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【経済】平野淳也:ビットコインは通貨でもないし、デジタルゴールドでもない、新しいアセットである【FISCOソーシャルレポーター】


以下は、フィスコソーシャルレポーターの暗号通貨研究家の平野淳也氏(ブログ「Think Nomad」、動画メディア「コインストリート」を運営、Twitter: @junya_1991)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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「ビットコインは通貨にはなれない。」
「ビットコインはデジタルゴールドである。」
というような意見や議論が、しばしばあります。

昨日の記事では、金とダイヤモンドのケーススタディから、価値とはなにかを考えました。

ですが、ビットコインはインターネットオブマネーでもないし、デジタルゴールドでもない、全く新しい何かだといえます。

ビットコインは金融政策を出来ないので、従来的な通貨として機能はしません。
しかし、不特定多数の人が存在する社会で価値があるものとして認められ、任意の単位を自由に送金できるアセットは、通貨のようなものとしての役割を果たします。
しかし、それは通貨ではなく、「通貨のようなもの」です。

また、ビットコインは、非改ざん性や限界供給量の点で、ゴールド(金)を強くモデリングしていますが、オープンソースソフトウェアなのでハードフォークができるし、ハッシュパワーの移動という形でプロトコル外からの影響をうけるという点や、プログラマブルという点で、ゴールドとは異なります。

ゴールドは地球上で唯一無二な元素で、ハードフォークはできないし、どんな政治的要因があれ、ゴールドはゴールドたりえます。

この点においてもまた、ビットコインは、ゴールドではなく、ゴールドのようなものです。

そういった意味で、ビットコインは、「ゴールドのようなもの」「通貨のようなもの」で、それらのデジタル版ではありませんし、全く新しいアセットです。

新しい概念、イメージを精緻に言語化する事は、共通認識を得るために重要といえます。
ですが、大きいイノベーションが起きている時に、既存の言葉を使ってそれを定義しまおうとして、思考を狭めてしまう罠は状態的にあります。

例えば、インターネットが出たときに、「グローバルですぐに手紙を送れる」などの表現をした人たちは、その言葉によって自分の思考の限界を作ってしまっていただろうことを想像するとわかります。当然、いまではそうした表現はインターネットの可能性を大きく見誤っていたと言えます。これと同じことが、暗号通貨では状態的に起こっているような気がしています。

ビットコインは通貨のような役割を果たしますが、通貨ではなく、ゴールドより脆さがあるかもしれませんが、ゴールド以上のことが出来るかもしれない新しいアセットです。

「ビットコインは通貨にはなれない。」「ビットコインはデジタルゴールドである。」などの議論は、既存の概念を用いて認知をしやすくしているとともに、それらの言葉にとらわれやすいというトレードオフをしていえ、自分がその罠に陥っていないかは確認すべきかも知れません。


※2017年12月12日に執筆
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執筆者名:平野淳也
ブログ名:Think Nomad
Twitter: @junya_1991

《SI》

 提供:フィスコ

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