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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆日本株にも上昇の条件揃いつつ◆

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

〇米雇用統計、予想上回りドル反転〇

大規模ではないが、4日の米雇用統計の下振れを狙ったドル売り仕掛けが多少あったのであろう。予想上回る数値となり、ドル円は一時111.04円まで戻した。一本調子で戻るとは思われ難いが、トヨタが業績見通しを上方修正し、ドル円前提を105円から110円に修正したことも、投機筋にとっては、ドル売り円買いを仕掛け難い材料になると考えられる。8/1時点のネット円ショートは9293枚の減少(前週は5430枚の減少)で、11万2196枚。ユーロの買い越しが8205枚減少し、それに見合った格好である程度の調整は進んでいると考えられる。

米雇用統計は非農業部門雇用者数が20.9万人(予想18.3万人)増、時間給は前月比+0.3%、5ヵ月ぶりの高い伸び(前年同月比+2.5%、変わらず)。アパレル小売は1万人減だったが、自動車関連、オンライン小売が吸収し、小売全体で900人増だった。製造業は1.6万人増、2月以来の大幅増。つれて、確率5割を割り込んでいた12月利上げ確率は50%、五分五分のレベルに戻した。

8月に入って、ドル建て日経平均は181ドル台で安定している。企業業績の好調を考えれば、6/6高値183.84ドルに挑戦してもおかしくない。当面は、181ドル×110円=19910円を下値メドに、181ドル×112円=20272円あるいは182ドル×111円=20202円などが意識されると想定される。

安倍政権は内閣改造の無難なスタートで落ち着きを取り戻しつつあると考えられる。むしろ、安倍首相の安全運転で、「憲法改正は党任せ」、「敵基地攻撃能力は持っていないし、持つ予定もない」、「消費増税10%、予定通り」などの発言が、コアな安倍支持層の反発を招かないか懸念されるほどだ。8月は広島から終戦記念日まで、反核・反戦ムード、平和の誓いの高まる局面ではある。

対北朝鮮「過去最大の経済制裁」が決議された。ティラーソン米国務長官の「対話姿勢」は、中国、ロシアの同意を取り付ける根回しの一環だっと思われる。全面禁輸は石炭、鉄鉱石、鉛、海産物など、派遣労働者の受け入れも禁止された。朝鮮貿易銀行などの資産凍結、渡航禁止も追加され、制裁指定者はインターポール(国際刑事警察機構)が手配書を出す予定と入念。核開発阻止に重点を置く中国は交渉テーブルに戻すことを主張している。

その中国は北戴河会議が先週末からヤマ場に突入していると見られる。習国家主席は軍の威力をバックに圧力を掛け、自らの党主席認定、人事権完全掌握を目指していると見られる。異例の形で、5日から8日まで、黄海(青島から連雲港まで)で航行禁止通告が出され、大規模な軍事演習が行われると伝えられている。内モンゴル閲兵式に続き、軍の圧力を使っていると見られる。関連ニュースは全く出ていないが、習国家主席の対峙相手は政治腐敗追及で力を付けた王岐山氏とも言われる。盟友だったはずの両氏の去就が注目される。なお、中国の北朝鮮担当が長らく六カ国協議の議長を務めてきた武大偉氏から孔・外務次官補に交代したと伝えられた。中国が国連制裁に賛同したことと合わせ、かなり強烈な圧力を掛け始めている公算がある。主に、アジア情勢の変化を睨みながらの展開が想定される。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/7号)

《CS》

 提供:フィスコ

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