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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆中国の困った事情◆


〇中国共産党大会後の政策に関心〇

本日から中国共産党大会が始まる。24日まで全体会議が行われ、25日に新指導部(常務委員)が発表され、新体制に移行する。北朝鮮が、今年、春の全人代2日目、5月「一帯一路」国際会議、9月BRICs首脳会議初日に、各々核・ミサイル実験を行うなど、中国の重要行事にぶつけてきているだけに、緊張感が漂う。注目の人事は、政治腐敗追及に栗戦書氏、副主席に陳敏爾氏、軍事委副主席に張又侠氏と、腹心を配置する方向が伝えられている。腹心の数は多くないが、習近平独裁体制で進んでいると見られ、行き過ぎた習礼賛のプロパガンダも展開されているようだ。

共産党大会に向けて推進されてきた「経済好調」が維持できるかどうかが焦点になる。共産党報道官は「デ・レバレッジは経済に打撃を与えないよう進めている。債務圧縮や安定した経済成長を追求する動きは警戒すべき事項でない」、「経済を開放し、引き続き外国への門戸を開き、市場アクセスをさらに拡大し、開放された高品質な新制度を促す基本政策に徹底する」と主張した。課題は意識している。

「中国政府、大手SNS各社から1%株式取得計画、経営介入のためか」米WSJ紙は、騰訊(テンセント)、微博(ミニブログ)優酷土豆(Youku、動画サイト)などの株式を中国政府が一部取得する予定と報じた。取締役に政府関係者が就任し、検閲当局の監視体制から一段と踏み込むと見られる。16年春に打ち出した「特別管理株式」論に沿った流れ。おそらく、金融、交通、データ収集、主力製造業など広範囲に広がると見られている。外資合弁企業の取り扱いが注目される。

「2歳児の肺がん患者」 大連市のようだが、大気汚染でなく、妊娠中に引っ越した新居の内装材化学物質汚染が疑われている。両親は食物も原因と主張しているようだ。がん患者の若年化が顕著のようで、小児がんだけでも、毎年3~4万人ペースで増えている。中国は日本以上のスピードで高齢化社会に向かう。その矛盾噴出は要注意。ただ、インバウンド消費で日本のヘルスケア商品に高い需要が示されている。果たして内需頭打ちの日本のヘルスケア産業の有力展開先になれるかどうか注目される。

「中国宇宙ステーション落下へ」 11年に打ち上げられた「天空1号」が制御不能となり、地球に落下してくるとされる。中国当局は「落下中に燃え尽きる」としているが、米ハーバード大研究者は「17年後半から18年初めの数か月、いつどこに落ちて来るか全く予測不可能」としている。ミャンマーで中国語が書かれたロケット残骸が見つかったばかりで、中国膨張主義(習近平の「中国の夢」)の余波は想像を超えるリスクがある。

「サウジ・アラムコ株5%買収提案」 ペトロチャイナとシノペックはアラムコに上場前の株式を取得する提案を行っていると伝えられる。この影響か、サウジはアラムコの国際市場IPOを19年に先送り検討(国内IPOは予定通り18年見込み)と伝えられる。資源・経済権益確保狙いとされる「一帯一路」推進でも波紋(ロヒンギャ問題でも、中国敷設のパイプラインの利権争いが遠因とされる)を広げる公算が大きい。

権力闘争優先ではあるが、共産党大会で一旦落ち着く。その分、経済を中心に中国の「拙い」やり方には引き続き要注意だ。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/10/18号)

《CS》

 提供:フィスコ

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