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【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋り、ジャクソンホール会合に思惑

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウムへの思惑が広がろう。講演が予定されるイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は金融正常化方針を堅持する一方、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は緩和縮小に慎重姿勢を示す見通し。米政治情勢の不透明感でドルに買いが入りにくいなか、ドル・円は下げ渋る展開を予想したい。

トランプ米大統領は22日にアリゾナ州フェニックスで行われた支持者集会で、北米自由貿易協定(NAFTA)を終了させるとしたほか、メキシコ国境の壁建設について「政府の閉鎖が必要になっても」実現するとし、費用の予算計上に意欲を示した。次の会計年度が始まる10月まで審議の時間が多く残されていないことから、海外市場では米国経済への悪影響を警戒した株売り・ドル売りに振れやすい地合いが続きそうだ。

ただ、市場では、24-26日の日程で開催されるジャクソンホールでの経済シンポジウムに関心が向けられている。25日に予定されるイエレンFRB議長やドラギECB総裁による講演のほか、開催期間中は主要国の金融当局者や学者のメディアのインタビューなどでの発言が注目される。各国中銀が金融正常化に足並みをそろえるなか、9月以降の金融政策の方向性が示される、と市場関係者は期待する。

イエレン議長は昨年、雇用の持ち直しや経済の拡大予想が見込まれるとし、利上げの論拠が「過去数カ月間で強まったと確信する」と述べた。この発言を受け、市場では9月利上げの観測が広がったものの、利上げはその年12月の1回にとどまった。今年はすでに利上げを2回実施しているが、足元ではインフレ関連が堅調とは言い切れない。イエレン議長は昨年同様、金融正常化に関する基本方針を維持しながらも、詳細には踏み込まないだろう。

他方、3年ぶりに出席するドラギECB総裁は、従来の金融緩和政策を転換する方針を打ち出すとの期待が高まっている。ただ、6月下旬からユーロ買いが強まっているものの、域内の企業がユーロ高に耐えられるほど自律回復したとは判断しにくい。ECB内ではユーロ高への警戒もあり、ドラギ総裁はジャクソンホールでハト派寄りの姿勢を示す可能性があろう。こうした観測が広がれば、ドル・円への下方圧力は弱まると予想される。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 英・4-6月期GDP改定値(前年比予想:+1.7%、速報値:+1.7%)
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:23.8万件、前回:23.2万件)
・23:00 米・7月中古住宅販売件数(予想:555万戸、6月:552万戸)
・米カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール、26日まで)

《CS》

 提供:フィスコ

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