――というのは本心ではなく、来月も登場するつもりですが、肝心なことはS&P500指数とS&Pグローバル総合指数がそれぞれ11月も再び上昇したことです。この文章のくだりに既視感を覚えるとすれば、それは以前にも聞いたことがあるからに他なりません。実際、トータルリターン・ベースでは、これで13ヵ月連続になります。S&Pグローバル総合指数にとっては、先進国指数と新興国指数を統合して誕生した1995年以来の記録です。S&P500指数が13ヵ月連続の上昇を記録したのは2回目のことです。前回は1959年で(私は、当時はS&Pにいませんでしたが)、15ヵ月連続で上昇しました(注:ちなみにここではトータルリターンを使用しています。S&P500指数は、株価の値上がりだけで見ると2017年3月に0.04%下落しており、「記録更新に役に立たない」のですが、配当を含めると0.12%上昇になるからです)。

 本稿執筆時点で、市場は上昇を続けており、ビットコインほどではないかもしれませんが、ひたすら上昇しています(そして、普通の市場でビットコインと同様のボラティリティがあったら、相場を乗り切れる者はほとんどいないと思われます)。第3四半期の業績は過去最高水準に達し、第4四半期も記録更新が見込まれ、ワシントンの情け深い人たちからクリスマス・プレゼントが届くかもしれません。もっとも、良い子と悪い子で中身は違うでしょうが。景気は好調を維持しているようで、住宅市場は底堅く、失業率は低水準にあり、しかも一部の熟練労働者市場では賃金が上昇しています。また、金利は緩やかなペースで上昇するとみられます(FRBの新執行部の下で若干加速する可能性はあるものの、依然として緩やかなペースになるでしょう)。

 とにもかくにも、105ヵ月に及ぶ強気相場は、例外はあるものの、総じて前進を続けています。投資家も投資家でない者も(それとも直接投資家と間接投資家と言った方がよいでしょうか)、クリスマス・ショッピングを通じて喜びを伝えようと、スマートフォンを手に取ったり店舗に足を運んだりしているようです。売り手側(小売業や電子商取引)を見ると、第4四半期序盤の売り上げは順調ですが、それ以前の9ヵ月間を穴埋めするには売上高をかなり伸ばす必要があるでしょう(小売業の多くは1月が決算期末)。

 株式市場では、強弱混在の様相です。Amazon(AMZN)、Wal-Mart(WMT)、Home Depot(HD)、Best Buy(BBY)はいずれも年初来で30%以上上昇する一方、Macy’s(M)、Target(TGT)、L Brands(LB)、Foot Locker(FL)は年初来で軒並み2桁台の下落となっています。現時点で、落ちこぼれ組はごく一部にすぎません。その原因が好調なファンダメンタルズにあるのか、利益への執着心(これを「貪欲」と呼ぶ人もいます――ただ最近は貪欲が良いことなのか悪いことなのか思い出せません)にあるのかは区別し難いものの、他の多くのことがそうであるように、2つが重なったためかもしれません。私には「結果は終わるまで分らない」としか言えませんが、順調に進んできたことは確かです(あくまで、現在までのところ)。

※「大半の市場参加者が絶好調維持を予想 (2) 」へ続く。

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