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【特集】ADワークス Research Memo(7):2019年3月期に連結経常利益10億円、収益不動産残高300億円を目指す

ADワークス <日足> 「株探」多機能チャートより

■第5次中期経営計画の進捗状況

1. 中期経営計画の位置付けと基本方針
エー・ディー・ワークス<3250>は2017年3月期からスタートしている第5次中期経営計画において、2019年3月期までの3年間を「次の飛躍に向けた準備期間」と位置付け、3つの基本方針を掲げている。

第1に、「収益不動産残高の戦略的な拡充により、強固な事業基盤の確立と安定的な収益基盤の追求」に取り組んでいく。超低金利が続く現状において、財務レバレッジを効かせながら収益不動産残高を積み上げていく。これにより、賃料収益という安定収益を増加させながら、収益不動産販売によるキャピタルゲインを得ることで、国内事業を着実に拡大させていく。第2に、「新たな収益の柱となる事業の開発と育成」に取り組んでいく。既に米国事業については収益化を実現しているが、今後は不動産テック事業の育成にも注力していく方針だ。第3に、「規模拡大に耐え得るケイパビリティの再構築」に取り組んでいく。具体的には、収益不動産残高の拡大に伴うアセットマネジメント機能の強化、収益不動産管理戸数の増加に伴うPM事業の質と量を強化するためのシステム再構築、オーナーズクラブ「Royaltorch」を始めとするクライアントリレーション機能強化などが挙げられる。

こうした3つの取り組みを進めることにより、2020年3月期以降も持続的な成長を実現する収益基盤を構築していくことになる。

2. 経営数値目標
第5次中期経営計画の最終年度となる2019年3月期の経営数値目標は、連結売上高で18,000百万円、EBITDAで1,600百万円、経常利益で1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で660百万円、ROEで7.4%を設定した。また、収益不動産残高は30,000百万円に拡大する計画となっている。このうち、売上高については2018年3月期に超過する可能性が高い。また、EBITDAや経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、今後いかに収益不動産残高を計画通り積み上げていくことができるかにかかっていると言える。


■株主還元策

株主還元策については、エー・ディー・ワークス<3250>は2018年3月期の中間配当として感謝配当1.65円を実施した。感謝配当は過去3回にわたるエクイティ・ファイナンスにおいて資金を拠出して同社の成長を支援してきた株主に対する感謝及び株主還元を目的として実施したものとなっている。配当金総額は532百万円となり、2018年3月期の純利益見通しに対する配当性向で91.7%の水準となった。期末配当金に関しては現時点で未定となっており、今後、株主へのアンケート調査も進めながら決定していく方針としている。

なお、2018年3月期より新たに株主優待制度も導入している。株主とのリレーション強化を目的に「エー・ディー・ワークス株主クラブ」を新設し、同クラブを通じて各種サービスを実施していく。同クラブには6月末、12月末時点に1単元以上保有の株主が会員登録できる。サービス内容は、IRニュース等の情報配信サービス(全会員向け)と、優待ポイント制度(プレミアム会員向け)に分けられる。プレミアム会員とは1万株以上保有の株主となり、毎年6月末、12月末時点の株式保有数に応じて1ポイント1円相当の優待ポイント(1年間有効)が付与される。優待ポイントは、各種商品(全国の銘産品、ワイン、旅館宿泊券、ゴルフ用品等数百種類から選択)と交換することができる。


■情報セキュリティ対策
同社は経営に関わる様々なリスクに対処するため、外部の専門家4人でチームを構成し、社内にリスク・コンプライアンス委員会を設置して、その対策に取り組んでおり、サイバー攻撃等の情報セキュリティ対策もその1項目となっている。具体的な取り組みとしては、情報セキュリティマネジメントシステムの規格であるISMSの認証を2015年に同社で取得し、現在はグループ子会社にも拡大している。また、社内のサーバーシステムもサイバー攻撃や自然災害リスクに備えて分散化するなどBCP(事業継続計画)対策を行っている。その他、同社の顧客や株主、取引先や従業員等の個人情報の取扱いについても個人情報保護法に基づき、社内規定による徹底した管理が行われている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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